「auオークション」は、ケータイオークションの世界をリードするだけあって、"auならでは" "ケータイならでは"と呼べる魅力が満載。前回紹介したように、他のサービスとの連動や、いつでもどこでも参加できるという手軽さは、同サービス最大の特徴といえるだろう。だが、「エンタメ性を追求している」のは、オークションの運営側だけではない。そこに参加するユーザーも、auオークションならではの"個性"を作り出しているのだ。
絵文字や独特の商品紹介で"楽しいオークション"を実現
PC向けのオークションに慣れた人の目には、auオークションの商品紹介文が、異質なものに映るのではないだろうか。ケータイからのアクセスが多いというだけあり、同サービスは絵文字に対応している。
試しに、いくつかの商品を見てみると、文章に顔文字や絵文字を使うのは基本中の基本のようで、画面は非常に華やかだ。KDDIの鏡島氏は次のように説明する。
「商品の内容は、楽しく説明してもらいたいと思っています。読んでいて面白いものが多いのも、auオークションの魅力です」
ケータイではもはや"常識"の絵文字にも完全対応。PCから閲覧する際も、画像に変換された絵文字が表示される |
また、なかには、商品の感想を述べたり、ストーリー風の解説を加えたりしているものもあるという。
「思い入れのある商品を、ドラマ風に解説している人もいますね。そういうものは、商品だけでなく、文章からもプレミアム感が伝ってきます。いわゆる、『親指文化』のユーザーも多いですよ」(中村氏)
鏡島氏が「ケータイならではのオークション文化を、積極的に発信していきたいですね」というように、au側も、ケータイ独自のカルチャーが、同サイトの売りの1つであると考えているようだ。
「サイトにもう少しauらしさを加えていければ、と考えています。分かりやすいナビゲーションはありますが、それに加えて楽しいコンテンツをもっと用意していきたいですね」(鏡島氏)
無論、「正しく分かりやすく伝えるということも、大切にしています」(鏡島氏)というように、文章が独特とはいえ、オークションを成立させるための必要条件を満たしているものがほとんどだ。オークションのマイページにも、取引の基本となるルールやマナーを載せた「初心者ナビ入門編」が用意されており、ユーザーへの啓蒙も怠っていない。
auでは、若いユーザーへの啓蒙も忘れていない。初心者ナビや動画を用意し、オークションのイロハをしっかりと解説している |
まだ、試したことがないユーザーも、「親指文化」への偏見を捨て、ぜひ一度、auオークションの世界へ足を踏み入れてみてはいかがだろう。
ケータイ文化のオークションを幅広い年齢に広げていく
もちろん、今後の課題もある。1つは、オークションに参加できるユーザーの年齢だ。現状では、auオークションは18歳未満の参加が禁止されている。これは、条例に従った結果だそうだ。
「青少年保護育成条例に配慮したため、18歳未満のユーザーは登録できないようになっています」(中村氏)
確かに、例えば東京都の場合「青少年の健全な育成に関する条例」の第15条に、青少年の古物売買に関する規定が定められており、解釈次第では、オークションへの参加も条例違反となる可能性がある。
だが、ケータイ文化を担っているのは、他でもない10代の若者だ。鏡島氏も、10代のユーザーからのアクセスが多いことを認める。
「アクセスをチェックしていると、サイトのトップに来て、そのまま帰ってしまう人がかなりいます。ニーズがあることは分かっているのですが、それに応えるべきかどうかは、現在、慎重に検討しているところです」(鏡島氏)
auオークションは、人海戦術でオークションの巡回を行っており、安全性も非常に高い。「商品のリサイクルを進めるという意味でも、ぜひ若いユーザーに参加してもらいたいですね」(鏡島氏)と、オークションには、単に商品売買で利益を上げるという以上の意義もあるのだ。
専属のチームがオークションをパトロールし、規約違反の出品などを削除している。写真のように、ブラックリスト機能も用意。安全性に細心の注意を払っていることが伺える |
また、「機能的な面も色々と向上させていく予定です」(鏡島氏)と、auオークションの進化はまだまだ続いていく。
例えば、「PC側で絵文字の入力に対応していない点も、今後、実現していきたいと思います」(中村氏)というように、PC版との連携を強化していくのも、その1つだ。先に述べたように、楽しさを追求するコンテンツを、さらに追加していく必要もあるだろう。
伸び続けるケータイコンテンツ市場だが、それゆえに参入を考える企業も多い。同社がどのような差別化を図れるのか。auオークションの"次の一手"に期待したい。