「auオークション」は、ケータイオークションの先駆け的な存在だ。PC中心のユーザーにはあまり馴染みがないかもしれないが、他社ケータイ向けの「モバオク」を合算すると、ユーザー数はすでに100万に近い。では、ケータイならではのオークションサイトの魅力とはどこにあるのか。KDDIの担当者にその実態を聞いた。

他社に先駆けたケータイ発のオークションサービス

1兆円を超えたといわれるモバイルコンテンツ市場だが、その中心となっているのは「物販」である。ケータイによる物販は、パケット定額制の普及と共に一気に花開き、今も市場は拡大中。その先駆けとなったのが、auとコンテンツプロバイダーのDeNAが協業して生まれた「auオークション」だ。

ケータイオークションの先駆け的存在であるauオークション。ケータイならではの即時性を活かした取引が可能で、auが展開するコンテンツの中でも高い人気を誇る

auオークションは、2005年1月に誕生し、すでに3年弱の歴史がある。KDDI コンシューマ事業統轄本部 コンテンツ・メディア本部 コンテンツ・ECビジネス部 ビジネス推進グループの鏡島春美氏は「会員数も順調に推移しており、ここ1年で15%ほど増えました」と、現在でも同事業が好調なことをアピールする。

今回の話を伺った、KDDI コンシューマ事業統轄本部 コンテンツ・メディア本部 コンテンツ・ECビジネス部 ビジネス推進グループリーダーの鏡島春美氏(右)と同グループの中村映文氏

1年ほど前には、ドコモが楽天とタッグを組み「楽天オークション」を開始したが、auオークションが始まった当時は、ケータイ中心のオークションサイトという存在は非常に珍しかった。パケット定額制で他社に先行していたauだからこそ提供できたコンテンツといえるだろう。

では、auオークションにはどのような特徴があるのか。鏡島氏はこう話す。

「キャリアが運営しているという面で、安全・安心という点や、ケータイだからいつでもつながるという点が、auオークションならではの特徴です。いつでも入札できて、いつでも出品できるというのは、ケータイのメリットではないでしょうか」

また、「エンタメ性を追求していきたい」(鏡島氏)というように、他のコンテンツと連動した出品なども、auオークションの魅力だ。

「例えば、動画サービスのEZチャンネルプラスからオークションへ誘導したり、auのキャンペーンと絡めたりと、auだからこそ出せる楽しさを追求しています」(鏡島氏)

「具体的には、LISMOのキャンペーンに出演したアーティストの方に、私物を出品してもらう、ということができるのも、auオークションならではです」(KDDI コンシューマ事業統括本部 コンテンツ・メディア本部 コンテンツ・ECビジネス部 ビジネス推進グループ 中村映文氏)

このように、auが展開する他のコンテンツと積極的に連動しているのも、auオークションの独自性といえるだろう。

auの他のコンテンツと連動しているのはauオークションならでは。写真は、動画サービス「EZチャンネルプラス」の番組と連動したオークション

ケータイならではのユーザー特性

ケータイからのユーザーが多いという特徴もあり、ユーザーの平均年齢も、比較的若いそうだ。

「他社の正確なデータはわかりませんが、おそらく、auオークションは若いユーザーが多いと思います。幅広い層にお楽しみいただいていますが、一番多いのは20代の方、次は30代の方という年齢分布になっています」(中村氏)

そのため、出品されるものに関してもある程度の傾向があるという。

「若干ですが、若い人向けの商品が多く、洋服などの出品は手厚くなっています。また、最近は、自動車・バイクが注目のジャンルです。希少なものはオークションで人気を集める傾向がありますからね」(中村氏)

ケータイから始まったこともあり、現状では「ケータイからのアクセスの方が多いですね」(鏡島氏)という。だが、同オークションはもちろんケータイ・PCの両方に対応しており、機能的には「ケータイもPCもほとんど同等」(中村氏)である。ライフスタイルに合わせたツールを提供していく、というのは、auの他のコンテンツにも共通した考え方だ。

「ケータイはいつでも入札できますが、大きな画面で見たいというニーズもあります。例えば、ベッドや電車の中ではケータイで、みんなで画面を見ながらオークションをするときはPCでというように、それぞれのツールをフレキシブルに使いこなしていただきたいですね」(鏡島氏)

一方で、このようなユーザーの違いによって、auオークション独特の文化も生まれつつあるという。次回は、同サイトが生み出したケータイオークション文化や、今後の同サイトの今後の展開について解説していきたい。

auオークションは、ケータイとPCの両方に対応している。両者の特性をきちんと理解し、シチュエーションに応じて使い分けたい。写真はケータイ、PCそれぞれのマイページ