eneloopや充電式EVOLTAなどにより、Ni-MH充電池の普及は進んでいますが、その一方で、あまり見かけることがなくなってしまったものがNi-Cd充電池です。Ni-Cd充電池は、メモリー効果や自己放電の多さなど、Ni-MHバッテリーに比べて劣る面があるため、次第にNi-MHに置き換わっていきました。以前は、単1/2/3/4形などの一般的なものだけでなく、ポータブルオーディオ機器用のガム電池など、さまざまなモデルが見られたNi-Cd充電池は、最近ではほとんど店頭で見かけることはなくなりました。そういったNi-Cd充電池ですが、我々の生活に近い場所で、いまだに現役で使用されているケースがあります。それが、コードレスホンの子機のバッテリーです。デジタルコードレスホンの場合、Ni-MH充電池が使用されているケースも多いのですが、アナログ式のコードレスホンだと、いまだにNi-Cd充電池が使用されているというケースも少なくありません。
筆者の家では、三洋電機製のアナログコードレスホン「TEL-G3」という製品を使用しています。いまだにアナログ? という声もあるかもしれませんが、電話回線のジャックのそばには、無線LANのアクセスポイントも設置してあり(そういうケースは多いのではないでしょうか)、2.4GHz帯という同じ周波数帯を使用するデジタルコードレスホンだと、通信が不安定になることが多かったので、アナログ式のコードレスホンに戻した次第です(最近のデジタルコードレスホンだと、無線機器が近くにあっても、それなりに頑張れるものもあるようですが)。アナログのコードレスホンは、無線LANよりもかなり低い周波数帯を使用しているので(VHF~UHF)、影響は少なくなるのでは、といったところです。アナログコードレスホンを導入してみると、確かに、デジタルコードレスホンを使用していたときのように、通話が途切れたりすることは無くなりました。しかし、コードレスホンを設置している周囲は、無線LANのアクセスポイントだけでなく、プリンタ複合機やPCなど、電気的ノイズを出しそうな機器が取り囲んでいます。そのためでしょうか。最近、通話中に「ブー」といった感じのノイズが乗るようになってきました。ノイズの乗り具合は、ノイズ発生源から子機までの距離に関係しているようで、子機を右手で持ったときと左手で持ったときとで、ノイズの強さが異なります。導入したばかりの頃はこのようなことはなかったので、子機のバッテリーが劣化しているのでは、と思ったのですが、バッテリー低下のメッセージはとくに出ていません。
ここからは推測なのですが、筆者の環境は、コードレスホンが動作するぎりぎりのラインで、そのため、バッテリーが少し劣化しただけでも、ノイズが乗るというのではないでしょうか。というわけで、新しいバッテリーに換えてみることにしました。TEL-G3に使用されているバッテリーは、「NTL-14」という型番で、TEL-G3に限らず、同社のコードレスホンに広く使用されているものです。見たところ、サイズ的には、単3電池を2本まとめてコードを付けました、といった感じの製品で、また、仕様も2.4V/600mAhなので、非常に単3電池っぽさが漂います。ただし、TEL-G3のマニュアルには、同社が指定したバッテリー以外を使用しないように、と書かれています。当然の話です。
コードレスホンのバッテリーには、互換品が存在します。大手でも、パナソニックなどは、各社のコードレスホンの互換バッテリーを販売しています。しかも、NTL-14の互換品が、パナソニック製だと、Ni-CdではなくNi-MHになっています。これが、インクジェットプリンタのカートリッジだったりすると、特許的にどうなのか、という話になるのですが、なにしろ電池です。そういった心配は無いものと考えてよいでしょう(ムービー用のバッテリーパックのようにインテリジェントなものならば、そういった可能性もあるのでしょうが、コードレスホン用のバッテリーは、どう見てもただの電池です)。さて、筆者が購入したのは、パナソニックの電池ではありません。同じく互換品を販売している朝日電器の「TSB」シリーズのNTL-14互換モデル「TSB-013」です。TSBシリーズは、Ni-MHで、さらに自己放電を抑えたモデル。充電済みの状態で販売されています(なぜ、eneloopの三洋のバッテリーがNi-Cdで、他社の互換バッテリーがNi-MHなのか、非常に気にはなるのですが)。Ni-CdのNTL-14に比べて容量も多く(2.4V/900mAh)、長時間の通話も可能とのことです。コードレスホンのバッテリーに関しては、純正品よりも互換品の方が高性能なのです。
TSB-013を取り付けてみると、気になっていたノイズは無くなりました。これだけで、確実に電池のせいだ言い切れるわけではありませんが、アナログ式のコードレスホンを使用していて、最近、ノイズが気になるようになってきたという方は、バッテリー表示がどうであろうと、電池を交換してみてはいかがでしょうか。