正直「なんでこんな風に生まれたのか」と嘆くことの方が多い人生だが、稀に「こうじゃなくて良かった」と思うことがある。

その一つが「酒があまり飲めない」そして「オタクだが物欲がない」だ。

酒は体質に合っていないのだが、もし適合していたら、今頃一部の明治文豪から文才を奪ったかのような生活を送っているだろうし、シンプルに鬼籍に入っている可能性が高いし、少なくともストロング飲料ブームを生き抜けてないと思う。

そして「物欲がない」とは、正確には「グッズ収集にはあまり興味がない」ということだ。

私は物心ついたころから二次元オタクだが、当時から人気のアニメや漫画、ゲームには「関連グッズ」が発売されていた。

そして今、空前の推し活ブームにより、お出しされるグッズの量はとどまることを知らなくなっている。

もちろんこれは一部の人気コンテンツだけであり、うっかり過疎ジャンルにハマるとグッズが皆無で、手製プラバンキーホルダーを生み出すことになるのだが、出すぎというのも困るものだ。

元々自制心がないので、物欲があり、グッズが際限なく出るジャンルにハマっていたら今頃大変なことになっていただろう 。

しかし、グッズ欲がないのも元々は「整理整頓が壊滅的にできない」という、オタク以前に人間としての致命的欠陥が起因している。

グッズを買ったところで、それを大切にできる気がしないのだ。

せっかく買ったアクスタが一度も直立することなく、何故か床に寝ている姿を想像するだけで物欲が雲散霧消する。

どれだけ素敵な服を見ても、実際に着るのはこの股下3メートルのモデルではなく自分だと思った瞬間萎えるのと同じで、グッズがどれだけ良くてもそれを粗末にされる推しの姿や、大切にできない自分にガッカリすることが分かり切っているため、最初から手を出さないようにしている。

よって、大量のグッズを買うだけでなく、それをちゃんとディスプレイし大切にしている人のことは本当に尊敬している。

オタクの堪忍袋の緒をブチ切れさせた「ブラインド商法」

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だが、そんなありがたい買い手のことを肝心の売り手の方が大事にしていないのではないか、むしろどこまで買い手がキレずについてくるのか試しているとしか思えないこともある。

そんなオタクの耐久実験として有名なのが「ブラインド商法」である。

ブラインド商法とは、数種類のグッズを開けてみるまで何が入っているかわからない状態で販売することだ。

つまり、特定の推しがいるオタクは、目当てが出てくるまで買い続けることになる。

一体誰がなんのためにこんな売り方を、と言われたら、推しが出るまで買い続けるオタクの習性を利用して売り手が儲けるため、としか言いようがなく、即刻滅ぶべき商法と言われ続けて来た。

しかし、オタクの耐久度がパーティに入ったら必ずタンクにされるほど高かったため、文句を言われながらも何となく受け入れられてきたのだが、壊れるまで負荷をかけたら壊れるのは当たり前であり、ついに買い手の苦情により、ブラインド販売が撤回されることになった。

堤防を決壊させたのは「ちいかわ」のぬいぐるみである。ちいかわと言えば、今トップクラスにグッズ需要があるジャンルだ。

しかし、人口が多いほど怒る人間も多くなり、さらにライト層も多く含まれているため、オタク、もしくは長男なら耐えられたブラインド商法に対し「普通は棚に置いてあるぬいぐるみをブラインドで買わせるとか正気か?」と至極真っ当な反応がされたためではないかと思われる。

ただ、ちいかわだったからというわけでなく、ブラインド商法は年々高額化、さらに商品数が増え、より目当てが当たらない構造になっており、ちいかわで決壊しなくても、どこかが決壊させていただろうというジェンガ状態であった。

ちなみに、ちいかわのぬいぐるみは当初2420円でブラインド販売される予定であり、例え6種類でも、これを出るまで買うのは厳しい。

そして、同時期にブラインド商品、しかもぬいぐるみを発表していた「刀剣乱舞」も、ビッグジャンルであるちいかわが正気を取り戻した手前、自分たちがとち狂い続けるのは不可能、と判断したかどうかはわからないが、同じくブラインドをやめ、受注生産を決定している。

やればできるじゃないか、という話である。

確かにオタクの体は推しのためなら多少の無理ができる構造になっているのだが「舐められ」の耐性は常人以下な場合もある。

「どうせ買うと思ってこっちを舐めている」とわかったら瞬時に離れ、ジャンル衰退の原因にもなるので、オタク耐久商法はほどほどにしてほしい。