刀剣乱舞もはや7周年である。
私もゲーム自体をやっているかというともうやっていないのだが、動向は今でもチェックしており、へし切長谷部が「極」という進化をすると聞けば戻り、山鳥毛が時間さえかければ確実に手に入ると聞けば戻り、鍛刀といういわゆるガチャシステムでレア刀が出ると聞けば射幸心を満たしに戻り、資材を全部溶かして帰るなど、定期的に再プレイしたりもしている。
刀剣乱舞と言えば、他のネットゲームに比べてゲーム性が低く、そして季節を無視することで有名であった。
基本的にどのイベントも脳死周回、他のソシャゲが水着やクリスマスで盛り上がっているころ、大阪城を地下100階までマイニングさせたり、謎の玉を万単位で集めさせたりするのである。
しかし刀剣乱舞に対するこれらの愚痴は、Twitter民がTwitterの悪口をTwitterに書くのが大好きなのと同じで、逆にこのゲームのチャーミングなところだとも思っている。
ゲーム性のないゲームと言ったら、牛丼の牛抜きのような不毛さを感じるかもしれないが、世の中にはアメリカンドッグの棒にくっついた部分を永遠にカリカリしていたいという人間もいるのだ。
それに、大阪城を地下100階まで掘らせた後、褒美として「大阪城の地下を100階分埋め立てる権利」をくれるなど、星新一のショートショートにありそうなことを言ってくるわけではなく、そこでしか手に入らないレア刀をくれたりもするのである。
よって掘っている最中は苦痛だが掘り終わったあと、それなりに「達成感」はあるのだ。しかもその達成感は「技術」や「財力」などを必要とせず得られる達成感なのである。
その代わり「時間」というある意味金より大事なものを消費させるのが余計性質が悪いともいえるが、比較的誰でも得られる達成感と言える。
下手にゲーム性があるゲームだと、技術や知力の問題で「クリアできない」という現象が起こりやすくなる。実際私は「スーパーマリオをクリアする達成感」を得たことはないしこれからも得られないだろう。
また、最近のゲームは技術だけではなく「財力」というもっとプリミティブな部分で差をつけてくることも多い。
刀剣乱舞も課金要素はあるが、他のソシャゲに比べれば少ない。逆に言えば「金で解決すらさせてくれない」ともいえるが、その分あきらめずに続けさえすればいつかは目当ての物が手に入る仕様である。
つまり「努力は報われる」「継続は力なり」が嘘ではないと証明してくれる非常に道徳的なゲームということだ。ついでに「時間の大切さ」や「金で解決できることのありがたさ」なども教えてくれる学びの宝庫である。
そもそも本当に何も面白くないゲームが7年も続くはずがない、そういうところも含め、刀剣乱舞は刀剣乱舞としてこれからも末永くやっていくものだと思っていた。 思っていたのだが、突然新機能「散歩」の実装が発表された。
ゲーム性がないと言っても7年間のうちに色々と新機能は追加されている。だが今回の「散歩」はカレーにチーズをトッピング程度の追加ではなく、ハヤシライスを追加注文レベルの、井之頭五郎の飯の頼み方みたいな追加になるのではないかと言われていたし、実際そうだった。
最初は「ポケモンGO」のような機能が実装され、リアル散歩をしながら発見した野良の刀剣を捕獲、もしくはまたしても謎の玉を集めさせるのではないかと言われていたが、実際はマップ上に「ピン」を立て、そこから移動した地点にももう1本ピンを立て、2本のピンの距離に応じてポイントが付与されるという仕組みだそうだ。
ピンとピンの間が100メートル以上離れていないと刺せない仕組みになっているため「リアル移動」が必要なシステムになっている。
ただ車などでの移動もOKになっているため、不用意に中年がうろつくと、すぐ保護者の間で案件LINEが回ってしまう地域に住んでいる人間にも優しい仕様だ。
今まで画面の前で指以外動かさなかったゲームに、いきなりリアルワールドに出て歩くという機能が追加されるのだから大きなアップデートと言って良いだろう。
推しコンテンツは「在宅過激派」を連れ出せるのか
だが、私個人がこの機能に盛り上がっているかというと、冷静と情熱の間、つまり「そうか」という感じだ。
私は刀剣乱舞が好きだが、それ以上に自宅神推し同担拒否過激派なのである。
よってこのリアルマップ移動機能とは相性が悪すぎる、また近くに小学校があり団地に子供が多いというのも厳しい。
車での移動もOKと言われても、私は車でも最短のローソソまでしかいかないので、永久にピンが自宅とローソソに刺され続けることになってしまう。「往復」は許されるのか、そこが問題だ。
あとはいかに「刀剣と散歩してる感」を出してくれるかだろう。この散歩機能は「刀剣と一緒に散歩をしている」という設定であり、この機能のために今までゲーム内で見たことのないミニキャラなども実装されている。
だが、正直マップに合わせてキャラが動く程度ではモチベーションが上がらない。ポイントに合わせてキャラが労ってくれたり、なぜこの距離に3時間かかったのか、主は車以外の移動はしないのかなど詰めてくれたりなど、達成感と報酬は必要である。
ちなみにポケモンGOもやったことはあるのだが、室内であらかた操作した後、一度も外に出ることなくアンインストールした。
刀剣乱舞はこの私を外に出すことができるのか、そして「歩かせる」ことはできるのか、好きなコンテンツだからこそ忖度なしのガチンコ対決していきたいと思う。