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マイナビと言えば、就職・転職・進学情報の提供や人材派遣・人材紹介などを主業務とする日本の大手人材広告企業として世間ではあまりにも有名だが、世間に隔離されている私は知らなかったので、今ウィキペディアで調べた。

そのような有益情報を発信しつつ、この連載のように無益情報を垂れ流すことも忘れない。さらに医療や農業、世界遺産になどについての情報も扱っているらしい。

やたら多方面に進出してくる、というのは逆にヤバいサインだったりするのだが、マイナビに至ってはそんなことはないだろう。

何より私に5年以上もコンスタントに仕事を与えてくれる時点で文句のつけどころがないのだが、前にも書いた通り「請求書を紙で出させる」という点だけは玉に瑕であった。

瑕と言っても、私にとってはもはや「八重歯」や「えくぼ」レベルのチャームポイントだったのだが、先日ついに「請求書のメール受付」をはじめ、完全無欠と化してしまった。 これでは逆に東大女子のように「完璧過ぎる女はちょっと…」と敬遠されてしまうのでは、と思ったが、マイナビはそんな雑魚どもでも声をかけられるようにちゃんと隙を残してくれていた。

「ZIPの慣習」廃止の風向きは霞が関から

その前に、話は変わるが、先日平井卓也デジタル改革担当相から「霞が関でパスワード付きZIPファイルを廃止する」という発表がなされた。

「何を発表しているのかさえわからぬ」という先進的な企業、もしくは未だにファッ○スが主力で「うちはガスではなく炭火で焼いている」というような伝統を重んじるタイプの企業にお勤めの方に一応説明させていただく。

データというのはそのままだと容量が大きすぎて送れなかったり、昔だったら相手のメールを「受信中」のまま固めてしまうというテロ行為になってしまったりする場合があった。よって「ZIP(ジップ)」という形式にデータを圧縮して送り、相手はそれを「解凍」してデータを閲覧することになる。

霞が関は、その「解凍」に「パスワード」が必要なように設定し、そのパスワードをZIPデータとは別のメールで送るようにしていたのだが、この度それを廃止するということである。

平井デジタル相曰く、とりあえずなんでもZIP化しなければいけないというのは、特に必要もないのにハンコを押さないと駄目というのと同じであり、無意味な上、今の世の中スマホでデータが見られないというのは致命的だから、ということである。

私も霞が関とやり取りしたことこそないが、取引先の中にはこの「パスワード付きZIPファイル」方式を採用しているところもある。片や、全くノーガードで書類を送ってくる大企業もあるので、どちらかというとこの「ZIP形式を使っている会社」の方がセキュリティ意識は高いという印象があった。

だが、国自らが「あれは無意味かつ前時代的でした」と言ってしまったことで、「諾々と無意味かつ古い事をしていた会社」というイメージになってしまったため、具体名を挙げるのは止めておく。

誰も幸せになっていなかったZIPしぐさ

  • せっかくわけて送っても、メールがハッキングされてたら意味ないんですよね…

    せっかくわけて送っても、メールがハッキングされてたら意味ないんですよね…

ちなみに、霞が関方式を使う企業は「やりとりが面倒」という意味で取引先からの評判が悪く、そこの社員の中からも「面倒くさい上に取引先からヘイトを集めるだけだ」と、不満の声が多かったようだ。

確かに、データとパスワードを分けて送られると、ズボラな奴は「見るのを諦める」場合があるし、開くのに労力がかかるので「このデータを見るのは映画『ミスト』を見られるぐらい元気がある時にしよう」とデータチェックが後回しにされがちなのだ。

情報漏えいというリスクを考えれば、データを裸で送るより、面倒くさくてもパスワード設定をすべきなのではないか、と思うかもしれない。しかしこの霞が関方式は、ZIPデータが添付されたメールとほぼ同時に、パスワードを記載したメールが来るようになっている。

つまり、もしZIPデータに不正アクセスできるなら、それとほぼ同時に来ているパスワードだって入手できるはず。つまり「お祈り」程度で、特に意味はないのでは、ということである。

無意味とわかっていても「そういうものだから」で続けることが多い日本なので、割と早めにそれを認めて「止める」と言ったのは良いことだ。しかし、やはり国がやってしまうと、それに付随する企業も出てくるので、今後面倒くさいことを始める時は、せめて意味のある面倒くさいことをしてほしい。

本当に毎度ご面倒おかけしてしまい大変申し訳ないです

話は元に戻るが、マイナビもこの霞が関方式を採用しているかと言うと若干違う。マイナビは請求書データをExcel(エクセル)で送って来て、それを開くのにパスワードがいる。だが、別のメールでパスワードが送られてくるわけではなく、毎回決まったパスワードを入力する。本人もたまにパスワードがわからなくなるので、セキュリティ的にはこちらの方が安全かもしれない。

しかし、請求書データと、納品書データが別で送られてくる上、私は2つの部署と取引をしているので、毎月エクセルデータを4つダウンロードし、その4つ全部にパスワードを入力しなければならない。そして、その4つのデータにほぼ同じ内容を入力し、PDFファイルを4つ作ってメールで送っているのだ。まぁちょっと複雑な話になってしまっているが、要するにたくさんの書類にパスワードをいっぱい入れないといけないのだ。

正直、メールで送れるようになった今でさえ、どの取引先よりも面倒なので、「マイナビの請求書は『ムカデ人間』を見られるぐらい元気な時にしよう」となってしまい、いつもギリギリか、ちょっと遅れる。

しかし、電子マネーになったことで「金を使っている実感」がなくなるように、請求書も簡略化されることで、仕事とお金をいただいているという感謝が薄れてしまうかもしれない。

今後もそれを忘れぬように、「毎月4回、感謝のパスワード入力」をやっていきたいと思う。