光陰矢の如し、淫行は犯罪、と言うように、世の中の移り変わりは早くなる一方である。 商売においては、いかに時流を読み、世の中のニーズに合わせた商品を提供するかが重要になってきている。コロナの影響で外出自粛となり、屋内かつソロで楽しめるエンタメに需要があると見るや即座にAVのサブスクをはじめるなど、臨機応変かつ迅速な対応こそが今のビジネスには求められている。

ちなみにAVというのは、もちろんアニマルビデオのことだ。カワイイ子キャット様の動画が見放題となればコロナで荒んだ心も一瞬で癒されるというものだ。

カレー沢先生の大予言が当たってしまった首都圏は通勤地獄です

新型コロナウイルスの影響で急激な需要ができたと言えば、「ホットケーキミックス」と「リモートワーク」である。リモートワークのシステムを提供する会社などは、デカい声では言わないが、かなり儲かったのではないだろうか。

コロナがきっかけで「やればできる」ということが証明されたリモートワークだが、コロナ終息後は「できるが、やらせない」という方針にシフトするだけのような気もする、と予想していた

その予想はあながち間違いではなかったようで、緊急事態宣言の解除後、通勤電車はコロナ前と変わらない混み具合になってきているようだ。予想的中というより、嫌な予感が当たったと言った方が良い。

話を戻すが、「リモートに需要がある」とわかってから、リモートワークのシステムや、ZOOM用のイケてる背景を販売するというのは誰でもできる。デキる桶屋は風が吹くのを待ったりせずに、T.M.Revolutionのように、自ら風を起こすのである。

つまり、需要に合わせるのではなく、需要を自ら作り出せばよいのだ。「今これが海外セレブの間で黙殺されている!」など、本当かどうか置いておいて話題を作り、「ブーム」を起こすこともひとつの方法である。

そしてもう一つは、「ルール」を作り出すことだ。

「部長(オレ)より先に切ってはいけない」? 都市伝説化するビジネスマナー

  • ZOOMに「ひとりだけ表示を大きくする」機能自体はあるものの、「セミナーで話す人を聞き手側で表示固定して見やすくする」ようなもので、オフィス内ヒエラルキーとは無関係なんですよね…。

    ZOOMに「ひとりだけ表示を大きくする」機能自体はあるものの、「セミナーで話す人を聞き手側で表示固定して見やすくする」ようなもので、オフィス内ヒエラルキーとは無関係なんですよね…。

リモートワークがさかんに行われるようになるや否や、早速「部下は上司より先にビデオ通話を切ってはいけない」などの謎ルールこと「ビジネスマナー」が次々と生まれたという。

もちろんリモートワークに公式ルールなどなく、いつのまにか勝手に生まれたものなのだが、もっともらしいことを言えば、それが真実のように瞬く間に広まってしまうのが情報化社会の恐ろしいところである。

こういうマナーは、「無職の俺が適当に考えたマナーを、ビジネスマンどもが真に受けて守っているのが面白い」などという動機で作られることもあるが、会社員としての正しいふるまいを広めんとする「マナー講師」が作っているという説も有力だ。

マナーを教える者が自らマナーを作り出し、「リモートワークにはこういうマナーがあるので、知らなければ御社は恥をかきますよ」という風に煽れば、自分のところにマナー講習を受けにくる客が増える、ということになるだろう。

また、リモートワークのシステムを提供する会社も、「偉い人ほど大きく表示すべき」、「上司は上座に表示すべき」というマナーができれば、「表示の大きさを変えられるシステム」や「上座を設定するシステム」の受注が来て儲かるのでは、という話になりかねない。

つまり、ルールを作り出せば、それを守るための何かが売れるということだ。

「下座」社員もニッコリできるビジネスマナーがあっただろうかは少ない

しかし、「消火器を売るために放火する」のはすごく迷惑であるのと同じように、勝手に面倒なマナーを作られるのは、現場にとって非常に厄介なのだ。リモートワークに関するもののみならず、根拠不明なあやしいビジネスマナーは「クソビジネスマナー」として下座側の人間に憎まれ続けている。

かといって、マナーが全てくだらないというわけではない。「リモートワークの時は乳首が隠れる服装にしましょう」など、最低限守らなければいけないことはある。だが、マナーを守るために仕事の効率を落とさなければいけないようでは本末転倒である。

「相手が名刺を出すと見せかけて投げてきた手裏剣二枚をかわすために最適なおじぎの角度が45度」などといった明確な根拠があるもの以外、ビジネスマナーは最低限に抑えるのが合理的だ。しかし、下座側の人間は上に「これがマナーやで」と言われたら、どんなにめんどくさいと思っても従う他ないのである。

よって、部下がいらぬクソビジネスマナーに時間を取られぬよう、上座側が社外はともかく社内では、「いらないマナーは守らなくて良い」と指示することが必要なのだ。

リモート会議で「俺の顔が一番でかく表示されている!」と喜んでいるようでは、部下の給料やシステム開発費といった貴重な費用を、無意味な講座やシステムに吸われるだけである。