AppleはiPhoneの新モデル「iPhone16シリーズ」を発表しました。例年通り、iPhone 16/16 Plusのスタンダードモデル2種と、iPhone 16 Pro/Pro Maxのプロモデル2種をラインアップ。両者の違いはどんな部分にあるのでしょうか。販売が継続されるiPhone 14/15シリーズとの比較も含めて解説します。

Pro/Pro Maxがサイズアップして重さもアップ

iPhone 16/16 Plusは前モデルと同じ画面サイズの6.1インチ/6.7インチ。一方でiPhone 16 Pro/Pro Maxは6.3インチ/6.7インチにサイズアップしました。

  • iPhone 16/16 Plusは前モデルと同じサイズ。Pro/Pro Maxはいずれも幅約1mm、高さ約3mm大きく

その分、重さもアップしています。iPhone 16/16 Plusはどちらも少しずつ軽量化されていますが、Pro/Pro Maxはサイズが大きくなったことでリバウンド。ただ、それでもiPhone 14シリーズよりは軽量です。

  • iPhone 15 Pro/Pro Maxはチタニウムボディになって軽量化されましたが、iPhone 16 Pro/Pro Maxでサイズアップしたためにリバウンド

メインカメラは「Fusionカメラ」に、Proは5倍ズーム搭載

iPhone 16シリーズ全モデルで、「メインカメラ」が光学2倍ズームを統合した「Fusionカメラ」と名称変更。ただし発表会の説明を聞く限りでは48MPクアッドピクセルセンサーから一部を切り出して12MPの「光学2倍ズーム」としているようです。iPhone 15/15 Plusの光学2倍ズームと同じ仕組みです。

  • クアッドピクセルセンサーを使った「2倍ズーム」機能。2023年と2024年で同じような説明がなされています

新機能として、AppleVision Proで3D投影ができる空間写真・空間ビデオ撮影に対応しました。iPhone 16/16 Plusのカメラ配置が縦並びに変更されたのはこのためのようです。

一方Pro/Pro Maxは、メインのFusionカメラに加え超広角カメラも48MPに。また、昨年初めてiPhone 15 Pro Maxに搭載された光学5倍ズームカメラがiPhone 16 Proにも搭載され、どちらも7種類のレンズ使い分けが可能になっています。さらに、イメージセンサーのデータ読み込みが速く、シャッターラグのない撮影が可能です。

  • 数字で見ると徐々に進化していることがわかります。iPhone 16 Pro/Pro Maxは両方とも光学5倍ズーム搭載、超広角カメラも48MPになりました

全モデル4Kドルビービジョン対応の撮影が可能

ビデオ撮影機能では、iPhone16シリーズ全モデルで4K ドルビービジョン対応撮影(24/25/30/60fps)が可能になりました。

さらにPro/Pro Maxではスマートフォン初の4K 120fps ドルビービジョン対応撮影が可能に。A18 Proチップのパワーで、フレームごとのカラーグレーディングまで行うことができます。ProResでも4K 120fps撮影が可能になり(外部ストレージ保存)、名前のとおりプロ向けの映像撮影機材と言えるでしょう。

また、機械学習によるマイク性能の向上にも注目。全モデルで空間オーディオ録音に対応し、ビデオ内での声の聴こえ方を調整できるオーディオミックス機能に対応。さらにPro/Pro Maxは高品質の4マイク構成になっています。

チップは「A18」と「A18 Pro」搭載

iPhoneの性能を決めるチップは、iPhone 16/16 Plusが「A18」を、Pro/Pro Maxが「A18 Pro」を搭載しました。A18 Proは、メモリ帯域幅やCPUのキャッシュサイズを大きくすることでより高速に、負荷の高い処理でも高いパフォーマンスを発揮すると説明されています。

ただ、通話やSNSなどの日常的な使用で両者の違いを感じることはほとんどないでしょう。違いが出るのはヘビーなゲームやプロレベルの映像撮影・編集といった負荷の高い処理ですが、今後はApple Intelligenceが使われるようになった時も、差が感じられるかもしれません。

  • iPhone16シリーズは全モデルがApple Intelligence対応に。メモリも全モデルが8GB搭載なので、これもApple Intelligenceの動作に影響が大きい要素なのかも

バッテリーはどれもスペック値UP、無線充電も高速に

気になるバッテリーもチェックしておきましょう。いずれも前モデルよりバッテリー持続時間が長くなっています(ビデオ再生時のスペック値)。特にPro/Pro Maxは伸びが大きいのですが、これはバッテリー容量だけでなくチップの省電力性能も影響していると推測されます。

  • 各モデルのビデオ再生時間(スペック値)。iPhone 16シリーズでは全体が伸びた他、無印とPro Maxとの差が広がっています

また、全モデル従来と同じく高速充電に対応しているほか、無線充電(30Wまたはそれ以上のアダプタとMagSafe充電器の組み合わせ)でも高速充電が可能になりました。

昨年からの価格据え置きでiPhone 16/16 Plusにお買い得感

最後に価格です。iPhoneの米国内価格は基本的にこの数年据え置きで設定されてきました。日本国内価格が徐々に値上がりしていたのは為替レートの影響です。

今年も円安傾向が続いていましたが、夏頃から徐々に値を戻し1年前とほぼ同じ水準で推移しています。このためか、日本国内価格も昨年のiPhone 15シリーズからすべて据え置きとなりました。

  • iPhone16シリーズの価格一覧。各モデルとも昨年発売時のiPhone 15シリーズから据え置きに

特にiPhone 16/16 Plusは、2世代アップのA18チップ搭載、Apple Intelligence対応、カメラやバッテリーの性能アップなどを考えると「価値ある据え置き」と言えるでしょう。

また、iPhone 14/14 Plusおよび15/15 Plusは値下げして販売が継続されています。価格重視ならこちらも選択肢に入るかもしれません。

  • iPhone 14/15およびiPhone 14 Plus/iPhone 15 Plusの現行価格