資料や書類にどこからでもアクセス

これまで3回にわたってクラウドストレージを使う方法を取り上げてきた。取り上げたサービスは次の3つだ。クラウドストレージサービスはこれだけではないので、普段使っているサービスがあるならそちらを使ってもらえればと思う。

  • iCloud Drive (Apple)
  • Microsoft OneDrive
  • Google Drive

最初にクラウドストレージサービスを取り上げたのは、「Windows 10からもiPhoneからもアクセスできるオンラインストレージ」を用意するためだ。仕事術の基本として、こうしたクラウドストレージに書類を集約する方法を実現したい。

会社や自宅ではPCで作業を行い、移動中はiPhoneを使う。こういうスタイルのビジネスマンは少なくないだろう。ノートPCを持ち歩くこともあるが、ノートPCでも同じ問題が発生する。必要となる書類の管理をどうするかというものだ。以前であれば、データをコピーしたりUSBメモリに入れたりして持ち運んだかもしれないが、現在ではクラウドストレージを使う方法がよい。手軽だし、常にユニークなデータにアクセスできる。

開発者であれば同様のことはすでにGitHub.comで経験済みだが、GitHub.comを開発者ではないビジネスマンに勧めるのはちょっとばかり難しいところがある。より広く使えるのはクラウドストレージサービスだ。

ただし、社内規定や法令遵守の観点からクラウドストレージを使えない職場もある。MicrosoftやGoogleのエンタープライズシステムを導入しているなら、そうした企業の管理下にあるクラウドストレージに使うことで同じことができるが、そうしたサービスも使っていないとなると、クラウドストレージを使ってどこからでもアクセスできる状況を作るのは難しい。そうした場合は別の手段を講じることにする。

iPhoneからは「ファイルアプリ」

その方法は簡単だ。PCから、仕事で使う書類をなるべくクラウドストレージに整理するようにする。クラウドストレージをメインに、PCやほかのクラウドストレージをバックアップに使う、といった感じにしておくとよいだろう。クラウドストレージといえども、いつどうなるかは誰にもわからないので、基本的にバックアップは常に取っておくものだ。

iPhoneからは「ファイルアプリ」を使う。

  • ファイルアプリ

    ファイルアプリ

前回までのセットアップが済んでいるなら、ファイルアプリからクラウドストレージにアクセスできるようになっている。

  • ファイルアプリからクラウドストレージにアクセス

    ファイルアプリからクラウドストレージにアクセス

例えば、次のスクリーンショットはファイルアプリからiCloud Driveを表示させたところだ。iCloud DriveはiPhoneユーザーならほぼ確実に使っているクラウドストレージサービスなので、iPhoneユーザーとしては扱いやすい。

  • ファイルアプリでiCloud Driveにアクセス

    ファイルアプリでiCloud Driveにアクセス

iCloud Driveに仕事関係の書類をまとめてあるとすると、iPhoneのファイルアプリから次のような感じで閲覧することができる。

  • 仕事関係の書類をまとめた状態

    仕事関係の書類をまとめた状態

代表的な形式のデータであれば、ファイルアプリのまま閲覧できる。

  • iCloud DriveのPDFファイルを閲覧しているところ

    iCloud DriveのPDFファイルを閲覧しているところ

こんな感じでデータを整理しておくと、会社や自宅にいる段階でとりあえず必要なデータをクラウドストレージに整理しておき、タクシーや新幹線、電車といった移動中にiPhoneから資料をチェックする、といった使い方ができる。極力無駄な時間を排除して、効率よく作業を進めることができるというわけだ。

有償サービスも念頭に置こう

書類をクラウドストレージに整理しておくことは思いの外便利で、一旦この楽さを体感してしまうと、いろんなものをクラウドストレージに突っ込んでおくようになってくる。悪いことではないと思うが、すぐにクラウドストレージの容量を食いつぶしてしまうという問題が発生する。

クラウドストレージサービスの有償サービスはそれほど高額ではない。データを持ち運ぶ手間やリスクを考えると、クラウドサービスにデータを集約しておくことは悪い投資ではないと思う。例えば、今回使ったiCloud Driveの本稿執筆時点でのストレージプランと料金は次のようになっている。

合計容量 月額料金(税込み) 年額(月額×12)
50GB 130円 1560円
200GB 400円 4800円
2TB 1300円 15600円

50GBのクラウドストレージで年間1560円(税込)だ。仕事の種類や取り扱うデータによって変わるので一般的なことは言えないが、扱うデータがMicrosoft Word、Microsoft Excel、PDFといった文書系データであれば、50GBは当面使い続けるには十分な容量ではないだろうか。

200GBになると年額4800円だ。多少高額になってくるが、5000円ほどで追加のオンラインストレージが手に入るなら悪くはない。この容量ならiPhoneやiPadなど複数のAppleデバイスのバックアップを取りつつ、Appleの各種サービスでiCloud Driveを使っていてもすぐに満タンになったりはしないだろう。

結局のところ、ストレージの消費量は使い方によって異なるので一般的なことは言えないのだが、自分が現在使っている容量、今後数年間で使うことになるであろう容量、この辺りを加味して有償プランを使うというのは悪くない選択肢だと思う。最初は無償のストレージ容量のまま使ってみて、本格的にこの使い方をしていこうと決めたら、有償プランも検討してみてはいかがだろうか。

参考資料