第8回 iPad miniでOfficeファイルを扱う

iPadの大きさでWordやExcelなどのOfficeファイルが扱えたらいいのに。iPadをビジネスに使い始めた人は必ずそう考えるはずだ。最近はかつてのようなMicrosoft Officeしかないという現状でもないが、やはり仕事で使うソフトはOfficeであり、Excelの表計算ソフトだ。

実は米国では先月から『Office Mobile for iPhone』というアプリが公開されている。これはMicrosoftのクラウドサービス「Office 365」に加入している一部のユーザーに無償で提供されているもので、Word、Excel、PowerPointのファイルを閲覧して編集できる。ただしiPadにはまだ対応していない。また日本での展開は未定と、iPadで利用できるのはいつになるかまったく分からない状態だ。

米iTunesではダウンロードできる『Office Mobile for Office 365 subscribers』

さてそれではiPadでOfficeファイルを扱うことができないかと言えばそんなことはない。すでにいくつかの方法が存在している。

まずはアップルのオフィススイート、『iWork』を使うこと。iWorkにはワープロソフトの『Pages』、表計算レイアウトソフトの『Numbers』、そしてスティーヴ・ジョブズが自分のプレゼンのために作ったと言われるプレゼンソフト『Keynote』の3つがあり、それぞれWord、Excel、PowerPointのファイルを読み込んで加工することができる。互換性はまずまずといったところで、Wordのレイアウトは微妙にずれることが多かったり、Excelのマクロには対応していない。またPowerPointの場合はトランジションやアニメーションに互換性がない。

ただこれらのアプリを使ってみると非常に使いやすいことが分かるはずだ。タブレットでも使いやすいように最適化されており、Macにも同じiWorkがあるためデータの互換性もある。今後iPadを仕事に活用したいなら、この際、iWorkで読み込んだオフィスファイルを作り直して乗り換えてみるのも良いだろう。

ワープロソフト『Pages』はレイアウト機能も備えた本格的なワープロ。Wordよりも見栄えもいいと評判だ

『Numbers』は純粋な表計算ソフトというより、強力な表計算機能を備えたレイアウトワープロと言った方がいいかもしれない。スプレッドシートやテキスト、グラフを自由に配置できる

『Keynote』はこれを目的にWindowsからMacに乗り換えたという人がいるほどの人気アプリ。PowerPointにはないアニメーションや綺麗なグラフィックが人気の理由だ

さらにiOS 7以降では『iWork for iCloud』という、Mac、Windows、iPhone、iPadの全ての環境で使えるクラウドサービスが開始される予定だ。これまでWindowsでiWork書類を扱うことができないために普及が進まなかったが、iWork for iCloudによって一気に広まる可能性もありそうだ。

秋にはスタートすると言われているiWork for iCloud。一部にはiCloudユーザーには無料で開放されるという話もあり、この秋に期待がかかる

他にもアプリとして、『Office 2 HD』がある。多くのOffice対応アプリが閲覧のみというものが多い中、このアプリは編集、新規作成も可能だ。また各クラウドサービスに対応しており、DropboxやGoogle Driveなどに直接アクセスしてデータを表示、編集できるのもポイントだ。

Office 2 HDを使って図3のNumbersと同じスプレッドシートを開いたところ。計算式は正しく表示されたが、グラフ機能がないため表示できていない。セルの数字や計算式は編集が可能だ

各種クラウドサービスに対応しており、クラウドストレージから直接データを読み込んだり、アップロードして保存することも可能だ

もうひとつの方法は、Webサービスを使うこと。MicrosoftのSkyDriveには『Office Web App』というクラウド上で利用できるOfficeがある。SkyDriveアプリからアクセスする場合はアップロードと閲覧しかできないが、iPadの『Safari』でSkyDriveにアクセスするとファイルの編集が可能になる。Microsoftのサービスだけに互換性も高く、リボンインターフェイスで利用できる。しかも無料。ネットに安定して繋がる環境で利用するならこれがもっとも便利な方法だろう。

SafariからSkyDriveのサイトにアクセスして同じ文書を開くと、Excelそのままのインターフェイスで文書の編集が可能だ