iPad Proへの道 その10 現場で使ってみるその2 出版前のゲラチェックに活用

1カ月以上のご無沙汰でした。9.7インチiPad Proが出たのがショックで寝込んでいたわけではもちろんなくて、ちょいとあれこれと出版関連の原稿に取り組んでおりました。今回はその中でiPad Proを活用したお話。

今回取り組んでいたのはiPhoneのMook。Mookというのは雑誌と書籍の中間の本のことで、よくコンピュータコーナーに雑誌っぽいiPhone本とか並んでますね。あれです。iPhone 5SE発売のタイミングで、どの機種でも使えるiPhone解説本を目指して作成された「iPhone入門&使いこなしガイド」。好評発売中、ぜひ書店でお求めくださいませー。

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っていうことでこの本の執筆をしてたというわけ。原稿はさすがにiPad Proでは書けないのでMacを使用。iPhoneの画面キャプチャーをして加工したり、修正すべき点をテキストで書き出したりしてまとめていく地道な作業を1カ月あまり。随時原稿を提出していくと、この原稿を元に編集さんが修正、デザイナーさんが作ったレイアウトに流し込んでページができる。iPad Proを使うのはここから。出来上がってきたページはPDFで送られてくるので、これをチェックする作業をiPad Proで行うことに。実はiPad Proはこの手の作業にとても向いてるんですよー。

PDF Expertを使う

今回利用したのは「PDF Expert 5」というアプリ。PDFファイルを読み込ませた上に、Apple Pencilを使って修正ポイントに丸をつけてそのまま手書きで修正を書き込んでいくことができる。保存すると書き込まれた情報もそのまま残るので、PDFファイルで再度送り返せばいいというわけ。

PDF Expert 5は1,200円の有料アプリ。PDFを使った注釈付けに最適

PDFファイルに直接Apple Pencilで注釈や指定を書き込んでいく

例えば書いてあるテキストを削りたいときは「注釈」モードにして、赤で訂正線を引く。テキストを書き換えたいときはメモを貼り、内容を書いておくということもできる。長い文章を直す場合だと、このほうが正確な修正ができるはず。

訂正ツールを選び、Apple Pencilで訂正箇所をなぞって赤で訂正線を入れる

修正部分のテキストを置き換える場合はメモを貼り付けることもできる

PDF Expertには修正箇所を選択してワープロのように直接テキストを修正することができるマークアップモードもある。修正したい文章のブロックを選ぶと、ワープロのように直接文字を入力できる。

ツールバーの[マークアップ]をタップし、修正したいテキストブロックをタップして選択

テキストブロックが選択され、直接ワープロで入力するようにテキストを修正できる

プレビューで見るとテキストがそのまま修正されている。

注釈モードで見ると消したところに訂正線が入っていて、修正したテキストは訂正線の下にあるアイコンをクリックすることで修正テキストが表示される。

プレビューなら行間は少し広いが修正したままのものが表示される

注釈モードにすると訂正線がつき、末尾に記号が表示されている

タップすると修正内容が表示される

マークアップ形式は修正が簡単でわかりやすいが、Macの「プレビュー」アプリだと注釈が表示されないので注意が必要だ。Adobe Readerでは注釈がちゃんと表示され、マウスカーソルをアイコンに合わせることで内容も表示できる。相手の環境をちゃんと確認して使うか、注釈モードでメモを貼り付ける形式で利用する方が確実だ。

Macの「プレビュー」アプリで表示すると注釈部分は表示されない

Adobe Readerだと表示できる。相手の環境をしっかり確認しよう

ファイルの受け渡しはクラウドで

PDF ExpertのPDFファイルの受け渡しはもちろんiTunesからでもできるが、クラウドストレージサービスが利用できるのでそちらを使うのが便利だ。 iCloudはデフォルトで設定されており、サイドバーからタップすればすぐ利用できる。iCloud Drive上にPDF Expertのフォルダができて、Macやその他の機器からも参照できる。

サイドバーの「iCloud」からiCloud Driveにアクセスできる

MacからiCloud Driveを見れば、PDF Expertのフォルダができているのがわかる。Macとのファイルの受け渡しはこれを使うのが便利

他にも「ネットワーク」からクラウドストレージサービスを選んで利用可能。DropboxやOneDriveなど自分が利用しているものを選ぼう。

その他のサービスは「ネットワーク」から選択可能。WindowsユーザーならOneDriveを使えば良いだろう

ということで「絵を描かない」iPad Proを仕事で使うならこれは結構良さそうだ。特に我々のような出版に関わる人間にとっては便利なツールと言えそう。よーし、次の本でもこのアプリを活用するぞー。