Firefox 3には、数え切れないほどのエンドユーザ向け新機能が用意されている。スペースの都合上、すべてをとりあげることはできないが、特に目に入りやすい / 目に入れてほしい機能を紹介してみよう。

新しいインタフェース

やはり最初に目につくのは、一新されたインタフェース。デフォルトのテーマ (外観を決めるアイコンなどのセット) が一新され、WindowsとMac OS X、Linuxの各プラットフォームに応じたデザインに変更されているのだ。テーマはカスタマイズ可能とはいえ、大半のユーザがデフォルトのまま使い続けることを考慮すると、やはり大きな変更点といっていいだろう。

Mac OS X版のFirefox 3 (上) とFirefox 2.0 (下)
Windows XP版のFirefox 3 (上) とFirefox 2.0 (下)

強化されたセキュリティ

セキュリティの強化も重要なポイント。ウイルスやスパイウェア、トロイの木馬といった「マルウェア」を検出、ユーザに警告する機能が新たに用意された。この機能は、Googleが開発した「Google Safe Browsing API」を利用したもので、Googleが不正 / 不審なサイトの情報を集め作成したブラックリストと照合、一致した場合は警告を発するというもの。仕組みとしては単純だが、ユーザが"怪しい"URLをクリックする前に警告できるので、効果は大きいと思われる。

ウイルススキャンソフトとの連携も可能になった。ファイルのダウンロードが完了すると、完了した旨をウイルススキャンソフトに通知、ただちに削除なり無効化なりの対策が行われるという仕組み。ただしこの機能、Windows XP SP2以降に装備されたWindowsセキュリティーセンターの機能 (IOfficeAntiVirus) により実現されるため、Mac OS XやLinuxでは利用できない。

Google Safe Browsingの技術が利用されているマルウェア検出機能

これがイチオシ! な新機能 (1) - DBエンジンの統合

「履歴とブックマークの管理」 (旧称: Places) でも逐語検索が可能

Firefox 3には、オープンソース / パブリックドメインなDBエンジン「SQLite」が組み込まれている。その機能は「履歴とブックマークの管理」や「ロケーションバー」に利用され、逐語検索 (インクリメンタルサーチ) ライクな操作性を実現している。

そのポイントが、一度閲覧したサイトの情報 (サイト名、URLなど) はデータベースに蓄積されるという仕様だ。たとえば、本連載を一度閲覧すると、URL (http://journal.mycom.co.jp/ ~) やページタイトル (完全理解Firefox - いま知るべきWebブラウザの ~) が記録され、その文字列を利用した検索が「履歴とブックマークの管理」や「ロケーションバー」から可能になる。ロケーションバーに「mycom」などURLの一部、あるいは「いま知るべき」や「完全理解」といったページタイトルの一部を入力すれば、本連載のURL (表示したことのあるページに限られるが) が候補として表示されるのだ。

動画 - 「ロケーションバー」
ロケーションバーで閲覧済のページを検索できる

これがイチオシ! な新機能 (2) - フルページズーム

Firefox 3の印象的な新機能といえば、やはり「フルページズーム」だろう。従来はズームインするとフォントのみ拡大されていたが、今後は画像とともに拡大される設定がデフォルトになる (フォントのみ対象とする設定にも変更可能)。IE7やOpera、iPhone / iPod touchに搭載のSafariでは実装済の機能だが、Firefox 3には独自の"賢さ"が盛り込まれている。

それが、「サイトごとのズームレベル記憶機能」。たとえば、マイコミジャーナルのサイト内 ( http://journal.mycom.co.jp/ 以下) でズーム比率を200%に設定すると、次回アクセスしたときにはその200%が適用される。新機能の「コンテンツマネージャ」が、サイトごとのズームレベルを記録しているのだ。設定は再起動後も残るので、なんども同じ操作を行う必要はない。

動画 - 「フルページズーム」
このように、テキストと画像が同じ比率でズームイン / アウトされる

これがイチオシ! な新機能 (3) - 複数範囲の選択

あまり知られていないようだが、「複数範囲の選択」も推しておきたい。ページ上にある複数範囲のテキストをコピーするとき、範囲指定してコピーという作業を繰り返すことが一般的だが、Firefox 3では[Control] (Mac OS Xでは[Command])キーを押しつつ範囲を指定すると、連続しない複数の範囲を選択できるのだ。ブログの記事に他のページを引用するときなど、便利に使えることだろう。

動画 - 「複数範囲の選択」
あるようでなかった? 複数範囲の選択が可能に

これがイチオシ! な新機能(4) - APNG

Webブラウザとともに普及し、バナー広告などで活用されてきた「アニメーションGIF」だが、最大256色で透過表示に対応しないなどの機能制限により、いまやFlashなどの新技術にその座を奪われつつある状況だ。しかし、Flashはオープンな技術ではなく、アニメーションGIFほど気軽には利用できないというデメリットもある。

そこで注目を集めているのが、PNGの仕様を拡張した「APNG」。Mozillaのメンバーにより提唱され、24ビットカラー / 8ビット透名色に対応するなどアニメーションGIFの短所をクリア、Firefox 3で正式されたフォーマットだ。こちらについては百聞は一見にしかず、「Better animations in Firefox 3」でサンプルを確認したほうが理解しやすいだろう。

動画 - 「APNG」
Firefox 3では、これらの進行状況インジケータと時計が動く

5月31日、「Mozilla Party JP 9.0」開催

5月31日(土)、ユーザコミュニティ「もじら組」主催、Mozilla Japan協賛によるイベント「Mozilla Party JP 9.0」が開催される。開催時間は13:00~17:40で、場所は東京都大田区南蒲田1-20-20 大田区産業プラザ(大田区産業会館PIO 小展示ホール)

米Mozilla Corporationから、Project SUMO (support.mozilla.com)担当者David Tenser氏、韓国においてMozillaコミュニティ活動を中心的に行っているChanny Yun氏が講演を行う予定となっている。またMozilla JapanのJohn Daggett氏が、Firefox 3グラフィック関連機能についてスピーチする。詳細はMozilla Party JP 9.0のWebサイトを参照されたい。

開催日時・場所

日時: 2008年5月31日(土) 13:00~17:40
会場: 大田区産業会館PIO 小展示ホール
参加費: 無料
最寄り駅: 京急蒲田駅、JR京浜東北線・東急多摩川線・池上線の蒲田駅