6月11日、12日に『ストリートファイターV CE(SFV)』の公式大会「CAPCOM Pro Tour 2022(CPT2022)」の日本大会が開催されました。優勝したのは、忍ismゲーミングのももち選手。優勝賞金2500ドルと世界大会「カプコンカップ9」への出場権を獲得しました。

  • 唯一の日本での大会となったCPT2022日本での優勝は忍ismゲーミングももち選手

2022年は、日本で開催されるCPTはこの大会のみ。昨年4枠、一昨年の2枠(日本ではなくアジア東での開催)から大幅に減っています。ただ、これはCPT2022が3つに分かれたため。世界19地域で各1回ずつ実施される「オンラインプレミア」のほか、オフラインで実施される個人戦トーナメント「オフラインプレミア」、新たな地域単位での大会群「ワールドウォリアー」を実施する予定です。

オフラインプレミアとワールドウォリアーについては、まだ詳細が発表されていませんが、おそらくオフラインプレミアは日本で1大会以上ありそうな気配ですし、ワールドウォリアーも東アジアもしくはアジア全域で開催し、日本人プレイヤーの多くが参加できるのではと予測しています。この3つのレギュレーションから48名がカプコンカップへの出場者が選ばれます。

とはいえ、現状で判明している「確実に日本人選手がカプコンカップへ出場できる切符」は、今回のCPT2022のみなので、プロ選手としてはここで出場権を獲得しておきたいところでしょう。

なお、6月になってからは『ストリートファイター6』のバトルシステムや登場キャラクターなどの情報が少しずつ公開されています。北九州で開催される「ストリートファイター展|俺より強いやつらの世界展」で、『ストリートファイター6(SF6)』のロケテストを行うことも発表されており、発売予定は2023年ですが、早い段階でリリースされる可能性もあると見られています。そのため、もし2023年のCPTが『SF6』で開催されるとすれば、『SFV』でのCPTは今回が最後になるかもしれません。

  • 2022年のCPTは、オンラインプレミアとオフラインプレミア、ワールドウォリアーの3つの大会群で、48名のカプコンカップへの出場者を決定します

  • 大会前日の6月10日に発表された『SF6』のガイル参戦。続々と『SF6』情報が発表されています

今大会の出場登録者数は、313人と昨年のCPTとほぼ変わらない状態。しかし、ストリートファイターリーグのトライアウトなどで一気にプロライセンス保持者が増え、いつものベテラントッププレイヤーに加え、若手プレイヤーがトッププレイヤーの仲間入りをしています。

そのため、どのプールをみてもトーナメントの初戦の2試合に1人くらいの割合でプロ選手がいる印象。2回戦、3回戦でプロ同士が当たるのは当たり前と言ったところです。

そんな状況の中で、ベスト16にきょうへい選手とKeitsu選手、じゃじぃ選手の3名がプロライセンス非保持者として勝ち上がっています。特に、きょうへい選手とKeitsu選手はウィナーズでベスト16まで勝ち上がっており、あと1勝すればプロライセンスの推薦が受けられるところまで行きました。

ですが、きょうへい選手はゆーさま選手とひぐち選手に、Keitsu選手はももち選手とウメハラ選手に、じゃじぃ選手はときど選手に敗北を喫し、今大会でのプロライセンスの取得者は残念ながら出ませんでした。

また、ベスト16ではぷげら選手対ガチくん選手の盟友対決やひぐち選手とヤマグチ選手の元同門で同期門弟対決、YHC-餅選手対ウメハラ選手のSFLチームメイト対決など、ファイナル以上の熱いカードが発生したのも印象的でした。

  • Keitsu選手は2戦中1回勝利すればプロライセンス取得でしたが、現プロゲーマーに阻まれました

  • 元同門対決は、再春館Sol熊本のひぐち選手に軍配があがりました

そんな激戦のトーナメントの中、ファイナルに進んだのは以下の8名。ウィナーズブラケットにはゆーさま選手、ももち選手、よっさん選手、ぷげら選手の4名。ルーザーズブラケットにはひぐち選手、ウメハラ選手、ときど選手、ガチくん選手の4名です。

この中で注目したいのがゆーさま選手。プロライセンスを2020年に取得したニューカマーと思いきや、ウィナーズの初戦の対戦相手となるベテランももち選手よりも年上の37歳。遅れてきたルーキーと言える存在です。

ただ、格ゲー歴は長く、『GUILTY GEAR』シリーズや『ペルソナ4ジ・アルティメット』シリーズなどで活躍していました。残念ながらももち選手、ガチくん選手に敗北し、ファイナルでの活躍を見せつけることはできませんでしたが、ほかの格ゲーからの転向組のベテランでも活躍ができることを実証していました。

ウィナーズファイナルでは弱体化したと言われるバイソンを操るぷげら選手と強化したと言われるコーディ操るももち選手が相対します。一進一退の攻防のなかぷげら選手が勝利を収め、ルーザーズからの勝ち上がりを待ちます。

  • ファイナルのトーナメント表。ウィナーズブラケットにゆーさま選手が残っていることが印象的です

ルーザーズではルークとの戦い方に苦悩の日々を送っていたガチくん選手が、苦しんだうえで出した回答をひっさげ、暴れまくります。初戦でときど選手に、2回戦目でゆーさま選手に、ルーザーズセミファイナルではひぐち選手に、いずれも1度もセットを落とさず3連勝。前日のベスト16でぷげら選手に敗北しているものの、現状一番良い状態であるかに思われました。

しかし、ウィナーズファイナルから落ちてきたももち選手がそのガチくん選手を退け、グランドファイナルでぷげら選手への挑戦権を獲得します。

ガチくん選手以上の仕上がりを見せつけたももち選手は、グランドファイナルを3-0で勝利し、リセットを達成。ぷげら選手がもう1人の使用キャラであるポイズンを出すも、状況は変わらず、リセット後も3-0でももち選手が勝利を収めます。終わってみれば、ももち選手がグランドファイナルを6連勝で飾り、完全勝利を果たしました。

最後に負けたぷげら選手の仕上がりも決して悪くなく、ガチくん選手と同様に、大会で一番乗っている選手と思われましたが、ももち選手がその上を行き、ファイナリスト全員が最高のパフォーマンスを見せた大会となりました。

  • グランドファイナルは不利なルーザーズから、6連勝を決めてももち選手が勝利を収めました

そんなCPT日本大会ですが、筆者も参加してきました。結果から言えば0勝2敗とまったく良いところがなく、そしてプロ選手との対戦もなく終了しました。

ただ、コミュニティなどで頻繁にプレイしているテクニカルライターの西川善司さんが大躍進。1回勝てばカワノ選手との対戦となる予定でしたが、初戦を勝ち抜くと、なんとカワノ選手がミカ使いの選手に敗北しており、西川善司さんがそのミカを倒す大金星を上げます。3回戦目でプロ選手のUryo選手に敗北し、ルーザーズでも負けてしまいましたが、かなり見せ場を用意してくれていました。仲間内と一緒に参加すると、自分以外の結果でも盛り上がれるところが良いところですね。

  • プロゲーマーに勝利し、自身もアルティメットグランドマスターである圧倒的格上のゆうき選手に勝利した西川善司氏

さて、2022年に日本で開催されるCPTはこれで終了です。今後、オフラインプレミアやワールドウォリアーなどの大会群で日本人選手が活躍してくれると思いますので、そちらの情報を待ちたいところです。

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