2021年8月12日~15日に、高校対抗eスポーツイベント「STAGE:0 2021」の決勝大会が開催されました。「STAGE:0」は今回で3回目。2020年に引き続き、基本的にオンラインですが、会場に訪れることが可能なチームはオフラインでの参戦です。

大会で使用されるタイトルは、『リーグ・オブ・レジェンド』『クラッシュ・ロワイヤル』『フォートナイト』の3タイトル。6月に行われたブロック予選、7月に行われたブロック代表戦を経て、『リーグ・オブ・レジェンド』と『クラッシュ・ロワイヤル』は各9チーム、『フォートナイト』は44チームが決勝大会に出場します。さらに今大会の最終日には、「GAME PARTY」を開催。大会アンバサダーやストリーマーと予選を勝ち抜いた高校生による『フォールガイズ』の試合が行われました。

『リーグ・オブ・レジェンド』部門は、これまでの2大会でN高校が優勝しており、3連覇がかかっています。2020年準優勝に終わったクラーク記念国際高校もリベンジに燃えており、「Yuki飯食べ隊」と「sesa飯食べ隊」の2チームが決勝トーナメントに進出。しかし、組み合わせの妙でN高校と対戦する前にお互いを潰しあう結果となり、最終的にはN高校(N1)が優勝、見事3連覇を果たしました。

  • 『リーグ・オブ・レジェンド』部門優勝のN高校(N1)

  • 女子プレイヤーが2人在籍するIDA(IDAGaming)も決勝大会に進出しています。初戦でアートカレッジ神戸(アートカレッジ神戸A)を下すも、準々決勝で国際アート&デザイン(FSF1st)に敗れました

  • 2連覇の立役者である先輩や元プロ選手のコーチによる指導で、N高校の強さが継承されていました

『クラッシュ・ロワイヤル』は、3部門の中でN高校が唯一優勝チームを輩出していなかった部門。決勝トーナメントに進出した9チームはN高校以外にも強豪校がそろっており、力の差はほとんどありません。

同志社高校(Black Taias)は世界大会優勝のたぁ選手を筆頭に、前シーズンでトロフィー8000超えのトッププレイヤーを擁する優勝候補。対戦する市川高校も参加者の中で最多トロフィー数8327を誇るともき選手を中心にハイエンドプレイヤーをそろえています。トーナメントの組み合わせやタイミング如何によってはどこが優勝してもおかしくない状態でした。

そんな中で見事優勝を勝ち取ったのはN高校(Teamおひさま)。悲願の初優勝を手にしました。

  • 『クラッシュ・ロワイヤル』部門優勝のN高校(Teamおひさま)

  • もっとも大会を沸かせたと言える一関第二高校(45°バックエスステーション)。フィリピン国籍ハレルゴ選手がチームのみならず、スタジオ全体を盛り上げていました

  • 日本人初の世界王者たぁ選手率いる同志社高校(Black Taias)

日程的に『リーグ・オブ・レジェンド』と『クラッシュ・ロワイヤル』が終了し、N高校の2冠が達成された状態で開始された『フォートナイト』部門。必然的にN高校の3冠達成、もしくは阻止に注目が集まります。N高校は4チームが決勝ラウンドに残っており、しかもその1チームは2020年優勝したchocoluv選手が参加。期待感が高まります。

『フォートナイト』部門では、今回ルールを改定しています。相手を倒すと獲得できるエリミネートポイント、いわゆるキルポイントが前年の1ポイントから2ポイントになりました。高順位を獲得するよりも、アグレッシブに戦ったチームがポイントを稼げるようになっています。

また、順位ポイントもビクトリーロイヤル(1位)と2位の差は4ポイントあるものの、5位以下は1ポイント刻みとなるので、差がつきにくい印象です。試合数も6に増え、ビクトリーロイヤルを1度くらい獲得してもまったく安心できません。

実際、優勝したルネサンス高等学校新宿代々木キャンパス(見て、見て見て見て~~~~~!)は、1度もビクトリーロイヤルを獲得することはありませんでした。6試合すべてでコンスタントにエリミネートポイントを稼ぎ、順位は安定して上位をキープしています。

準優勝となった成城学園(フルーツ牛乳飲む人)は、2度のビクトリーロイヤルを獲得。キルポイントもしっかり獲得し、5試合目まで首位を独走していましたが、6試合目は早々にリタイアしてしまいます。その試合で獲得したポイントは0。5試合目まで2位に22ポイント差をつけていましたが、1ポイント差で2位となってしまいました。

  • 『フォートナイト』部門優勝のルネサンス高等学校新宿代々木キャンパス(見て、見て見て見て~~~~~!)

  • 1位と2位の差はなんと1ポイント。見事逆転でルネサンス高等学校新宿代々木キャンパス(見て、見て見て見て~~~~~!)が優勝しました

  • 惜しくも2位となった成城学園。Ruiサナ選手はアジア王者になった実力者です

最後にエキシビション的な「GAME PARTY」が開催されました。大会アンバサダーであるアンガールズ田中卓志さんやみちょぱさん、ストリーマーやVTuberまで参加しています。

はじめは後夜祭的なイベントかと思っていましたが、参加した高校生は『フォールガイズ』で有名なプレイヤーで、本大会以上の真剣勝負となりました。優勝したのは、N高校のふな選手。変則ながらN高校の3冠が達成されました。

  • 予選3試合とも出場し、3試合とも1ゲーム目で敗退した田中卓志さん。みちょぱさんは見せ場を作っていました

今回の大会で気になったのは1年生の活躍です。『フォートナイト』部門に出場していたルネサンス高等学校新宿代々木キャンパスのRyurai7選手と、えらーえらーえらーえらーえらー選手はどちらも1年生。ほかにも多くの1年生が決勝トーナメントまで進出していました。

特に『フォートナイト』部門は多い印象です。『フォートナイト』は、小中学生に人気が高く、高校1年生でも十分のキャリアがあることが要因でしょう。そして、「STAGE:0」は小中学生の『フォートナイト』プレイヤーにとって、目指す場所として確立しつつあることを実感しました。

実際に中学生のころに「STAGE:0」を見て、高校生になったら参加したいと決意した選手が散見されました。もはや小中学生プレイヤーにとって、「STAGE:0」が目標のひとつとして定着しているのかもしれません。

『リーグ・オブ・レジェンド』や『クラッシュ・ロワイヤル』も格段にレベルが上がっている印象です。「STAGE:0」に出場するために高校からプレイし始めた選手が多かった昨年、一昨年と違い、中学生のころから準備しているようでした。それもこれも「STAGE:0」が継続して開催され、目標になっているからでしょう。

大会の最後に「STAGE:0 2022」の開催が発表されましたが、この発表自体が早くなくなることを期待しています。運営側にとっては、翌年開催できるかどうか、さまざまな事情があると思いますが、そこは開催して当たり前と言ってほしいところです。例えば高校野球の夏の甲子園が来年も開催することになるかどうかなどは確認するまでもないわけで、出場を熱望する球児も毎年観戦しているファンも開催することを疑ってないわけですから。

また、今大会から変わったわけではありませんが、実況と解説も聞きやすく、多くの人が楽しめたのではないかと感じました。基本的に選手の親でもわかるような実況解説に加え、途中で大会アンバサダーの田中卓志さん、みちょぱさん、スペシャルサポーターのアルコ&ピースの2人、日向坂46のメンバーとの会話も挟み、みんなで楽しみながら見ているようでした。

田中卓志さんやアルコ&ピースは、ゲームもかなりやりこんでいるだけでなく、地方予選から高校生を見守ってきているため、選手の人となりも理解しています。片手間でやっているレベルではない腕前と豊富な知識はゲームファンにとって好感が持てたのではないでしょうか。

日向坂46の面々も『フォートナイト』を普段からメンバー同士で一緒にプレイしていたり、『クラッシュ・ロワイヤル』はトロフィー5000台と中上級者レベルまでプレイしていたりと、ただ大会に花を添える存在としての位置づけではないことがわかります。

東京2020のスケートボードでは、独特な解説が高評価を受けていましたが、実況解説とスタジオが一体となって大会を盛り上げる様は、新たな形として定着していきそうな気配です。