2021年1月30日に「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2020」のグランドファイナルが開催されました。「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2020」は、対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV CE』のプロ選手のみが出場できるリーグ戦です。
参加チームは「ウメハラゴールド」(ウメハラ選手、まちゃぼー選手、カワノ選手、ナウマン選手)、「トキドフレイム」(ときど選手、板橋ザンギエフ選手、りゅうせい選手、ストーム久保選手)、「モモチスプラッシュ」(ももち選手、藤村選手、ハイタニ選手、ジョニィ選手)、「ネモオーロラ」(ネモ選手、sako選手、ガチくん選手、キチパ選手)、「フードガイア」(ふ~ど選手、どぐら選手、ぷげら選手、シュート選手)、「マゴスカーレット」(マゴ選手、もけ選手、水派選手、MOV選手)。「東京ゲームショウ2020」で行われた開幕戦を皮切りに、2カ月半かけて対戦しました。
試合形式は団体の星取戦で、先鋒、中堅は1ポイント、大将戦のみ2ポイント獲得できる変則ポイント制。4人のチームメイトから3人選び、挑みます。リーグ戦は、全チームそれぞれのチーム相手に2戦ずつ行う全10節で展開されました。前半の5節と後半の5節で、それぞれチーム全員が1度は出場する必要があります。また、対戦時は相手チームに使用キャラクターを制限する「BANシステム」を採用しており、どのキャラクターをBANするかが戦略に大きく影響します。
全10節のリーグ戦の結果、トキドフレイムが1位通過、ウメハラゴールドが2位通過、ネモオーロラが3位通過でグランドファイナルに進出しました。
グランドファイナルは、2位と3位の勝利チームがリーグ1位チームと対戦する変則トーナメント戦。対戦方式はこれまで通りの団体の星取戦で、先に7ポイント獲得したチームが勝ち抜けです。3戦で一巡とし、チームメンバーの選出やBANキャラクターの選出などを行います。
リーグ戦と違うのはチームメンバーの選出には規定がない点。すべてのメンバーを出場させなくても問題ありません。また、同じキャラクターを2回以上BANできないルールです。
セミファイナルはネモオーロラ対ウメハラゴールド。2位のウメハラゴールドは、リーグ戦の上位順位として1ポイントのアドバンテージを得た状態でのスタートです。
リーグ戦では先鋒・中堅が負けて大将が勝つという展開が何度かあったので、1ポイントのアドバンテージはなかなか大きいでしょう。
しかし、結果はネモオーロラの全勝。特にsako選手は、メインキャラクターをリーグ戦時の「セス」から、2020年までのメインキャラクターの「メナト」に戻しての活躍を見せます。
リーグ戦終了時から大会までの2カ月間、PC版のオンラインの環境に準じた新たな戦いかたやメナトの新たな可能性を見いだし、唯一無二のメナト使いが完全復活しての勝利でした。
グランドファイナルでネモオーロラを待ち受けるのはトキドフレイム。2020年までチームを率いていた板橋ザンギエフ選手がメンバーとして参加しており、いわばダブルチームリーダーのチーム。グランドファイナルではリーグ戦順位によるアドバンテージポイントはありません。
1巡目は先鋒・中堅をネモオーロラが取るも、大将戦で、ときど豪鬼がsakoメナトを破り、イーブンに。2巡目はトキドフレイムが中堅戦、ネモオーロラが先鋒・大将戦に勝利。ネモオーロラが2ポイントのリードを獲得します。ポイント差はそこまで大きくなくても、1巡目、2巡目ともに2勝1敗のペースで対戦するネモオーロラが明らかに試合を作っている印象です。
3巡目は先鋒、中堅と初めて連勝を決めたトキドフレイムが5ポイントと追いつき、大将戦の結果で勝敗が決まることに。大将戦は、1巡目の大将戦と同じく、ときど選手対sako選手。ただ、3巡目でトキドフレイムは、ときど選手のメインキャラ豪鬼がBANされたため、サブキャラクターのユリアンでの参戦です。
序盤、チームメイトの連勝の勢いに乗ったときど選手がsako選手に畳みかけますが、冷静に対処したsako選手が丁寧に切り返し、フルセットフルカウントのすえsako選手が勝利。ネモオーロラの優勝が決まりました。
「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2020」は、コロナ禍のため、無観客、収録での配信となり、さらにグランドファイナルでは、緊急事態宣言の発令により、選手も自宅やチームオフィスからの参戦でした。
そして、「カプコンカップ」の中止にともない、ドミニカ共和国で開催する予定だった「ストリートファイターリーグ:ワールドチャンピオンシップ2020」も中止が決定しており、ストリートファイターリーグは、今回のグランドファイナルをもって終了しました。
コロナ禍において、制約があるなか、手探り状態での開催となったと思われますが、うまく順応し、新たな配信のノウハウも多く蓄積できた大会だったのではないでしょうか。
前リーグまでのストリーミング配信から、収録した動画の配信に切り替わっていますが、収録ならではの演出や編集なども多く見られました。
例えば、実況解説にテロップが入ることでより理解しやすくなっていたり、試合後のリプレイ解説がより詳しく説明できていたり、次回予告に見どころを出すことで、次回も視聴したくなるなど、動画としてのクオリティが上がっていました。
もちろん、ライブ感が薄れる懸念もありますが、コロナ禍でオフラインが難しい現時点としてはライブ感よりも配信の見やすさ、楽しみやすさを重視したのはプラスに働いていると感じます。
グランドファイナルは、ZAIKOによる有料のライブ中継でした。コロナ禍により、多くのライブエンターテインメントがオンライン化したことで、入場料の収入などがライブ会場と同じように得ることができず、苦戦を強いられていることでしょう。まして、eスポーツは有料のイベントが限られており、まだまだ無料で視聴するコンテンツとしての位置づけ。そのなかで有料配信に踏み切り、多くの視聴者を集めたのは朗報だったのではないでしょうか。
2021年もコロナ禍がいつ収束するのか分からない以上、オンライン化は継続していくと思われます。そのなかで、オンラインに強いeスポーツが有料化に踏み切れるのであれば、さらに発展、普及していく可能性があるわけです。
大会の最後には、「ストリートファイターリーグ:Pro-JP 2021」の開催も発表。オンラインでの開催でも、オフラインの開催でもどちらでも十分に楽しめるコンテンツに昇格した新たなストリートファイターリーグを楽しみに待ちたいところです。
なお、今回のグランドファイナルは、2月6日18時から、YouTube、Twitch、Mildom、PeriscopeのCAPCOM FIGHTERS JPチャンネルにて一部編集をしたイベントの模様を無料で配信予定。ライブで視聴した人も、未視聴の人も、ぜひチェックしてみてください。
この記事を読んだ時点で結果はわかってしまうわけですが、それでも観る価値が十分にあるスーパープレイを堪能できることでしょう。
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