オープンタイプのイヤホンの新製品が続々と登場している。

左右のユニットが対象で、左右どちらにつけてもセンサーでどちらの耳につけたかを検知して左右を正しく再生する「HUAWEI FreeClip」や、「Bose Ultra Open Earbuds」などは定番として評価されているし、「nothing(open) 」 やアクティブノイズキャンセル機能まで実装した「Xiaomi Openwear Stereo」などの新製品もある。

また、「ambie sound earcuffs AM-TW02」「Anker Soundcore AeroFit 2」やソニーの「LinkBuds Open」 は二世代目としてリフレッシュした。

  • Nothing初のオープンイヤーイヤホン「Ear (open)」。独自のオープンサウンドテクノロジーで、環境音を聞きながら臨場感あふれるオーディオを体験できるという。24,800円で、公式サイトなどから購入可能だ

家族の呼びかけにも屋外スポーツにも対応できるオープン型

オープンタイプのイヤホンの何がいいかというと、再生音が自分だけに聞こえることと、身の回りの環境音がそのまま聞こえることを両立している点だ。自分だけが聞こえるように音楽を楽しんでいても、来客や家族の呼びかけが聞こえないということがない。また、自分の声が普通に聞こえるので、スマホにつないで電話で通話しているときにも不用意に大声を出したりしなくなる。

形状・原理としては、メガネのように耳にひっかけて装着するイヤーカフタイプと耳たぶを挟み込むように装着するタイプが代表的だ。

耳孔の至近距離にスピーカーを置くようなものなので、あまり大きな音を出すと音漏れが甚だしいという欠点もある。それなりの騒音がある地下鉄内などで音楽を楽しむには、再生音量を高めにセットしなければ環境音に負けてしまって音楽が聞こえない。

だが、そうだと音漏れで周辺の人に迷惑をかけてしまいかねないという点には十分な注意が必要だ。音漏れがどのくらいあるのかは自分ではチェックできないので余計に慎重になる。

それでも、ジョギングやウォーキングなど屋外でのスポーツでは、周辺の音がちゃんと聞こえることで身の安全を確保できるので安心だ。ジムでのトレーニング時などにもちょうどいいんじゃないだろうか。

どんな環境にいても自分だけの世界にこもれるカナル型

オープンタイプの究極の対抗にあるのがカナル型のイヤホンで、こちらは耳孔にユニットを突っ込んで塞いでしまう。つまり耳栓と同じだ。さらに環境音をシャットアウトするためのアクティブノイズキャンセル機能も装備して、どんな環境にいても自分だけの世界に閉じこもることができる。

ほとんどの場合、この耳栓タイプのイヤホンにはヒアスルーとかアウェアといったモードがあって、イヤホンに内蔵されたマイクで拾った環境音を電気的に再生することで、イヤホンを付けっぱなしでも周りの音がちゃんと聞こえるようになっている。

また、会話のために声を発したとたんにノイズキャンセルが自動的にオフになり、相手の声がちゃんと聞こえるようにする機能を持つものも増えてきている。でも、オープンタイプとはやはり開放感が違う。

イヤホンはオーディオのカテゴリからウェアブルのカテゴリへ

新製品発表会を開催したambieは、オープンタイプのイヤホンによる「ながら聞き」を提案。ストリーミングサービスがすっかり定着した現在の音楽環境は、これまでのように音楽を選択して聴くのではなく、放送のように垂れ流しで聴くスタイルに変貌しつつあるという。

アルバムを選んで聴くのではなく、プレイリストを選んで聴くようなスタイルが主流になりつつある。それによって音楽はひとつの環境として受け入れられるようになった。それはコンテンツ中心の世界観からユーザー中心の世界観への移ろいでもあるとambieは考える。

  • ambieのイヤカフ型完全ワイヤレス「AM-TW02」は10月17日に発売する新製品。カラーはGreen×Indigo、Flamingo×Beige、White×White、Black×Blackの4色に、BEAMSコラボのambie × bPr BEAMSを加えた5色

古い曲も、新しい曲も、知っている曲も、知らない曲も、それらをひっくりめた中で、今の気分に最適化されて選ばれた音楽を身にまとう。音楽との偶然の出会いもある。そこにはきっとAIも欠かせない。

丸一日つけていても苦にならないイヤホンは、これからますます重要性を帯びていくにちがいない。高齢社会の到来とともに、補聴器的な機能の実装も求められるようになる可能性だってある。オーディオのカテゴリからウェアブルのカテゴリへとイヤホンがその守備範囲を拡げて いる。今はまだその黎明期にすぎない。