パナソニック空質空調社と日本一空気のきれいな町、山形県・朝日町がコラボレーションすることになった。

山形県は「日本一きれいな空気の県」として知られるが、11月9日「いい空気の日」に朝日町Asahi自然観で共同記者会見を実施。1990年に同町に設立された、宗教とは無関係のシンボルとしての「空気神社」のスピリッツ/コンセプトを支援し、「空気から未来を変える」というブランドスローガンをアピールしていくことを表明した(ニュースリリース)。

  • 空気神社の参道入り口に設けられた案内板

    空気神社の参道入り口に設けられた案内版

パナソニックと空気神社、松下時代からの縁

空質空調社はエオリアでお馴染みの個人用エアコンから、ジアイーノ、空気清浄機、ナノイー発生器、加湿器、扇風機と、確かに製品は空気に関するものばかりだ。その一方で、法人向けにはパッケージエアコンや住宅設備用エアコン、ジアイーノ、ガスヒートポンプエアコン、換気扇などを提供、これまた空気に関するものだけに特化してきたといえる。

  • 空気神社の由来

そもそも現在の空質空調社は、1913年に扇風機の量産を開始した川北電気企業社が1956年に松下グループに参入して大阪電気精器社を設立、松下エコシステムからパナソニックエコシステムズに至っている。

また、松下電器として本格的に空調事業を開始したのは1957年で、翌58年にはルームクーラー1号機を発売開始している。この松下電器本流とパナソニックエコシステムズが空質空調社として合流したのが2022年というわけだ。

空気神社の設立時の1990年には、空気に感謝するという考え方に共鳴し、当時の空質事業を展開していた松下精工が100万円を寄付したという縁もあった。

  • 参拝の仕方も超独特

地球のどこでもきれいな空気を技術で体験

コラボレーションの内容は、空気神社を「環境の町」朝日町のシンボルにするべく空質事業者の技術で貢献すること。そして空気や自然の大切さを継続的に発信すること、そして空気神社のきれいで美味しい空気を体感できる場を同社の技術で地球上どこにいても体感できるようにすることだ。無給電ライトアップなどは可及的速やかに来年の夏にでもやりたいところだという。

朝日町町長鈴木浩幸氏は空気神社の発端について、1973年に人が空気の恩恵を忘れているからそれをまつる神社を作ろうと町民が提唱したことに始まる。残念ながら、当時は環境保全ということを考える発想がなく、一笑に付されて終わったかに見えたが、その後、町民有志が立ち上がり、奉賛会ができて神社の建立にこぎつけた。神社という名前ではあるが、宗教的な意味合いはない。自然に感謝するシンボルにすぎないのだ。

神社の実体は5メートル四方の鏡と、深さ3メートルの神殿空間で作られている。目に見えない空気を反響する音と、映し出す鏡で空気の存在を確かめられるという。

  • これが本殿。鏡の下のスペースには謎の陶器製の壺が置かれているという

  • こうして参観する

パナソニックは「換気」推し、空気の良さを訴求

パナソニック空質空調社社長道浦正治氏は、さまざまなストレスを感じる世の中だが、そこから人々を解放したいと考えていると語り、インドに出張に行って来たばかりで、その空気の質の違いに改めてびっくりしているという。

実は朝日町は自給率が100%の町だ。いわゆる永続地帯と呼ばれる。「永続地帯(sustainable zone)」とは、「その区域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、その区域におけるエネルギー需要と食料需要のすべてを賄うことができる区域」であり、山形県からは3つの自治体(朝日町、大蔵村、遊佐町)が永続地帯となっているそうだ(「永続地帯2021年度版報告書」より)。だからこそそれを支える空気に感謝するというわけだ。

「今の国内でいうと換気が見直されています。CO2を下げるのは室内から汚い空気が出ていくことも貢献しています。これまでより数段多い換気回数を提唱しているのですが、これは家庭においても同様です。より空気の良さを訴求していきたいと考えています」(空質空調社長道浦氏)。

  • 共同記者会見でコラボレーションを確認する関係者ら。左からパナソニック空質空調社副社長小笠原卓氏、パナソニック空質空調社社長道浦正治氏、山形県朝日町町長鈴木浩幸氏、副町長 川口幸男氏

  • 会見会場には同社技術で空気を作り出せる空間ブースが参考出品されていた。風を感じない空気だ。この技術を使って空気神社の空気を現地以外でも体感できるようにする

  • 会見の行われたAsahi自然観はホテルやコテージ、スキー場、テニスコート、グラウンド、ゴルフ場などをもつ複合施設だ。磐梯朝日国立公園内の朝日連峰東部山麓に位置していて通年のレジャー利用ができる