BOSEが完全ワイヤレスのノイズキャンセルイヤホンを刷新、Bose QuietComfort Earbuds IIを発売した。
同社の“のれん”とも言えるQuietComfortシリーズの名前を冠する由緒あるモデルだ。税込36,300円という価格を考えても、現存するノイズキャンセル完全ワイヤレスイヤホンとして、最高峰に位置する製品だ。
「音の嗜好」への姿勢が変わらない
BOSEのオーディオ製品を体験するたびに感じるのは、音の嗜好に対する姿勢が変わらないことだ。もう何十年も同社の製品を聴いているし、愛用しているが、そこから受ける印象は、最初の頃から変わらない。厳密にいえば変わっているのだが、変わったのだと主張しない。これはとても大事なことだと思う。
QuietComfort Earbuds IIは、カナル型のイヤホンで耳にひっかけるというよりはつっこむイメージで装着する。ユニットを格納したボディは比較的大きいが、軽量で大きさを感じさせない。
ノイズキャンセルの効きは強烈だ。耳に装着するとボゥッというキャリブレーション音が聞こえ、両耳に装着したタイミングで静寂が訪れる。
その効きについては、市場に数あるノイズキャンセルイヤホンの中でも屈指のものといえる。耳にひっかける、いわゆるスティックタイプのものよりもカナル型の方がノイズキャンセルの点で有利ということもあるが、とにかく不満がないノイズキャンセルだ。
不満があるとすればマルチポイントに非対応であること、また、対応コーデックがAACとSBCだけで、LDACやaptXといった高音質コーデックが使えないことなどがある。さすがに時代は変わってきた。そろそろBOSEもこのあたりのサポートを考えてほしいものだ。アナログ的にサウンドがしっかりしているだけに、高音質コーデックに対応したBOSEの音が聴きたいと思う。
使用時は耳の「ベスポジ」を追求したい
実際に日常使いしてみてのインプレッションとしては、装着状態についてかなりシビアなことに気がついた。耳に装着して歩くと、時折、何をしたわけでもないのに、ガツンという強烈なノイズが聞こえることがある。
不思議に思っていろいろなシチュエーションや別個体を試させてもらったりしたのだが、頭をブンブン振ってみたり、走ってみたりしても必ず発生するわけではない。とにかく歩行中、走行中のなんらかのタイミングでいきなりガツンという音が聞こえるのだ。センサー等の不具合かとも思ったりしたが、そうでもない。
この現象は、QuietComfort Earbuds IIに新しく付属したイヤーチップとスタビリティバンドを交換することで軽減できる可能性もある。付属のものをいろいろ試して頻度が変わることは確認できた。ユニットの取り付け角度を、耳穴に対して若干変えることでも、大幅に軽減できるようだ。購入後、万が一、現象に遭遇するようなことがあったら、根気強くベストポジションを探してみよう。
製品の名誉のためにいっておくと、屋内における使用で過度な動きを伴わないのであれば実に快適で、BOSE製品として期待を裏切らないサウンドを楽しめる。