KDDIがキッザニア東京とキッザニア甲子園に「通信会社」パビリオンをオープン、11月19日からアクティビティの提供を開始した。

このパビリオン、なんと、街の中に5Gの基地局を、どこにどんな風に建てるかを考え、実際に基地局の計画を完成させるというもので、想定としては「通信エリア設計士」という仕事を子どもたちに体験してもらう。

  • 地図の上にチェスのコマのように基地局を設置して街を5Gでカバーしていく

  • 最初は5Gのお勉強から

コストや電波干渉をやりくりしながら5G基地局を配置

基地局は3種類あり、それぞれがカバーするエリアの広さが異なる。チェスの大きなコマのような基地局を街の中に実際に配置すると、その基地局の電波がカバーする範囲が電飾でわかるようになっていて、その種類や位置を調整しながら、街をくまなく5Gの電波が覆うことができるように調整していく。

たくさん基地局を設置すればいいというわけでもなく、建てすぎると電波の干渉などで不都合が生じたりもする。干渉などが生じた場合は、アラートが出てすぐにわかるようになっている。また、たくさんの基地局を建てればコストも増大するので、それも回避するといった大人の事情も考慮しなければならない。

オープニングセレモニーで挨拶に登壇したKDDI取締役執行役員常務、森田圭氏は、「通信会社がつないでいるのは人の心や命」であるとし、5Gの通信を使って未来の街を作る作業を子どもたちに体験してほしいと語った。

  • キッザニア「通信エリア設計士」アクティビティのオープニングセレモニー。KCJ GROUP代表取締役社長の圓谷道成(ツムラヤ ミチナリ)氏(左)と、KDDI取締役執行役員常務の森田圭(モリタ ケイ)氏(右)

スマートフォンの通信の仕組みを体験できる

このパビリオン、実は、もっと早期の稼働開始が計画されていたが、コロナ禍の影響で少し遅れてしまったものの、晴れてオープンにこぎつけたとのことだ。

通信エリア設計士としてのミッションは約30分の体験となる。自分たちで作った基地局配置の結果、街がどのように5Gの電波でカバーされるのかは、実際の通信会社が提供するエリアマップのような印刷物として持ち帰ることができる。森田氏は、街の中をクルマが自動で走り、ドローンが空を飛ぶようなちょっと先の未来を経験できるパビリオンとして楽しんでほしいという。

子どもたちの多くは、スマートフォンのことは十二分に知っているが、個々の機器同士が直接通信をしているというイメージを持っているようで、基地局を介した通信が行われているという認識はあまりないようだ。そんな中で、基地局を実際に設置するという具体的な作業によって未来の街を作るというのは、ちょっと難解かもしれないが、かなり新鮮な体験になりそうだ。

  • スーパーバイザーのアドバイスで真剣に位置を検討する子どもたち

  • 基地局同士の電波が干渉すると赤いアラートが表示される

  • 基地局を配置した街は、地図からジオラマに転送して確認できる

「新しい当たり前」もキッザニアで学べる

また、KDDIはコロナ禍の影響で学校内外における課外活動が減少したり、制限される中で、子どもたちの教育体験機会をサポートし、よりよい学びの場を提供することを目的に「KDDI こどもの学びプログラム」を開設、応募の受付を開始した。

その取り組みの一環として、2020年12月10日から2021年3月31日までの間、東京と甲子園のキッザニアに総計4万組16万名(おとな2名こども2名分)を無料招待するという。応募は専用サイトから誰でもでき、応募期間に応じて予約、来場できる期間が抽選で決まる。

キッザニアでは、コロナ禍における各パビリオンでの体験で、たとえば運送会社で「置き配」の考え方を取り入れたり、デパートや家電専門店のパビリオンでソーシャルディスタンシング的な接客などを学べるようにしているそうだ。今まではよしとされていたことが、これからはいけないことになるという新しい当たり前を子どもたちに伝える必要があるわけだ。

キッザニアのような世界観の中でも、こうした配慮が求められるようになっている。こうした状況がずっと続けば、子どもたちが大人になるまでに得られる経験も大きく制限されることになるだろう。誰が悪いわけでもないが、実に悲しい話ではある。せめて5Gですぐそこにある面白い未来を経験してほしい。ちなみに、キッザニア東京内はしっかりと5Gの電波でカバーされていた。