中国のスマホベンダーで、世界シェア4位をキープするXiaomiが日本市場への本格参入を発表し、話題のスマートフォンMi Note 10の出荷を開始してから一か月ちょっとが経過した。スマホのみならず、スマートバンドやモバイルバッテリに加え、炊飯器にスーツケースと、同社に馴染みのなかった日本の一般消費者にとっては、いったい何のメーカーなのだろうかと首をかしげるかもしれない。
群を抜くコストパフォーマンス
同社はスマホを出自とするメーカーだが、「ハードウェア事業全体の純利益は5%を超えることはない」という方針のもとに、「素晴らしい製品を公正な価格」で提供するというのがモットーだ。確かに安い。コストパフォーマンスは群を抜いている。
たとえばスマホはMi Note 10 ProとMi Note 10の2機種が発売されたが、税抜き価格はそれぞれ64,800円と52,800円だ。絶対的な金額としては割安感を感じないかもしれないが、スペックを見る限りはちょっと驚きの価格設定で、発表会で金額がアナウンスされたときには会場がどよめいたくらいだ。
バッテリは持つが、文字サイズは残念
今回、Xiaomiが日本で発売する製品の中でも、個人的にもっとも注目したのはスマートバンドのMi Smart Band 4だ。こちらも税抜き価格は3,490円と実にリーズナブルなものになっている。
実際に使って感服したのは、そのバッテリ駆動時間の長さだ。過去にいくつものスマートウォッチやスマートバンドを身につけて使っていたが、どれも長続きしなかった。理由は充電の煩雑さで、長くても数日しか持たず、ちょっとした出張にも専用充電アダプタを携行しなければならなかったからだ。
Mi Smart Band 4の公称バッテリ駆動時間は20日間。実際に使ってみると本当にそのくらいもちそうだ。性格的に電子デバイスのバッテリ残り容量が50%を切ると不安になって、つい継ぎ足し充電をしてしまうのだが、それでも10日に一度充電すれば十分という印象で、スッカラカンになるまで使い続ければ本当に20日は駆動できそうだ。充電時はリストストラップから本体を外さなければならず、その脱着がちょっとめんどうに感じるのだが、20日に一度ならガマンができるというものだ。心拍など測る必要はないと思えば、その機能をオフにすることで1カ月はつけっぱなしでも大丈夫そうだ。
いただけないのはそのウォッチフェイス、いわゆる文字盤表示だ。この製品に限った話ではないが、健康管理はもちろん、やはり腕時計として、そして、スマホからの電話着信やメッセージ着信などの通知機能に期待するユーザーは少なくないはずだ。0.95インチのAMOLEDは十分に美しいのだが、表示を工夫しないと文字が小さすぎて視認性が犠牲になってしまう。通知の内容についてもやはり文字が小さすぎる。
歩数や心拍数は頻繁に確認するものではないので常時表示は必要ないとも思う。それよりも見やすい時刻表示、年号と曜日を含む日付情報だけをシンプルに表示するウォッチフェイスが欲しい。また、手首を傾けると表示するモードは用意されているが、常時表示のモードはない。通常は通常画面は真っ黒だ。バッテリ駆動時間との兼ね合いもあるが、ここはなんとかしてほしかった。
探してみると、ウォッチフェイスを設定するサードパーティアプリがいくつか見つかる。デフォルトの文字盤データを書き換えて強引に独自のウォッチフェイスを設定する仕組みのようだが、その中にもなかなかお気に入りのものが見つからない。こればかりは好みの問題なのだとは思うが、ウォッチフェイスについては正式なメーカー製のアプリとして、もう少し自由度の高いものを提供してほしいところだ。
これまでにない軽快感は圧倒的
昔から「睡眠不足で死んだやつはいない」と言われている。徹夜に近い状況が続いても、どうしようもなくなれば寝るからだ。そこまで極端でなく、ちゃんと眠れているように思っても実際に調べてみるとそうでもなかったりするわけで、そのことが日常的なストレスとなり、内臓疾患や心の病につながっていく。その兆しを早めに見つけて対処していくのは現代人にとって重要な課題でもある。Mi Smart Band 4では睡眠ログを分析できるが、そのために22.1グラムの超軽バンドを腕につけたままで眠れるかと聞かれると、個人的にはそっちのほうがストレスになりそうで、未だに、寝る前には腕からバンドを外しているのはナイショだ。
今回発売された肝心のスマホについては、大きく重く、処理性能や表示についても各社のハイエンドスマホと比較したときに見劣りを感じる。今後のバリエーション強化に期待したい。個人的には積極的に常用しようという魅力に欠けるものだったのは残念だった。
だが、このバンドはいい。かつてのスマートバンドの大仰さと比べれば、つけているときの軽快感は圧倒的だ。当面、このバンドを使ってみようと思わせる。Xiamiが次にどんな製品を投入してくるのかが楽しみだ。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)