謹賀新年。2019年がやってきた。平成最後の年でもある。思えば平成の30年間というのはパーソナルコンピュータが未来に向かってひたすら走り続けてきた30年間でもあった。
平成はノートパソコン元年だった
平成元年に登場したパソコンといえば、どうしても外せないのが東芝のDynabook J-3100SSだ。「みんなこれを目指してきた」というF1ドライバーの鈴木亜久里氏によるCMを覚えている方もいるかもしれない。
さらにこの年はダイナブックのあとを追うようにNECから98NOTE PC-9801Nが発売された。まさに平成元年はノートパソコン元年でもあったといえる。
ちなみにDynabookはブック、98NOTEはノートである。結局、一般名詞としてのモバイルパソコンはノートパソコンと呼ばれるようになった。98NOTEの発売に際してはウルトラブック、スーパーブックなどの呼称が考えられたそうだが、最終的に「ノート」に落ち着いたのは中に何も書いてないのがノートだからという発想からだったと、当時、NECのパーソナルコンピュータ販売促進部長だった高山由氏は振り返る。
Dynabookも98NOTEも厚みは44ミリ。重量も3キロ近くあった。2018年秋に発表された富士通のLIFEBOOK UH-X/C3の厚みが15.5ミリで、698グラムだから、30年間でモバイルノートPCは厚みで1/3に、重量では1/4以上のダイエットを果たしたことになる。見かけの変化のみならず、性能の進化はいうまでもない。
大型ディスプレイもUSB Type-C接続に
そのノートPC周辺の話題としては、昨2018年はUSB Type-Cが浸透し始め、各社のノートPCの多くがUSB-C Power Deliveryでの充電をサポートするようになった。一足先に、Androidスマートフォンの世界で普及していた次世代USB端子だが、いよいよPCも各社独自のACアダプタではなく、スマホと同じアダプタ、ケーブルで電力を供給できるようになっている。PCの歩んできた道は標準化の歴史でもあるのだが、いよいよ最後の砦だった電源アダプタが標準化に向かい始めたといっていいだろう。
そんなわけで、個人的にも昨2018年は、身の回りの充電装備、ケーブル類を見直し、できる限りType-Cに統一しようと試みた。そして、マウスやガジェット類などのわずかな機器にmicroUSB、iPhoneにLightningを残したものの、多くの機器をUSB Type-Cに移行することができた。
なかでも大きな収穫はモニタだ。デルのP2419HCは24型の据置モニタだが、Type-CケーブルでPCと接続でき、モニタからPCへの電源供給と、PCからモニタへの映像出力を一本のケーブルでまかなえる。スタンドなしで3.05キロという重量は、平成元年のノートパソコンとほぼ同じ重さだ。長期出張の際にスーツケースに24型モニタを入れて出かけるようになって久しいが、2018年夏、このモニタを入手して以前のモニタをリプレースした。モニタがPCの電源アダプタとなり、さらには他機器をUSB接続するためのハブにもなるのだからうれしい。
新しい元年がパソコンにとっても新世紀元年となるように
多くの方にとって24型モバイルモニタというのは現実的ではないかもしれないが、コンパクトなモバイルノートパソコンをケーブル一本で飛躍的に拡張できることの便利さは想像以上だということを保証しよう。外出先では機動力の高いノートパソコンを単体で使い、自宅やオフィスでは大画面モニタで優雅に作業ができるのだ。
ノートパソコンを持ち歩かない層のためには、この2019年あたり、Type-Cで電力を供給できるNUCの登場などにも期待したいところだ。
スマホの普及でちょっと風向きの怪しいパソコンシーンではあるが、この先、まだまだおもしろいことが起こりそうな気配はある。新しい元年が、パソコンにとっても新世紀元年となることを願いたい。どうか今年も、この連載をご愛読いただけますよう。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)