アマゾンがAmazon Echo ShowとAmazon Fire TV Stick 4Kの出荷を開始した。前者は10.1型スクリーンを持つスマートスピーカーでもちろんAlexaを活用できる。また、後者は4K TVのHDMI端子に装着するコンテンツビューワーで、こちらはAlexa対応音声認識リモコンで操作することができる。

  • Amazon Fire TV Stick 4Kは、指先に感じるリモコンのクリック感と、本体をつないだテレビの反応のバランスがよく、キビキビ動く印象だ

Alexa対応デバイスが広がった1年

今年はスマートスピーカーが一気に認知された年として記憶に残るだろうが、Alexaについては、そのデバイスのバリエーションが豊富なことが魅力だ。

10.1型液晶を持つAmazon Echo Showは、もはやタブレットだ。特に音響に奢った(力を入れた)構造になっているため、平板というのではなく、なんとなく巨大なオニギリのような形。そして、その巨大な空間を使ってリッチなステレオサウンドを奏でる。昨今はスマホでイヤフォンという音楽の聴き方がメインになっているが、そうではない聴き方があったことを再認識させてくれるデバイスだといっていい。

  • 十八番の「テクノロジーの歌」を歌うAmazon Echo Show

  • 背面の大部分がスピーカーで占められている

ただ、日常的に使っているタッチデバイスと比べてしまうと、そのレスポンスに若干の不満を感じる。グラフィカルユーザーインターフェースとして、Android的でもなく、iOS的でもなく、そして、Windows的でもないわけで、音声とタッチの操作が整理し切れていないような印象を受けた。

また、液晶画面は、まるでパブリックスペースのデジタルサイネージのように常時なんらかの情報を表示し続ける。もちろん情報表示をオフにして、単に時計として使うこともできるのだが、どうせ点灯しっぱなしであれば、新幹線の電光掲示ニュースのように、トピックスが表示されるようにしておいた方が役に立つと考えてそのままにしている。ただ、人が誰もいないのにずっと表示は止まらないのが貧乏性にはもったいなく感じたりもする。ここはひとつ人感センサーくらいは装備して、人の気配を感じたときに画面がオンになるような仕組みがあってもよかったと思う。

小気味良く動くFire TV Stick 4Kに驚き

一方、Amazon Fire TV Stick 4Kは、最初に操作して、その小気味のいいレスポンスに驚いた。この手のデバイスがキビキビ動くというのはあまり想像しにくいのだが、実際に体験してみるとまったくストレスを感じない。コンパクトなリモコンにはマイクボタンが用意され、Alexaを通じてコンテンツを楽しめるのだが、上下左右の方向ボタンなどを使って小気味よく操作ができるので、Alexaの出番は少なくなるかもしれない。

個人的には購入やレンタルの有料コンテンツとPrime会員向けの無料コンテンツが混在しているのが気になる。ただ、その部分を整理してしまうと、ユーザーにとってはコンテンツとの出会いのチャンス、コンテンツプロバイダーにとってはマネタイズのチャンスが奪われることにもなるので難しいところだ。

いずれにしても、スマホのみならず、コンテンツの楽しみ方はオンデマンドの方向に動いているし、その流れはもう止められない。その一方で、同時多発的にコンテンツを楽しむSNS的なトレンドもいっこうに廃れない。

オンデマンドのコンテンツサービスが、映像にしても音楽にしても定額制が市民権を得て、どのサービスでも同様のコンテンツを楽しめるようになってきているし、その傾向は今後ますます顕著になっていくだろう。これから各サービスの差別化はどのように進んでいくのか。そのサービスでしか楽しめないオリジナルコンテンツがカギを握るのか。それとも誰もそんなことは望んでいないのか。2019年あたり、そのへんの状況が明らかになりそうだ。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)