レノボがThinkPadの法人向け新製品発表会を開催、新デザインのX280などシリーズ14モデルを刷新した。今回は、すべてのモデルにType-Cポートを装備、PDでの電源確保を実現したという。また新たにThinkSmartという会議室で便利なドックシステムの新しいブランドをお披露目した。
発表会場のステージに登壇した同社の留目真伸社長は「"働き方改革"の多くが実は"働かせ方改革"になっていないか」と強烈にアピールした。働き方に制約を与えるITでは未来型の社会人は生まれないというのだ。過去のRFP(Request For Proposal - 提案依頼書)が使い回され、従業員に与えるパソコンがモバイルならB5ノート、デスクトップならA4ノートといった紋切り型の発注しかなされていない企業も少なくないらしい。
働き方改革で「いつでもどこでも働く」ように
確かに、働き方改革によって、ワークライフバランスが注目されるようになったが、いつでもどこでも働くことをも求められるようにもなった。たとえその日が休日であっても、また、帰宅後の憩いの時間であってもだ。実質的には相反する要素だ。それに嫌気がさして、休日には会社貸与のパソコンを絶対に開かないというワーカーの声も聞こえてくる。
仕事の道具としてのパソコンは管理者の意のままになることをめざして進化してきた。エンドユーザーが困らないようにするためという大義名分は、管理者がめんどうをみなくていいようにすること、すなわち管理者がラクをすることと表裏一体だ。
その結果、エンドユーザーはパソコンを活用する工夫の余地を封じられ、与えられたパソコンを与えられたままで使うことが求められるようになっている。しかも、ノートパソコンの浸透によって、それまではオフィスのデスクで大きなモニタを使って進めることができていた作業をB5ノートでこなさなければならなかったりもする。今後はパソコンをいろんなところで使う可能性があるから全員がモバイルB5ノートというわけだ。当然、作業環境としては退化でもある。
テレワークと働き過ぎは表裏一体
働き方改革は、本来的にはエンドユーザーの意識の改革だ。それが留目氏のいうように、雇用側や管理側の上から目線での仕事道具や仕事環境の改革にすり替えられている。つまり、働かせ方を変えているにすぎない。それが"進んだ企業"の証として、これからのデジタルトランスフォーメーションの時代に準備万端と勘違いされてもいる。エンドユーザーは意識を変えさせられているだけだし、働く環境は向上していないのにだ。
テレワーク推進と働き過ぎも表裏一体にもなりかねない。何がいいのか悪いのか。どうにもやっかいな時代である。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)