主な仕様  [CPU] Intel Core 2 Duo P8600(2.4GHz)  [チップセット] Mobile Intel GM45 Express  [メモリ] 2GB  [HDD] 320GB  [ディスプレイ] 16型ワイド(1,366×768ドット)  [サイズ/重量] 約W385×D276.5×H36.9~49.4mm/約3.4kg  [OS] Windows Vista Home Premium  [直販価格] 249,800円

富士通から発売された「FMV-BIBLO NW/C90D」はサブディスプレイや水冷システムなど、数々の個性的な機能を搭載するフラグシップAVノートだ。最終回である今回は、試作機および製品版を使っての感想と、これまでに紹介できなかったいくつかの機能や特徴を紹介していこう。

意外に便利なサブディスプレイ

「FMV-BIBLO NW/C90D」(以下、NW)を特徴づけている機能のひとつにサブディスプレイ「タッチスクエア」があるが、正直なところ当初は「どう使ったらいいのだろう」と戸惑う面の方が大きかった。しかし、今回改めて製品版を試用して、その感想は少し変わってきた。

タッチスクエアの「コンパクトテレビ/DVDモード」を使うと、テレビやDVD、BDの映像をサブディスプレイ上に表示できる。メインディスプレイで別の作業をしている際に、ながら観するのに便利な機能だ。最初は「こんな小さい画面で観ても」と思っていたが、テレビをライブ視聴する際はこの機能が意外に便利だということに気がついた。

タッチスクエアの「コンパクトテレビモード」。ワンタッチでテレビ画面をサブディスプレイ上に表示できる

たとえば、ふつうのテレビパソコンの場合、ながら作業をしようと思うと、テレビ画面を小さくしてほかのウインドウに重ならないよう位置を調整しなければならない。ドラマなどで本編はフルスクリーンで観て、CMは小さな画面でながら観、という場合はいちいちCMのたびに画面サイズを変える必要がある。しかし、本機の場合はタッチスクエア上のボタンをワンタッチするだけで、テレビをメインディスプレイに表示するか、サブディスプレイに表示するかの切り替えが可能。サブディスプレイに表示した場合は、メインディスプレイを広々と他の作業に使用できる。言葉で聞いてもどこが便利なのかいまいち想像しづらいのだが、実際に使ってみると、その使い勝手のよさが実感できるはずだ。

同じことは、「ミニリモコンモード」についても言える。本機は、HDMI端子を搭載しており、外付けディスプレイや薄型テレビ、プロジェクターなどに接続してメイン画面を表示することができる。その際、タッチスクエアのミニリモコンで操作すれば、テレビ画面に余計な操作パネルなどを表示しなくてもすむのがいい。部屋を暗くしてプロジェクターで映画などを楽しむ際は、特にこの機能を重宝する。普通の物理的なリモコンは、暗い場所ではどうしても手探りでボタンを探すことになるが、タッチスクエアの場合は液晶のバックライトの光があるためその不便さがない。発光していると言っても、液晶自体は小さいので、映画鑑賞などのジャマにはならないのがありがたい。

タッチスクエアの「ミニリモコンモード」。再生や停止、一時停止など、基本的な操作を行うことができる。暗い場所でも見やすいので、プロジェクターで映画鑑賞する場合などに便利

HDMI端子にケーブルを接続したところ。薄型テレビや外付けディスプレイ、プロジェクターなどと簡単に連携できる

まだ若干練れていないと感じる部分はあるが、タッチスクエアは使い方次第ではかなりおもしろい機能になると感じた。ソフト的には、もっとさまざまな展開が可能だと思うので、今後の動向にも期待したいところだ。

メンテナンス性の高さも魅力的

デジタル放送というのは、データ容量が非常に大きく、録りだめておくとすぐにHDDがいっぱいになってしまう。本機のHDDは320GBと大容量で、ノートとしてはかなり余裕がある方だが、それでも録りだめしていれば、いつかは残量ゼロになってしまう。本機を購入した後で、もっと大容量のHDDが出てきたら換装してみたい、と考えている人は少なくないのでは?

幸い、本機の場合、HDDの交換はかなり簡単に行える。本体底面のネジを1本で留められたカバーを外せば、内蔵HDDにアクセスすることができる。HDDは、ごく一般的な2.5インチのSATAを採用。500GBのノート用HDDもだいぶ値が下がってきたので、少しでも容量を拡張したいという場合は換装してみるのもいいだろう。ただし、くれぐれも自己責任で。

メモリの増設も同様に、底面カバーを外すだけで行える。標準では1GBが2枚装着されている状態だが、2GB×2まで増設可能。メモリは、DDR3 SDRAM PC3-8500を採用している。標準の2GBでも一般的な用途では不足を感じないが、重量級アプリをガシガシ使いたいというユーザーは、4GBに増やしておいた方が快適に作業できるはずだ。

本体底面のカバーを外すと、内蔵HDDにアクセスすることができる。メンテナンスや換装が簡単にできるのがうれしい

メモリの増設も簡単。HDDと同様、本体底面のカバーを外すとメモリスロットにアクセスできる。4GBまで増設可能

テンキーやジェスチャー対応タッチパッドを搭載

ノートの場合、本体サイズとの関係もあり、テンキーを装備したモデルはあまり多くない。本機は、その数少ない一台。キーボードは、キーピッチ約18.4mm、キーストローク約3mmという本格的なもので、打鍵感が非常によく長文入力が快適。しかも、すべてのキーの大きさがそろっているため、タッチタイプしやすく、入力ミスが少なくてすむ。

ノートには珍しく、テンキーが搭載されている。表計算ソフトなどを使うときに重宝する

キーボードは、すべてのキーのサイズがそろっており、非常にタイプしやすい

タッチパッドも、スペースに余裕があって操作しやすい。ジェスチャー機能に対応しており、円を描くように指を滑らせることでウインドウ内をスクロールしたり、2本指をつまんだり開いたりして画像をズームイン、ズームアウトしたりすることができる。なお、ジェスチャー機能はデフォルトではオフになっているため、使用するにはあらかじめ設定する必要があるので注意。

このほかにも、本機にはSDおよびメモリースティックに対応したダイレクト・メモリースロットや指紋センサなど、便利な機能が多数搭載されている。タッチスクエアや水冷システムなどのような「尖った」機能がなくても、ハイエンドAVノートとして十分訴求する内容だ。新しもの好きなユーザーはもちろん、単に高性能なノートを使いたいというユーザーにも、ぜひ目を向けてもらいたい製品である。

タッチパッドはジェスチャー機能にも対応。スクロールやズームなどの操作が直感的に行える

SDおよびメモリースティックに対応したダイレクト・メモリースロットを本体に搭載する。デジカメなどで撮影したデータを簡単に取り込めるのは、やはり便利だ

■仕様
型番 FMV-BIBLO NW/C90D
CPU Intel Core 2 Duo P8600(2.4GHz)
チップセット Mobile Intel GM45 Express
メモリ 2GB
HDD 320GB
光学ドライブ Blu-rayディスク
グラフィックス Intel GMA 4500MHD(チップセット内蔵)
ディスプレイ 16型ワイド(1366×768ドット)、4型ワイド(480×272ドット)
オーディオ HDオーディオ、ステレオスピーカー
ネットワーク IEEE802.11b/g/n、10/100/1000BASE-T
インタフェース ミニD-Sub15ピン×1、USB2.0×4、IEEE1394、HDMI、eSATAコネクタ、アンテナ入力、B-CASカードスロット、ヘッドホン出力(ステレオミニジャック)×1、マイク入力(ミニジャック)×1
拡張スロット ExpressCardスロット×1、SD/メモリースティックカードスロット×1
サイズ/重量 約385(W)×276.5(D)×36.9~49.4(H)mm/約3.4kg
OS Windows Vista Home Premium
ソフトウェア Microsoft Office Personal 2007、DigitalTVbox、おすすめコンテンツメニュー、マイフォト、DVD MovieWriter for FUJITSUほか
付属品 ACアダプタ、マニュアル、USBレーザーマウス、B-CASカード、リモコンほか
直販価格 249,800円