主な仕様  [CPU] Intel Core 2 Duo P8600(2.4GHz)  [チップセット] Mobile Intel GM45 ExpressW  [メモリ] 2GB  [HDD] 320GB  [ディスプレイ] 16型ワイド(1,366×768ドット)  [サイズ/重量] 約W385×D276.5×H36.9~49.4mm/約3.4kg  [OS] Windows Vista Home Premium  [直販価格] 249,800円

富士通から発売されたAVノート「FMV-BIBLO NW/C90D」には、水冷システムやセカンドディスプレイなど、個性的な機能が多数搭載されている。今回は、ノートPCとしては最高クラスといっても過言ではない充実したテレビ視聴機能を紹介しよう。

国内初の3波デジタルチューナー搭載ノートPC

「FMV-BIBLO NW/C90D」 (以下、NW) には、地上・BS・110度CSデジタル対応テレビチューナーが搭載されている。国内のノートPCで3波デジタルチューナーに対応したのは、実は本機が初めて。これまでは、内蔵チューナーだけでBSやCSまで観られるノートPCは存在しなかった。

本体背面には、地上・BS・110度CSデジタルに対応したアンテナ入力端子や、HDMI端子などが搭載されている

「テレビはあまり観ないから地デジだけで十分」という人もいるかもしれないが、BSデジタルには、視聴できるチャンネルが増えるという以外にもいくつかのメリットがある。たとえば、BSデジタルは地デジに比べてビットレートに余裕があるため、同じ番組でもより高精細な映像で放送されていることが少なくない (ちなみに、最大ビットレート数は地デジで約17Mbps、BSデジタルで約24Mbps程度となっている) 。また、洋画などは吹き替えではなく字幕付きで放送していることが多いのも人によってはメリットだと言える。

本機の場合、内蔵チューナーで受信したデジタル放送は、メインディスプレイかキーボード上部の「タッチスクエア」と呼ばれるセカンドディスプレイ、外付けディスプレイなどを利用して鑑賞できる。もちろん、HDMI端子に対応した薄型テレビやプロジェクターでもOK。なお、地上・BS・110度CSデジタルの切り替えは付属の専用リモコンや画面上のメニューなどから簡単に実行することができる。

キーボード上部の「タッチスクエア」と呼ばれるサブディスプレイでもテレビ番組を表示することができる

製品に付属する専用リモコン。家電感覚で直感的にチャンネル選択などが可能だ

美しくあざやかな映像でテレビ視聴が可能

本機の場合、テレビ視聴・録画には、プリインストールされている「DigitalTVbox」というソフトを使用する。DigitalTVboxには、番組の視聴と録画、番組表からの録画予約、タイマー録画、録画番組の再生など、デジタル放送を楽しむために必要な機能がひととおりそろっている。

視聴地域やチャンネルの設定は、メニュー画面で必要な項目を選んでいくだけで簡単に行える。字幕やタイムシフト、視聴年齢制限など、設定できる項目は多岐にわたるが、各設定画面がシンプルで分かりやすいため、初めてでも迷うことはほとんどない。番組の視聴や録画なども、リモコンや画面上に表示されるパネルなどで直感的に操作することが可能だ。

テレビ画面は、「フルスクリーンモード」と「コンパクトモード」の2種類を切り替えて表示することができる。また、これらとは別に「コンパクトテレビモード」と呼ばれるモードもあり、これを選ぶとキーボード上部の「タッチスクエア」にテレビ画面を表示することが可能。コンパクトモードおよびコンパクトテレビモードは、画面サイズ自体は小さくなるが、ほかのアプリケーションのウインドウの邪魔にならず、ながら観には最適だ。

「DigitalTVbox」の「フルスクリーンモード」画面。液晶がデジタル放送のアスペクト比と同じ16:9なので、画面の上下に黒帯が入らないのがうれしい

「DigitalTVbox」の「コンパクトモード」画面。ほかの作業をしながらテレビを観る際に便利だ

なお、「画質設定ユーティリティ」というソフトウェアを使うと、テレビ視聴時の画質を調節することができる。画質モードは「クリアモード」と「ノーマルモード」の2種類あり、クリアモードを選ぶとノーマル時よりもあざやかな映像で番組を楽しむことが可能。NWの場合、メインディスプレイに色純度が高いスーパーファインDXII液晶を採用していることもあって、クリアモード選択時は赤や青、緑などの原色に近い色が非常にきれいに再現される。ノイズも少なく、ディテールもくっきり表現されており、デジタルならではの高品位な映像を堪能することができる。

視聴中でも、画面上にこのようなクイックメニューを表示して設定を簡単に変更することができる

トップメニューでは、チャンネル設定や視聴地域の設定、字幕表示の有無、タイムシフトの設定などを行うことができる

トップメニューの視聴設定で、字幕をオンにすると、このように字幕放送を楽しむことができる

テレビ番組を満喫するための「水冷システム」を搭載

富士通は、ダビング10が運用される以前から、PCにデジタル放送のダビング機能を実装していたメーカーだ。そのため、個人的には、非常にユーザー本意の機能を追求するメーカーだという印象がある。NWにも、ユーザーがテレビ視聴を楽しむためのさまざまな機能が搭載されており、そのなかのひとつが「水冷システム」の採用だ。これは、CPUなどのパーツの冷却に「水」を使うというもの。ファンだけの場合よりも効率的に放熱できるため、PC稼働時のノイズを低く抑えられるのが特徴。メーカーの公表値では、テレビ視聴時に、ささやき声よりも低い約25dBという静音性が実現されているとのことである。

本体背面の排気口。水冷システムを採用しているため、CPU負荷がかかるような場合でも、ファンの音があまり大きくならないのがうれしい

録画番組は内蔵のBlu-rayディスクドライブを使ってBDやDVDなどのメディアにムーブ/ダビングすることが可能だ

水冷システムといっても、ファン自体は搭載されているので、風切り音が完全になくなるわけではない。しかし、通常使用ではほとんど気にならないレベルにまで音が抑えられる。実際にBSデジタルを録画しながら番組を1本フルで視聴してみたが、鑑賞の妨げになるような音は発生せず、内容に十分集中できた。ハードディスクのアクセス音も小さいので、録画しながらでも気が散るようなことはほとんどない。スペック表などには現れにくい部分だが、ノートの場合は視聴距離が短くなりがちなので、こうした機能は非常にありがたい。

なお、録画した番組は内蔵のBlu-rayディスクドライブを使ってBDやDVDなどのメディアにムーブ/ダビングすることが可能だ。次回はそのあたりの機能と使い勝手を中心に紹介していこう。

■仕様
型番 FMV-BIBLO NW/C90D
CPU Intel Core 2 Duo P8600(2.4GHz)
チップセット Mobile Intel GM45 Express
メモリ 2GB
HDD 320GB
光学ドライブ Blu-rayディスク
グラフィックス Intel GMA 4500MHD(チップセット内蔵)
ディスプレイ 16型ワイド(1,366×768ドット)、4型ワイド(480×272ドット)
オーディオ HDオーディオ、ステレオスピーカー
ネットワーク IEEE802.11b/g/n、10/100/1000BASE-T
インタフェース ミニD-Sub15ピン×1、USB2.0×4、IEEE1394、HDMI、eSATAコネクタ、アンテナ入力、B-CASカードスロット、ヘッドホン出力(ステレオミニジャック)×1、マイク入力(ミニジャック)×1
拡張スロット ExpressCardスロット×1、SD/メモリースティックカードスロット×1
サイズ/重量 約385(W)×276.5(D)×36.9~49.4(H)mm/約3.4kg
OS Windows Vista Home Premium
ソフトウェア Microsoft Office Personal 2007、DigitalTVbox、おすすめコンテンツメニュー、マイフォト、DVD MovieWriter for FUJITSUほか
付属品 ACアダプタ、マニュアル、USBレーザーマウス、B-CASカード、リモコンほか
直販価格 249,800円