規格の壁にぶつかり、ジョイスティックのパーツまるごと交換をあきらめた夫。そんな夫が次に考えた改造は、ジョイスティックとボタンの入力を検知する「マイクロスイッチ」を変えること。
今回は、ARCADE1UPに合う規格のマイクロスイッチを実際に交換します。改造するARCADE1UPの機体はギャラガ。自機を左右に動かすジョイスティックと、ミサイルを撃つファイアボタンというシンプルな構成です。
マイクロスイッチを交換する
ARCADE1UPで少々面倒なのは、一部のパーツがボンドで接着されていること。このボンドは、カッターなどで切りつつ、傷つけないよう注意してはがします。マイクロスイッチは、ジョイスティック裏側の固定具をドライバーで外せば手で簡単に取り出せます。
次に、新しいマイクロスイッチを装着します。簡単なのは、新しいマイクロスイッチにワイヤーをハンダで固定すること。ですが、夫は今後またマイクロスイッチを変更したくなったときのため、187サイズのファストン(平型)端子でつないでいました。
ファストン端子を利用するメリットは、以降もマイクロスイッチの交換が簡単になること。リード線側にこのファストン端子を装着すれば、ハンダ付けなしでマイクロスイッチが交換できるようになります。逆に、後からマイクロスイッチの交換をしないなら、リード線をマイクロスイッチの端子に直接ハンダ付けしたほうが簡単です(ハンダ付けした後でも交換は可能ですが、ハンダの除去や吸い取り、再度のハンダ付けなど、面倒です)。
続いて、ファイアボタンのマイクロスイッチも変更します。基本的にはジョイスティックのマイクロスイッチ交換と同じです。ファイアボタンのマイクロスイッチは、押し心地を比較して「SS-5GL(04.9N)」に決定。夫いわく、適度なクリック感がありつつ重くない、ちょうど良いバランスが選択の決め手だそうです。
以上でマイクロスイッチの交換は終了。最後にジョイスティックの操作性を少しでも上げるため、ジョイスティックのカバー部分に自作した2方向ガイドパネルを追加しました。ギャラクシアンとギャラガは左右方向にしかレバーを動かしませんが、ジョイスティック自体の構造は上下にも動くようになっています。ジョイスティックの裏側にもガイドパネルを追加することで、上下の動きブレをさらに減らし、操作性が上がることを期待しています。
ひとまず、操作系のカスタマイズは終了! 実際にプレイしてみます。プレイしてすぐにわかるのが、ボタンの押し心地が良くなったこと。標準で付いているマイクロスイッチよりも、各段に軽く押しやすくなりました。素人目にも明らかに違いがわかります。
ギャラガ初心者なうえに、アクションゲームの才能がない私は、それまで1面クリアがせいぜいでしたが、ボタンのマイクロスイッチを交換したら4面まで行けました(編集林:慣れて上達しただけかも?)。正直、マイクロスイッチひとつでここまで変わるのかと感心するレベルです。
一方で、レバーのほうはクリック音が明らかに変わったものの、操作性にそこまでの違いは感じませんでした。夫いわく「傾けたレバーを中心に戻すバネが強く(硬い)、マイクロスイッチの違いをわからなくしているのではないか」とのこと。確かに、夫の私物である三和電子製のジョイスティックと比べると、数段はレバーが硬いのがわかります。とはいえ、自作した2方向ガイドのおかげか、レバーのガタガタ感はなくなり、操作性はちょっと良くなった気がします。ボタンほど劇的な改善とはいきませんでしたが、これはこれで成功でしょう。次回はサウンド周りに手を入れていきます。
誰かのためのゲームトリビア:その2
知っていると良いかもしれない日米の違い。夫いわく「そもそも日本と米国ではゲームの仕様が異なる」とのことで、ざっくりと説明すると……
■ジョイスティックは日米でほぼ同じ
・日本ではボール型レバートップが標準
・米国では細長いナス型のレバートップが広く普及している
■アーケード機で使われるボタンは日米で違いあり
・日本で使われるボタンはおもに2種類
24mm(スタート/セレクトなど)
30mm(メインボタン)
・米国のアーケード機で使われるボタンはほぼ1種類
28mm(ボタンの外径サイズで33mmと記されていることもあります)
ジョイスティック周りは日本と米国でほぼ変わりありません。日本の三和電子やセイミツ工業のジョイスティックやボタンは、海外でも高品質の代名詞。高い人気と信頼を得ています。
特に三和電子のジョイスティックは、eスポーツの格闘ゲームなどで使われるアーケードコントローラー(アケコン)でも多く採用されており、メーカーが異なるアケコンでも交換しやすいように、取り付けパネルに互換性を持たせた製品も。三和電子やセイミツ工業のジョイスティックがサポートする85×40mmの取り付けネジ幅は、コンパネやアケコンの標準的な仕様とも言えます(夫談)。
ボタンサイズは日米間で違います。日本は24mm径のボタンを1Pや2Pのスタートボタン、30mm径のボタンをパンチやキックなどのメインボタンに使い分けます。対して米国は、基本的にすべてのボタンを28mm径の1種類でカバーします。パーツを購入しようと販売サイトをチェックすると、30mm径は「JapaneseStyle」、28mm径は「American Style(またはHapp Type)」と呼ばれていました。ちなみに、米国式の28mmボタンは外径が約33mmあるので、日本の30mm径ボタン用のコンパネ穴にも使用できます(日本の30mm径ボタンはぎりぎり28mm径に入りません)。
また、日本のボタンには、はめ込み式とネジ止め式の2種類がありますが、米国はほぼネジ止め式。夫いわく、この違いは日本と米国のコンパネ外装の厚さによるものなのではないかとのこと。日本のアーケードゲーム機のコンパネは化粧を施したステンレス板が主流で、天板厚5mm以下を想定しています。米国は金属製だけでなく木製のコンパネも多く、板厚や付け方がまちまちなのです。ARCADE1upのボタンがはめ込み式なのは、工場での生産性(ネジゆるみなどによる取り付け不良)を考慮しているのかもしれませんね。
ARCADE1UPは改造によって保証がなくなります。改造は自己責任において行ってください。
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