要件と開始/終了時刻を登録して自分のスケジュールを管理する「カレンダー」は、iCloud経由でiPhone/iPadと連係できることもあり、いまやMacにとって欠かせないアプリのひとつです。しかし、用事を登録するだけで満足していませんか? 今回は、「カレンダー」アプリのちょっと進んだ使いかたを紹介します。

Macの「イベント」でできること

「カレンダー」アプリでは、将来の用事・用件を登録することで予定を管理します。それは「イベント」と呼ばれ、用件を意味する文字列と開始/終了時刻が必要最低限の情報です。用件が発生する場所、参加者の名前、関係するWEBサイトのアドレスも添えておけば、あとから情報を参照するときに役立ちます。イベントの一覧を見ることで1日の予定を考えたり、次の週のスケジュールを練り直したりすることができます。

iCloudにサインインしていれば、iPhone/iPadとの連係により使いかたが広がります。Macで登録したイベントはすぐにiCloudへ送信され、間もなく(同じApple IDでサインインした)iPhone/iPadに反映されますから、いつ・どこでもスケジュールを確認できます。イベントはiCloud上で共有されますから、iPhone/iPadの「カレンダー」アプリで登録したイベントも同様にMacへ反映されます。

  • MacでiCloudカレンダーにイベントを登録すると、iPhone/iPadのカレンダーと情報を共有できます

ところで、MacとiOSの「カレンダー」アプリには若干の機能差があります。Mac版はイベントにファイルを登録することができ、そのファイルを利用することでiOS版にはない処理が可能になるのです。

登録したファイルは、イベントの開始時刻が到来したタイミングで「開く」ことができます。ここでいう「開く」とは、ファイルに関連付けられたアプリを起動してファイルを開くという意味で、通常はファイルを作成したアプリで開かれることになります。たとえば、Pagesで作成したワープロ文書であればPagesで、JPEGやPNGなど画像であればプレビューでファイルが開かれます。サウンドファイルであれば、プレイヤーアプリ(初期設定ではiTunes)が起動して音楽の再生が始まります。

では、そのファイルが「実行形式のファイル」だとするとどうでしょう? 指定の時間にアプリが起動されただけでは何も起こりませんが、それがAutomator(macOSに付属の自動化アプリ)やシェルスクリプト(コマンドを実行するテキストファイル)だとすれば、時間を指定していろいろな処理を自動実行することが可能になります。

ただし、ファイルを指定する場合、イベントを登録するカレンダー(「ホーム」や「仕事」などイベントが属す小分類)は、iCloudで使用しているものは利用できません。あらかじめ「このMac内」に分類されるカレンダーを新規作成し、作成するイベントにはそのカレンダーを適用しましょう。Macがスリープしていたり電源オフされていても開かれないため、ノート型Macを利用している場合は注意が必要です。

  • 「その他」の適当なカレンダーを選択した状態で新規カレンダーを作成すると(画面上をControl+クリック)、「このMac内」に分類されるカレンダーを作成できます

  • イベントの通知欄にファイルを登録しておくと、イベント時刻(またはその前後の時刻)にファイルを開くことができます

カレンダーで「ファイル」を活用する

  • イベント時刻に自分好みの曲を再生する

イベントに登録したファイルは、関連付けられたアプリにより開かれます。macOSの場合、主なサウンドファイルはiTunesに関連付けられているため、MP3やAACといった圧縮音源を指定すればiTunesが起動するとともに再生が始まります。

iTunesでは再生できないサウンドファイルでも、VLCのように幅広いフォーマットに対応したプレーヤーアプリをファイルに関連付けておけば再生できます。Finderで対象のサウンドファイルの情報ウインドウを開き(ファイルを選択してCommand+i)、「このアプリケーションで開く」欄で指定しておきましょう。

  • イベントの「通知」にサウンドファイルを指定しておくと、イベント時刻に曲の再生を開始できます

  • iTunesが対応しないフォーマットでも、Finderの情報ウインドウで対応アプリを指定しておけば再生できます

  • 共有カレンダーで書類を配布する

Macの「カレンダー」アプリは、イベントにファイルを添付することができます。iOS版カレンダーはファイル添付に対応していませんから、この点はMacが機能的に有利といえるでしょう。

しかし、イベントに添付されたファイルはiCloudカレンダーでも利用できます。Mac/iOS版を問わず開けますから(ファイルに対応したアプリは必要)、MacからiPhone/iPadへのファイルの受け渡しにも活用できることになります。

iCloudカレンダーを複数のユーザで登録している場合は、ファイルを配布する手段にもなります。Macで書類を複数人に配布する場合、メールを使うことが一般的な方法ですが、共有しているiCloudカレンダーのイベントにファイルを添付すれば、そのカレンダーを閲覧できるユーザ全員にファイルを配布したことと同じ効果を得られます。

添付したファイルはiCloudにアップロードされ、そのファイルを閲覧(イベントの詳細画面でタップ)したときにダウンロードが開始されます。メールの添付ファイルは容量が厳しく制限されるものですが、この方法を使えばファイルサイズを気にする必要がありません。PDFや画像などiOSが対応する文書形式であれば閲覧でき、iCloudへ保存するなどの処理も自由に行うことができます。

  • イベントにファイルを添付します(複数ファイルの添付可)

  • 画像ファイルやPDFなどiOSが対応するファイルであれば、iPhone/iPadで閲覧できます