「バッテリーのもちをよくする」というと、次の充電までの時間を可能な限り長くすることを想像するものですが、もうひとつ「バッテリーを長生き(長寿化)させる」という意味合いもあります。前者は利用するアプリや処理内容によって決まり、短期的な使い方に大きく左右されますが、後者はバッテリーの管理や日々の積み重ねによって変化します。今回は、後者にターゲットを絞り、MacBookシリーズのバッテリーを"長生き"させるための基礎知識をマスターしましょう。
1. 充電回数と最大容量を確認する
なにはともあれ、内蔵バッテリーの充電回数と最大容量を確認しましょう。MacBookシリーズに内蔵されているリチウムイオンバッテリーは、充放電を繰り返すうち最大容量(満充電の量)が工場出荷時点と比べ低下するからです。
見るべき場所は「システム情報」にあります。メニューバー左上のリンゴマークをクリックすると現れる「このMacについて」を選択、概要タブにある「システムレポート...」をクリックし「システム情報」を起動しましょう。そのハードウェア欄にある「電源」を選択すると表示される「完全充電時の容量(mAh)」が操作時点における最大容量、「充放電回数」の数値が初めて利用してからの充放電回数(サイクル)の累計値となります。
なお、リチウムイオンバッテリーでは空の状態から満充電に到達するまでを充放電の1サイクルと数えます。Appleは製品ごとに最大充放電回数のめやすを公開しており、ここ10年以内に発売されたMac(MacBookは13インチ/Late 2009以降、MacBook Airは13インチ/Late 2010以降、MacBook Proは17インチ/Early 2009以降)は最大1000サイクルで消耗したとみなされ、交換のめやす、つまり「寿命」がきたと判断できます。
2. 日々の「状態チェック」を忘れずに
macOSはバッテリーの状態をつねに監視し、「システム情報」で確認できるようにしています。充放電回数の下に表示されている「状態」がそれで、問題なければ「正常」、蓄電能力が低下すると「間もなく交換」、大幅に低下すると「今すぐ交換」にステータスが変化します。
このステータス情報は、メニューエクストラでも確認できます。システム環境設定の「省エネルギー」パネルにある「メニューバーにバッテリーの状況を表示」をチェックすると、メニューエクストラにバッテリー残量が表示されますが、これをoptionキーを押しながらクリックするとステータス情報が表示されます。
3. バッテリーが壊れるとどうなるか
バッテリーのコンディションに問題がないかどうかは、ステータス情報に「正常」と表示されていることで確認できます。「間もなく交換」と「今すぐ交換」も、Macの利用そのものに問題はなく、バッテリーのもち時間が短くなることに耐えられれば、しばらく使い続けられます。
しかし、ステータス情報に「バッテリーの交換修理」と表示された場合は、事情が変わってきます。たとえば、バッテリーのセルの一部 -- リチウムイオンバッテリーは「セル」と呼ばれる構成単位が複数集まり構成されています -- に異常が生じた場合、突然Macがシャットダウンするなど通常使用に耐える状態ではなくなります。そんなアクシデントがいつ起きてもおかしくないという意味ですから、「バッテリーの交換修理」という表示を確認した場合、可能なかぎり速やかに修理/交換を依頼しましょう。
4. macOSを「v10.15.5」にアップデートする
macOS Catalina v10.15.5アップデートには、バッテリー管理を強化する新機能が含まれています。システム環境設定「省エネルギー」パネルの下部に「バッテリーの状態...」ボタンが追加され、これをクリックするとバッテリーの状態が表示されるほか、バッテリーの状態管理を行うかどうか決定できます。
Appleによれば、バッテリーの状態管理とは「化学的経年劣化の進行を遅らせてバッテリーの耐用年数を延ばすことを狙いとした機能」です。有効にしておけば、収集した測定値に基づきバッテリーの最大充電量を制御し、バッテリーの健康を害さない最適な量を充電するようになります。腹八分目で充電を止める機能、といえばわかりやすいでしょうか。
この機能はデフォルトで有効化されていますが、「バッテリーの状態管理」のチェックを外すと無効化できます。充電1回あたりの利用時間は伸びるかもしれませんが、(長生きという意味での)バッテリーの寿命が縮む可能性があるため、チェックを外さないことをお勧めします。