時計やメモといったアクセサリに分類されるアプリは、軽い操作感と使い勝手のよさが身上。なかでも「計算機」は誰でもすぐに使える、利用頻度の高さではNo.1の存在です。今回は、そんな身近なアプリのあまり知られていない便利ワザを紹介しましょう。

起動方法を見直そう

macOSの計算機といえば、Finderで「アプリケーション」フォルダ上のアイコンをダブルクリックするか、LauchPadでアイコンをシングルクリックして起動するもの。もちろん、Dockに登録しておけばよりすばやく起動できるし、デスクトップにショートカットを置くという方法も使えます。

しかし、FinderやDockに手を伸ばすのも煩わしい、思い立ったら即起動したいという場合には、Spotlight経由の起動がイチ推しです。Command+スペースキーで画面中央に現れるフィールドに適当な数式を入力すれば、計算結果とあわせて「トップヒット」に計算機のアイコンが表示されるはず。そこでEnterキーを押せば、キーボードだけですばやく計算機を起動できます。

  • macOSの「計算機」

  • 「計算機」はSpotlightウインドウから起動できます

キーボードで操作しよう

計算機の画面にあるボタンは、マウスボタンでクリック、またはトラックパッドでタップすると押すことができます。しかし、その方法はMacビギナー向き。もっとスピーディーに計算したければ、中上級者らしくキーボードですべての操作を行いましょう。

ルールはかんたん。0から9までの数字ボタンは、そのままキーボードの数字キー。MacBook Proであれば、「÷」や「×」などの記号ボタンは数字キーのすぐ上にあるTouchBarに現れるので、指先をあちらこちらへ動かす必要がありません。

計算結果をクリアする「C」ボタンは、「C」キーを押せばOK。TouchBar非搭載のMacの場合、「ESC」キーを使えます。計算履歴も含めてクリアする場合(ボタンは「AC」)も同様に、「C」キーか「ESC」キーで対応できます。計算を実行する「=」ボタンも、「enter」キーを押すだけです。科学計算モード時には「p」を押すだけでπ(3.14159...)を入力できます。

  • 計算機アプリが前面に表示されているとき、TouchBarはこのように変化します

iPhoneの計算機とはちょっと違う

iPhoneの計算機アプリでよく知られたワザのひとつに「関数電卓」があります。計算機アプリを起動した状態でiPhoneを水平方向に持ち替えると、画面レイアウトが一変。サイン/コサインや平方根/立方根などの計算で便利に使えるボタンが出現します。

Mac版にも同様のしくみが用意されていますが、垂直/水平で持ち替えるのではなく、ショートカットキー。関数電卓(科学計算)モードに切り替える場合はCommand+2を押します。iPhoneにはないプログラマモード(16進数の計算や論理和/論理積などの計算が可能)へ切り替えるときはCommand+3、基本モードに戻すときはCommand+1です。

ウインドウにある緑色のボタン(拡大/縮小ボタン)をクリックしても、基本モードから科学計算モードドに切り替えることができます。ただし、クリックするたび基本モード→科学計算モード→基本モード……と変化するのではなく、基本モード→科学計算モード→プログラマモード→科学計算モード→プログラマモード……のように、基本モードには戻りません。基本モードへ戻す場合は、Command+1を押します。

  • 科学計算モード

  • プログラマモード

「RPN電卓」の活用法

Mac版とiPhone版の計算機アプリは、ボタンの配色や関数電卓モードなど多くの共通項がありますが、Mac版ではプログラマモードがあるように、概ねMac版のほうが高機能です。そしてなにより決定的に異なるのは、「RPNモード」の存在でしょう。

RPNとは逆ポーランド記法(Reverse Polish Notation)のことで、通常「1足す2」は「1+2」と演算子を被演算子の中間に記述するところ(中置記法)、逆ポーランド記法では「1 2 +」と被演算子の後ろに記述します。計算機アプリのRPNモードも、この逆ポーランド記法に従い入力作業を行います。

RPNモードへの切り替えは、Command+Rで行います。RPNモード時には、数値表示エリアが1段から3段に変わるので、ひと目で区別できます。

逆ポーランド記法の強みは「記述順に処理できる」ことです。たとえば、「(4 + 5) × ((8 - 4) ÷ 2))」を計算するとき、電卓で計算するときにはカッコを意識しつつメモリ機能を利用しながら計算することになりますが、逆ポーランド記法では基本的に左から右方向への入力でOKです。

なお、被演算子と被演算子の間を区切るために、RPNモードでは被演算子を入力した直後にEnterキーを押す必要があります。前掲の式を中置記法と逆ポーランド記法それぞれで計算するときには、次の入力順となります。何度か試せば便利さを実感できますよ。

(科学計算モードで入力)
[8] [-] [4] [=] [÷] [2] [=] [m+] [4] [+] [5] [=] [×] [mr] [=]

(RPNモードで入力)
[4] [ent] [5] [+] [8] [ent] [4] [-] [2] [÷] [×]

  • RPNモードに切り替えたところ

  • 科学計算モードのときにRPNモードに切り替えたところ