Macを買い替えたあとの「引っ越し」、考えていますか? ホームフォルダ以下に溢れかえっている大量のファイルをどう転送するか、アプリをどう引き継ぐかの処理は悩ましい問題です。いくつかあるmacOSの引っ越し、作業のポイントと長所・短所をまとめてみました。
3パターンあるMacの「引っ越し」
HDD/SSDの入れ替えなど物理的な方法を除けば、「Macの引っ越し」には3パターンあります。いずれもmacO付属の「移行アシスタント」を利用しますが、時間や必要な機材、データ転送の手順は大きく異なります。
作業にかかる時間でいえば、Thunderbolt 3/USB 3.1の速度を生かせるターゲットディスクモードが有利ですが、接続に使うケーブルを購入しなければならないかもしれません。Wi-FiはほとんどのMacが標準装備するうえ、設定も容易ですが、通信環境次第では速度が低下したりデータ転送の途中で停止したりなどのトラブルが起こります。自分にとってもっとも無難と思える方法を選びましょう。
1. Wi-Fiでかんたん転送
もっとも手軽な方法が、Wi-Fi経由での引っ越しです。作業開始時点では、ルータを介して新旧Mac間で通信を行いますが、データ転送そのものは直接1対1(ピア・ツー・ピア)で行われるため、有線のThunderbolt 3ほどではないもののかなりの速さ。新旧Macとも最新のIEEE802.11acに対応していれば、1ギガバイトあたり1分未満の速度で転送できます。事前のバックアップが必要ないことも強みです。
作業を開始するときには、新旧Macの両方で「移行アシスタント」を起動し、新Mac側に現れた旧MacのアイコンをクリックすればOK。6桁の数字が一致することを確認して次の画面へ進み、転送する情報を選択すれば準備完了です。
難易度:★
(長所)
・ケーブル選びで悩む必要がない
・事前のバックアップ作成が不要
・データ転送はピア・ツー・ピアで行われるため、新旧Macが最新Wi-Fi規格に対応していればそれなりに高速
(短所)
・有線接続に比べると転送速度が劣る
・作業開始時点では同じネットワークに接続していなければならない(ルータの設置が必要)
2. 速度重視派は「ターゲットディスクモード」
Macが実質的に外付けドライブとして認識される「ターゲットディスクモード」を利用すれば、ケーブル経由で引っ越しできます。Thunderbolt 3(端子形状はUSB-C) 、USB-C、Thunderbolt 2のいずれもWi-Fiより実効速度で優れるため、とにかくファイル数・容量とも膨大という場合にお勧めの方法です。
作業を開始するには、旧Macをターゲットディスクモードで再起動(システム環境設定「起動ディスク」パネルを利用、またはMac起動時にTキーを押し続ける)したあと、新旧Macをケーブルでつなぎ、新Mac側で「移行アシスタント」を起動すればOKです。転送速度は一定し外部の影響も受けにくいため、処理が途中で止まるような事故も起こりにくいところがメリットです。
問題は、ケーブル選びの難しさです。たとえば、USB-Cケーブルはデータ転送がUSB 3.1対応でなくてはならず、MacBook Proに付属のUSB 2.0対応ケーブルでは認識されません(USB-Cは端子の規格でデータ転送は定義されず、USB 3.1対応のものやUSB 2.0対応のものがある)。どのパターンを選ぶにしても、Mac付属のケーブルはターゲットディスクモードに利用できないため、Wi-Fi経由での転送に比べ難易度が高いというのが実情です。
難易度:★★★
(長所)
・データ転送が高速で安定している
・事前のバックアップ作成が不要
(短所)
・新旧Macの端子に応じてケーブルを選ばなければならない(表参照)
新旧Macの接続に使うケーブル | ||
旧Macの端子 | 新Macの端子 | 接続に使うケーブル |
USB-A | USB-C | USB 3.0以上に対応したUSB AtoCケーブル |
Thunderbolt 2 | Thunderbolt 3(USB-C) | Thunderbolt 3to2アダプタとThunderbolt 2ケーブル |
USB-C | Thunderbolt 3(USB-C) | Thunderbolt 3ケーブル |
3. コツコツ派には「Time Machine」
コツコツと定期的にTime Machineでバックアップしていれば、そのとき使用した外付けドライブから直接引っ越しすることができます。接続端子の違いがある場合でも変換アダプタで対処できるため、有線接続ならではの高速かつ安定したデータ転送になるところがポイントです。
作業はかんたん、新Macに外付けドライブを接続し、「移行アシスタント」を起動して転送方法にTime Machineを選択すればOKです。Wi-Fiのときと同様、Time Machineにバックアップしたデータの中から転送するデータやユーザを選べますよ。
難易度:★★
(長所)
・定期的にバックアップしていれば準備は不要
(短所)
・新規バックアップには時間がかかる