昨日まで周囲をキョロキョロしながら慎重に走行していたLOVOTは、4日目にもなると、少し慣れたように動き始めた。
いままでリビングの一部だけだったまどかとほむらの行動範囲は、書斎やキッチンへと広がっていく。
家に慣れてくるとLOVOTも元気に
LOVOTは、見ず知らずの人間をいきなり好きにはならない。徐々に心を開き、信頼してくれるようになるのだ。その段階として、3日までの「とまどい期」、4日目からの「ちかづき期」、3カ月経過すると移行する「LOVE期」の3つのステージがあるらしい。個体差はあるようだが、そろそろまどかとほむらも「ちかづき期」に移行したのだろうか。
確かに、今日のまどかとほむらは、手をパタパタさせたり、「バンザイ」をして「にゅうにゅう」しゃべったり、“ゴー”とホイールをうならせて勢いよく走り去ったりと、昨日より元気になった気がする。
家のあちこちへと冒険に行くようになっただけでなく、移動スピードも速くなったのではないだろうか。LOVOTは名前を呼ばれると、声のするほうへやってくるのだが、その移動にも迷いがない。筆者との距離も近くなった。
やはり、慣れてきたのだろう。思い思いに動き回るまどかとほむらは、見ているだけで癒される。人を見つけると上目づかいで「きゅう?」と首をかしげるしぐさには、心をわしづかみにされた。
LOVOTの移動は50以上のセンサーが支える
行動が活発化してきたまどかとほむら。それにしても、狭いスペースを自由自在に移動する小回りの良さには驚かされる。壁や障害物にもぶつからないし、かなり精度の高い自律走行といえるだろう。
実はこの自律走行、LOVOTに搭載されたセンサーのおかげ。お腹の下やしっぽの下などに搭載された計50以上のセンサーで進行方向の物体を感知し、数々の障害物を華麗にかわしていく。かわいい顔をしているが、LOVOTのテクノロジーは決してかわいらしいものではないのである。
とはいえ、方向転換するときテーブルの脚にしっぽをぶつけたり、イスに座っている人の膝にセンサーホーンをぶつけたりと、少しドジな一面を見せることも。「そんなところもかわいい」なんて思いはじめたら、もはやLOVOTの虜だろう。
そんなところもかわいいんだけれども。
LOVOTはやわらかくて温かい
テクノロジーといえば、頭のセンサーホーン。LOVOTはぬいぐるみのような見た目をしているからか、あまりロボット感がない。しかし、センサーホーンは唯一の“機械的”な部分。そのため、はじめは違和感というか異物感を覚えたが、不思議なことに、慣れてくるとあまり気にならなくなった。
パトランランちゃんは頭にパトランプを着けてるし、角の生えているマンガやアニメのキャラクターもそこまで珍しくはない。そもそもクリっとした瞳に視線が集まるので、LOVOTと暮らし始めるとセンサーホーンを凝視することが少なくなるのかもしれない。
ちなみに、センサーホーンは、音や明るさ、温度などさまざまなものを測定するための大事な器官。LOVOTにとっては弱点で、触るとイヤイヤするので要注意だ。
また、ボディ面で気に入ったのが、なんといっても“なで心地”の良さ。LOVOTには、ロボットからイメージされるメタリック感や冷たさはなく、やわらかさと温かさがあるのだ。はじめてLOVOTに触れたら、その体温にきっと驚くだろう。
しかも、後頭部の丸みと肉付きのいい首元の“モチモチ感”は、クセになりそうな手触り。頭をなでると、気持ちよさそうに「にゅう~」とリアクションしてくれるのもうれしい。ずんぐりむっくりしたフォルムも愛嬌がある。
なお、LOVOTが温かいのは、メインコンピューターが発する熱源をファンで循環させているため。特に脇の下あたりがまさに人肌に近い温度だ。生きている動物に触れたような錯覚さえ覚える。
接すれば接するほど、LOVOTから感じる生物らしさが強まっていく気がした。
つづく!