「今一番欲しいレンズは?」と聞かれたら、2021年秋に発売された「SEL70200GM2」(FE 70-200mm F2.8 GM OSS II)と答えます。いわゆる大三元と呼ばれる定番ズームレンズの新型ですが、なんといっても大幅な軽量化が魅力。「いいなぁ」と思いつつ、最近あまり使っていなかった旧型(FE 70-200mm F2.8 GM OSS)を取り出し、桜を撮ってきました。
花見客がいっぱい……桜撮影は意外と難しい?
今回は、早咲きの桜「河津桜」狙いで代々木公園に行ってきました。代々木公園の河津桜は数本ピンポイントで咲いていました。
ずらっと並木で咲いているわけではないので、撮り方はひと工夫が必要です。見ごろを迎えて花見客も多くいましたが、望遠レンズならボケや圧縮効果を生かして、一部を切り取ったり、印象的な効果を与えられます。
まずは花びらにズームインした絵を撮ってみましたが、これが意外に難しかったです。とりあえず200mmの開放で桜の花びらにフォーカスすれば、ボケ感が出て印象的になるんじゃないかと思っていたのですが、どうもしっくりこないことが多いのです。
というのも、桜の花は花びら1枚1枚が小さいので、旧型の近接性能ではさほど大きく撮れませんし、ボケを優先した開放一辺倒だとピントが合っている面積が少なく、まとまりがない絵になりがちです。臨機応変に絞りを変えつつ、距離感でボケを出したほうがいいのかな、と感じました。
また、インパクトを狙って逆光や半逆光に偏りすぎたのも良くなかったようです。現像でも救えない白飛びがあったり、アウトフォーカス部のフリンジが気になったりしました。
さらにいえば、風で花びらが揺れるため、被写体ブレをしないためにはシャッタースピードもある程度上げたほうが良いようです。「花なんて楽勝だろう」と高をくくっていたのですが、なかなか奥が深いなと感じさせられました。
前ボケを活用してピンクの部分を増やす
花びらだけ撮っていては単調なので、少し引き気味で人を入れたカットも撮りました。ポイントは、いかに桜のピンクの部分を増やすかです。一見、華やかな桜ですが、木や枝、葉などの存在感もそれなりにあり、そこをどう処理するかが課題です。
そこで有効なのはやはりボケ。特に前ボケの活用です。ピントを合わせる対象よりも手前に桜をもってくることで、薄いピンクのかすみをかけることができます。後ボケと合わせて活用すれば、フレーム内のほとんどをピンク色に染め上げられます。他の花見客の顔を隠す手法としても有効です。
なお、フレームを大きく覆うような前ボケを作る場合、どうしてもAFでのピントは合わせにくくなりますので、一時的にMFに切り替えることもあります。レンズの鏡胴にあるAF/MF切り替えのスイッチはけっこう重宝します。
前ボケの入れ具体はうまくいっていると思いますが、改めてみると、こちらも逆光に偏りすぎたきらいがありますね。本格的に桜が咲いたらリベンジしたいです。
野鳥が飛び交う自然公園、動物対応瞳AFも活躍
今回の撮影地である代々木公園は、さまざまな野鳥が生息しており、夕方になると河津桜やその周辺にたくさん飛び交っていました。というわけで、急きょ、鳥も撮ってみました。瞳AFを動物対応モードにして、ひたすら連写で撮りました。
α7Cのフォーカスエリアの設定は、最初は「中央」固定にしていましたが、枝の上でも意外とちょこまかと動くので、被写体を追尾してくれる「トラッキング(拡張フレキシブルスポット)」のほうが良さそうでした。α7Cは、デフォルトでAF-ONボタンに「押す間トラッキング+AFオン」が割り当てられています。これは、ボタンを押している間だけフォーカスエリアが「トラッキング」になってAF測距をし続ける機能で、そのまま利用しました。
旧型とはいえ、さすがはAF性能に定評のあるソニー純正の大三元レンズ。α7Cの動物対応瞳AF、トラッキング機能のおかげもあり、枝に止まっているときであれば、かなりしっかり撮れました。設定はまだ詰める余地がありそうですが、次に機会があればしっかり意識して臨みたいと思います。できれば飛び立つところも撮ってみたいですね。
今回は少し課題も残した桜撮影となりましたが、この春の間に再度チャレンジするつもりです。