最新のIntel Core Ultraシリーズ3プロセッサIntel Core Ultra 7 355(Panther Lake)を搭載した14型ノートPC、Lenovo「Yoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Edition」をレビューします。
Yoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Editionは、14型2.8K有機ELディスプレイ搭載で実測約956gという軽さのプレミアムモバイルノートPC。前モデル(Gen 10)から約215gもの軽量化を果たしつつ、CPUをLunar LakeからPanther Lakeに刷新し、最大49TOPSのNPUによるCopilot+ PC対応を強化しています。直販サイトでの価格は329,780円。
1kg切りの軽さとPOLED搭載の14型ボディ
まずはYoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Editionの外観をチェックしていきましょう。
本体カラーは「シーシェル」。アルミニウム製のホワイト系ボディは上品な質感で、天面にはLenovoのロゴと「AURA EDITION」のバッジが配置されています。なお、「コズミックブルー」のFIFA World Cup 26 Editionもラインアップされています。
本体サイズは幅312.6mm×奥行213.8mm×厚さ13.9mm(最薄部)。前モデル(約312.0×219.3×13.9mm)と幅はほぼ同じですが、奥行が約5.5mm短縮されています。
重量は公称約975g、実測で956.5gでした。前モデルの約1.19kgから約215g軽くなっており、1kgを切る重量は14型のノートPCとしては非常に軽量です。バックパックはもちろん、薄手のビジネスバッグにも余裕で収まるサイズ感と重さで、持ち運びのストレスはほとんど感じません。
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天面中央にLenovoロゴ、上部には「AURA EDITION」バッジ
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底面には大型の吸気口とスピーカーグリル。Dolby Vision Atmos、PureSightの表示も見える
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実測956.5g。公称975gよりもさらに軽い結果に
ディスプレイは14.0型の2.8K POLEDを採用しています。POLEDはPlastic OLEDのことで、従来のガラス基板の代わりにプラスチック基板を使用したことで軽量化に貢献しています。解像度は2,880×1,800ドット、アスペクト比16:10、最大10.74億色、リフレッシュレート120Hzで、DisplayHDR True Black 1000認証を取得。さらにフリッカーフリー対応やCorning Gorilla Glassの採用といった改良も加えられています。
HDRコンテンツでは有機ELならではの引き締まった黒と鮮やかな発色が際立ちます。10点マルチタッチにも対応。ただし、光沢仕様なので屋外や照明下では反射が少し気になりそう。
キーボードはJIS配列の84キーで、Copilotキーを搭載。US配列と共通のボディをベースにしているため、バックスペースやエンターキー周辺がやや窮屈な配列です。明るさ調整可能なバックライトを備えており、暗い場所でもタイピングしやすくなっています。タッチパッドは大きめで操作性は良好。
インターフェースはThunderbolt 4×3ポートのみという割り切った構成。前モデルにあったUSB-A、HDMI、3.5mmオーディオジャック、microSDカードリーダーはすべて廃止されています。
Thunderbolt 4はUSB PDとDisplayPort Alt Modeに対応しているため充電や映像出力は問題ありませんが、有線イヤホンやType-A端子の一般的なUSBメモリを使いたい場合は変換アダプターやUSBハブが必要になります。約215gの軽量化にはこのポート削減も大きく影響しているのでしょうが、前モデルの充実したポート構成を気に入っていたユーザーにとっては悩ましいトレードオフです。
ワイヤレスはWi-Fi 7(IEEE802.11be)とBluetooth v5.4に対応。Wi-Fi 7対応ルーターと組み合わせれば、より高速で安定した通信が期待できます。
Webカメラは前面500万画素で、IRカメラによるWindows Hello顔認証にも対応。電子式プライバシーシャッターは本体側面のスライドスイッチで操作でき、赤い印でオン/オフの状態がひと目で確認できます。
付属のACアダプターは壁挿しタイプで約177g、出力は65WのUSB PD対応です。本体と合わせても約1.1kg強で収まりますし、よりコンパクトなUSB充電器を用意すればさらに携帯性を向上できます。
ベンチマークで性能を検証
ベンチマークソフトを使ってYoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Editionの性能をチェックしていきます。今回レノボから貸与を受けたサンプルの構成は以下のとおりです。
- OS:Windows 11 Home 64bit
- CPU:Intel Core Ultra 7 355(8コア、2.30GHz / ターボブースト時 最大4.70GHz)
- メモリ:32GB LPDDR5x(オンボード)
- ストレージ:1TB SSD(PCIe NVMe / M.2)
- グラフィックス:インテル グラフィックス(メインメモリと共有)
Yoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Editionは、Intel Core Ultraシリーズ3の「Panther Lake」世代にあたるCore Ultra 7 355を搭載。前モデルのCore Ultra 7 258V(Lunar Lake)から世代が進み、省電力性と性能の両立がさらに強化されています。
NPUは最大49TOPSのAI処理性能を持ち、Microsoftが提唱するCopilot+ PCの要件を満たしています。対応するソフトウェアではNPUを活用することで、他の作業で忙しいCPU/GPUに負荷をかけずに実行できます。
CPU性能をCINEBENCH R23/2024で確認しました。前モデルのCore Ultra 7 258V(Lunar Lake)と同じ8コア構成ながら、マルチコア性能が大きく向上しており、Panther Lake世代の進化が見て取れます。シングルコア性能も着実に伸びていて、日常の作業でもレスポンスの良さを実感できるはずです。
PCMark 10のスコアも高く、一般的なオフィスワークから写真編集などのクリエイティブ作業まで、モバイルノートPCとしてはかなり優秀な結果が出ています。
続いて、定番3Dベンチマーク「3DMark」とゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の結果を見ていきましょう。
内蔵GPU搭載のモバイルノートPCとしてはかなり健闘しています。FF14であれば標準~高品質設定で快適にプレイできるスコアが出ており、カジュアルにゲームを楽しむ分には十分。ただし、高画質設定で重量級タイトルをプレイするには厳しく、あくまでライトなゲーム用途向けです。
Copilot+ PCとしてのAI機能
Core Ultra 7 355は最大49TOPSのNPUを内蔵しており、Copilot+ PCとしての各種AI機能を利用することができます。ここではいくつかのAI機能を試してみました。
Windows Studio Effects
Webカメラ使用時に利用できる「Windows Studio Effects」では、自動フレーミング、アイコンタクト、背景ぼかしといった機能がNPUで処理されます。タスクマネージャーで確認すると、カメラ使用中はNPUが常時動作していました。CPUやGPUに負荷がかからないため、ビデオ会議をしながら別の作業をしても動作が重くなりにくいのは嬉しいところ。
Lenovo Vantage Smart Modes
Lenovo独自のSmart Modesでは、現在のアクティビティに基づいてデバイスの動作を自動で最適化してくれます。作業中、ゲーム中、動画視聴中などの状態を自動認識し、パフォーマンスや電力設定を切り替える仕組みです。VPN、アテンションタイマー、Wi-Fiフェンシングなど細かい設定にも対応しています。
ペイントのAI機能
Windows標準のペイントアプリでもAI機能を活用できます。「Stickerジェネレーター」はテキストからAIステッカーを生成する機能で、試しに「サングラスをしている猫」と入力するとさまざまなバリエーションのステッカーが生成されました。
「コクリエーター」はラフなスケッチとテキストプロンプトからAIが画像を生成してくれる機能です。簡単な猫の落書きを描いてプロンプトを入力すると、それをベースにした画像が提案されます。
フォトアプリの背景削除
フォトアプリの背景削除機能もNPUを活用して処理されます。写真を開いて背景削除を選ぶだけで、ワンクリックで被写体を切り抜けます。
Click to Do
Copilot+ PCの機能のひとつ「Click to Do」も利用できます。画面上のテキストや画像を選択すると、内容に応じたアクションが提案される機能です。テキストを選択すればコピーやWeb検索、Copilotへの質問が、画像を選択すればBingでの画像検索やペイントでの背景削除といった操作がワンクリックで実行できます。わざわざアプリを切り替える手間が減るので、リサーチ作業などで地味に便利です。
Geekbench AIでNPU性能を計測
AI推論性能を計測する「Geekbench AI」の結果も確認しておきましょう。
注目はOpenVINO / NPUの量子化スコアで、GPUやCPUを大きく上回っています。49TOPSのNPU性能がきちんと活かされている結果です。
ストレージ・バッテリー
ストレージはSK Hynixの1TB NVMe SSDで、PCIe 4.0 x4接続です。CrystalDiskMarkではシーケンシャルリード・ライトともに高速な数値が出ており、大容量ファイルのコピーなどでもストレスなく使えます。
バッテリー駆動時間は、JEITA 3.0基準で動画再生時 約22.8時間、アイドル時 約24.8時間と公称されています。75Whの大容量バッテリーと省電力プロセッサの組み合わせで、1日の外出であれば充電なしでも十分持ちそうです。Rapid Charge Express対応で約1.5時間で満充電できるのもありがたいですね。
軽さと美しさを突き詰めたプレミアムモバイル
Yoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Editionは、前モデルの完成度の高いデザインをベースに、軽量化と最新プラットフォームへの刷新を図った14型プレミアムモバイルノートPCです。
最も印象的なのはやはり軽さ。14型の有機ELディスプレイと75Whバッテリーを搭載しながら実測956.5gと、前モデルの約1.19kgから1kgの壁を突破してきました。OLEDからPOLEDへの変更やポート削減など、軽さへのこだわりが随所に感じられます。
一方、ポート構成はThunderbolt 4×3のみに削減されました。軽量化のトレードオフとはいえ、ヘッドホンジャックすらないのは人を選ぶところ。周辺機器を多く使う方はUSB-Cハブが必須でしょう。
Core Ultra 7 355の性能はモバイルノートPCとしては十分で、49TOPSのNPUによるCopilot+ PC機能も一通り体験できました。Windows Studio EffectsやPaintのコクリエーターなど、NPUが実際に活躍する場面は着実に増えてきている印象です。
30万円超と安くはありませんが、1kg切りの軽さ、有機ELの美しさ、長時間バッテリー、最新のAI機能と、モバイルノートPCに求められる要素を高い水準でまとめています。ポートの少なさを許容できるなら、外出先での作業が多く軽さと表示品質を重視する方におすすめしたい一台です。





























