多彩なBTO PCを展開しているサイコムだが、その中でも特別なモデルが「Premium Line」だ。長期運用を見据えたこだわりの品質をはじめ、長期サポート、無償のオーバーホールまで付いてくる。そのPremium Lineから、小型ながら高性能と静音性を実現する「B850FD-Mini/E2/A」のレビューをお届けする。その完成度の高さに驚くはずだ。

  • サイコムの「Premium Line B850FD-Mini/E2/A」。標準構成で404,380円から

    サイコムの「Premium Line B850FD-Mini/E2/A」。標準構成で404,380円から

圧倒的にコンパクトでも性能に妥協なし

サイコムの「Premium Line B850FD-Mini/E2/A」は、タワー型に比べて圧倒的にコンパクトなサイズを実現したMini-ITXベースのデスクトップPCだ。まず特徴的なのが、末永い運用を前提としたPremium Lineに属するため、独自の厳しい基準に基づいて選定を行い、故障の少ない安定性を実現していること。そのため標準で2年間の無償保証が付いていること。さらに、希望すれば内部クリーニングやCPUグリスの塗り直しといったオーバーホールを無償で受けられるほか、内部パーツを交換する際に相談できたり、パーツの取り付けを行ってくれるアップグレードサービス(有償)まで用意している。その手厚さはまさにプレミアムだ。

  • Premium Lineには標準で2年間の無償保証が付く。保証書はかなりしっかり見開きのブックに収納されている

    Premium Lineには標準で2年間の無償保証が付く。保証書はかなりしっかり見開きのブックに収納されている

まず、引くのはデザイン。天面にはウォルナット無垢材を備え、そのほかはアルミニウムアルマイト仕上げによるマットで落ち着いた雰囲気を醸し出している。今回試用したのはグレーカラーだが、シルバーとブルーも用意されており、部屋の雰囲気に合わせて選べるのがうれしいところだ。サイズは幅165×奥行き366×高さ314mmとデスクトップPCとしては非常にコンパクトとなっている。

  • 500mlのペットボトルと比較。タワー型に比べてかなりコンパクトなのが分かる

    500mlのペットボトルと比較。タワー型に比べてかなりコンパクトなのが分かる

  • 天面にはウォルナット無垢材を採用とインテリア風の仕上がりだ

    天面にはウォルナット無垢材を採用とインテリア風の仕上がりだ

  • 前面のポートは下部に用意されている。Type-Cポートも搭載

    前面のポートは下部に用意されている。Type-Cポートも搭載

  • 正面。ボディはアルミニウムアルマイト処理を行って耐久性を高めている

    正面。ボディはアルミニウムアルマイト処理を行って耐久性を高めている

  • 背面側。USBポートや映像出力が用意されている

    背面側。USBポートや映像出力が用意されている

  • 底面はスリットがあり、吸気しやすくなっている

    底面はスリットがあり、吸気しやすくなっている

  • 底面の防塵フィルターは引き抜けるようになっており、手入れも簡単だ

    底面の防塵フィルターは引き抜けるようになっており、手入れも簡単だ

  • 両側面にも吸気口が空けられており、エアフローを高めている

    両側面にも吸気口が空けられており、エアフローを高めている

コンパクトながらタワー型PCに匹敵する性能を搭載できるのも大きな特徴だ。さらに、選択できるパーツはPremium Lineだけあってパフォーマンス、静音性、耐久年数、メンテナンス性などさまざまな面で最高クラスのものをそろえている。

その選択肢は幅広く、CPUを見ても標準構成のRyzen 7 9700Xだけではなく、Ryzen 9 9950X3Dといった上位モデルからRyzen 5 7500Fのミドルレンジまで原稿執筆時点で14種類から選択が可能だ。ビデオカードも幅広く、標準構成ではGeForce RTX 5060 Ti(16GB版)だが、RTX 50シリーズ、RX 9000シリーズなど30種類以上も用意されており、超ハイエンド構成での注文も可能になっている。

このほか、CPUグリス、CPUクーラー、マザーボード、メモリ、SSD、電源ユニットも複数の選択肢があり、小型PCでも理想のスペックを追求できる。また、キーボードやマウス、ヘッドセット、モニターなども同時に注文可能なので、仕事やゲーミング環境を一気に整えるのもポイントだ。

  • CPUはRyzenシリーズがズラリ。幅広く選べる

    CPUはRyzenシリーズがズラリ。幅広く選べる

  • ビデオカードの選択肢も多く、コンパクトでも高スペックに仕上げることが可能だ

    ビデオカードの選択肢も多く、コンパクトでも高スペックに仕上げることが可能だ

試用機はRyzen 7 9700X+GeForce RTX 5080の高スペック構成

ここからは実際の性能や静音性、温度などをチェックしていこう。今回の試用機のスペックは以下の通りだ。

試用機の構成
モデル Premium Line B850FD-Mini/E2/A
OS Windows 11 Home
CPU Ryzen 7 9700X(8コア16スレッド)
CPUクーラー サイコムオリジナルAsetek 624S-M2 + Noctua NF-F12 PWM x2(240mm水冷ユニット)
マザーボード GIGABYTE B850I AORUS PRO (rev.1.1)
メモリ 32GB DDR5-5600(16GB×2、デュアルチャネル)
グラフィックス MSI GeForce RTX 5080 16G INSPIRE 3X OC
SSD Crucial T500 CT1000T500SSD8(M.2 PCIe Gen4 SSD 1TB)
ケース Fractal Design Era 2 Charcoal Gray
電源 SilverStone SST-EX1000R-PM(SFX 1000W/Cybenetics Platinum)

CPUは8コア16スレッドの「Ryzen 7 9700X」を採用。AMD最新のZen 5アーキテクチャーを採用し、最大5.5GHzと多くの処理を快適にこなせるミドルレンジモデルだ。デフォルトのTDPは65Wと低めなので、消費電力や発熱が小さく、人気となっている。

  • 試用機の内部。ギュッとパーツが詰まっているが職人技のケーブル処理で美しく収まっている

    試用機の内部。ギュッとパーツが詰まっているが職人技のケーブル処理で美しく収まっている

  • CPUは8コア16スレッドの「Ryzen 7 9700X」が搭載されていた

    CPUは8コア16スレッドの「Ryzen 7 9700X」が搭載されていた

ビデオカードは原稿執筆時点ではカスタマイズでは選択できない「MSI GeForce RTX 5080 16G INSPIRE 3X OC」が搭載されていた。GPUにGeForce RTX 5080を搭載するオーバークロックモデルだ。RTX 5080を搭載する別モデルのビデオカードが選択肢として用意されているので、試用機と同じスペックに仕上げることは可能だ。

  • ビデオカードにはMSI GeForce RTX 5080 16G INSPIRE 3X OCが搭載されていた

    ビデオカードにはMSI GeForce RTX 5080 16G INSPIRE 3X OCが搭載されていた

  • ブーストクロックを定格の2,617MHzから2,640MHzまで向上させたオーバークロックモデルだ

    ブーストクロックを定格の2,617MHzから2,640MHzまで向上させたオーバークロックモデルだ

小型でもスペックが高いため冷却力の確保にはかなり力を入れている。240mmクラスのサイコムオリジナル簡易水冷クーラーは高性能かつ静音性が高いファンとして知られるNoctua NF-F12 PWMを2基搭載。底面にも2基のファンを備えており、PCケースの下から吸気して天面から抜ける強力なエアフローを形成している。搭載パーツ全体をしっかり冷やせる構造だ。

  • CPUクーラーはサイコムオリジナル仕様。Noctua NF-F12 PWMが2基ファンとして搭載されている

    CPUクーラーはサイコムオリジナル仕様。Noctua NF-F12 PWMが2基ファンとして搭載されている

  • 底面にも2基のファンを搭載し、パーツ全体に風が当たるようになっている

    底面にも2基のファンを搭載し、パーツ全体に風が当たるようになっている

ハイエンドクラスの性能でしっかり冷えて、動作も静か

気になる性能をさっそくチェックしよう。まずは、定番のCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、3Dベンチマークの「3DMark」を実行する。

  • Cinebench 2024の結果

    Cinebench 2024の結果

  • PCMark 10 Standardの結果

    PCMark 10 Standardの結果

  • 3DMark Steel Nomadの結果

    3DMark Steel Nomadの結果

  • 3DMark Fire Strikeの結果

    3DMark Fire Strikeの結果

  • 3DMark Speed Wayの結果

    3DMark Speed Wayの結果

Cinebench 2024はMulti Core、Single CoreともRyzen 7 9700Xとして順当なスコアを出している。PCMark 10のスコアもすべて高く、オフィスワークもクリエイティブワークもこなせる性能があると言ってよいだろう。3DMarkに関しても、すべてアベレージに近いスコアをしっかり出している。

では、実ゲームだとどうだろうか。フル/WQHD/4Kと3種類の解像度かつ最高画質でフレームレートを測定した。RTX 50シリーズのRTX 5080だけに、4K解像度でどこまで高いフレームレートが出せるのかが注目点と言えるだろう。テストしたゲームと条件は以下の通りだ。基本的にアップスケーラーやフレーム生成に対応しているものは、それぞれ利用している。

  • オーバーウォッチ2:画質“エピック”で、botマッチを実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • Apex Legends:最高画質で、射撃訓練場の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • ストリートファイター6:画質“HIGHEST”で、CPU同士の対戦を実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • ELDEN RING NIGHTREIGN:画質“最高”で、円卓の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • マーベル・ライバルズ:画質“最高”、DLSS“バランス”、マルチフレーム生成4xで、ゲーム内のベンチマーク機能を実行
  • Battlefield 6:画質“オーバーキル”、DLSS“バランス”、マルチフレーム生成4x、ローカルでホストを作成して一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • モンスターハンターワイルズ:画質“ウルトラ”、レイトレーシング“高”、DLSS“バランス”、マルチフレーム生成4xで、ベースキャンプの一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • サイバーパンク2077:画質“レイトレーシング:オーバードライブ”、DLSS“バランス”、マルチフレーム生成4xで、ゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • バイオハザード レクイエム:画質“最高”、レイトレーシング“パストレーシング”、DLSS“バランス”、マルチフレーム生成4xで、療養所の一定コースを60秒移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定
  • ゲームテストの結果一覧

    ゲームテストの結果一覧

Apex Legendsは最大300fps、ストリートファイター6とELDEN RING NIGHTREIGNは最大60fpsのゲームだ。さすがRTX 5080だけあって4Kまでほぼ上限に到達している。解像度や画質設定を気にせず快適にプレイが可能だ。

Battlefield 6、モンスターハンターワイルズ、サイバーパンク2077、バイオハザード レクイエムは1フレームから最大3フレームをAIによって生成するDLSS 4に対応していることもあって、描画負荷が高いゲームながら4Kでも高いフレームレートを出している。とくにサイバーパンク2077とバイオハザード レクイエムは描画負荷が非常に高いすべての光源の経路(パス)を再現するパストレーシング処理が入っているにもかかわらず、4Kでも快適にプレイが可能だ。このスペックならゲームにおいて当面性能不足を感じることはないだろう。

小型で高性能だと冷却力や動作音も気になるところだ。サイバーパンク2077を10分間プレイした際のCPUとGPU温度をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で測定した。室温は22℃だ。

  • CPUとGPU温度の温度推移

    CPUとGPU温度の温度推移

CPUは最大61.6℃、平均で57.6℃、GPUは最大68.6℃、平均66.2℃とタワー型PCと比べても冷えていると言ってよい温度だ。RTX 5080で70℃を切っているのは非常によく冷えている。エアフローが効率よく働いているのだろう。そうなると動作音は大きいのでは? と思うところだ。前面、左側面、背面のそれぞれ10cmの位置に騒音計を設置して測定したが、前面で37.5dB、左側面で41.1dB、背面で40.7dBとなった。多少ファンが回っているかな、と感じる程度と驚くほど静かだった。ただし、天面からはかなりの熱風が出るので、天面側が塞がるような場所に設置しないほうがよいだろう。

プレミアムなコンパクト高性能PC

小型ながらハイエンドクラスの性能を持ち、静音性も冷却性も高いとさすがPremium Lineと言える完成度だ。厳選したパーツによって2年間の無償保証も実現しており、オーバーホールなど手厚いサポートもある。設置場所を取らず、長年快適に使える高性能PCを求めているならこれ以上ない選択肢になってくれるはずだ。