正確な数は公表されていないものの、ここ数年のiPhoneには3基から4基の小型マイクが内蔵されています。複数のマイクから集音することにより、ステレオ音声を録音したり、特定の方向からの音を強調したり(ビームフォーミング)といった音声処理が実現されています。
どのマイクを集音に使うかは、目的ごとに異なります。たとえば、音声通話時には口もとに近いLightning/USB-C端子付近のマイクが、動画撮影時の音声収録には被写体側を向いたリアカメラ付近のマイクが主に使用されます。しかも、周囲の雑音を低減させる(ノイズキャンセリング)ために他のマイクで拾った音が使用されるなど、状況に応じて適切なマイクを使い分けているのです。
ということは、マイクを指で塞ぐなど物理的な変更をくわえると、収録される音が変わり、録音される音・スピーカーから出力される音も変わってきます。動画撮影時はリアカメラ付近のマイクを中心に集音しますが、そこを指で塞げば中高音域の情報量が減り、こもったような音になるはずです。動画撮影の初期設定はステレオ録音ですから、左右チャンネルの音のバランスが崩れ、音の方向感も失われてしまいます。
iPhone 11 Pro/Pro Max以降のProモデルに採用されている、カメラのズームに応じて遠くの音を強調して集音する「オーディオズーム」は、マイクを塞ぐと顕著な影響が現れます。この機能は複数のマイクを使用したビームフォーミングとノイズキャンセリングにより、特定方向の音だけ強調したような効果 -- たとえば遠くの人が近くで話しているように感じられる効果 -- を実現するため、どのマイクを塞いでも効果が低下してしまうのです。動画撮影時には、マイクを塞がないよう注意してiPhoneを構えましょう。
