iPhoneの画面を押すと指先に「コツッ」とくるのは、Taptic Engine(タプティック・エンジン)と呼ばれるリニアアクチュエーターの働きによるものです。2015年発売のiPhone 6sで初登場し、改良を重ねつつiPhone 17の現在に至るまで継続採用されています。
リニアアクチュエーターは、コイルの回転運動を直線運動に変換するモーターの一種です。精緻ですばやい動きにより、瞬間的な振動と数ミリ秒レベルという高速レスポンスを実現します。iPhoneの「ディスプレイ表面を物理的に押し込まないのに押し込んでいるかのような指先に伝わる感触」は、その瞬間的な動きによって生み出されているのです。
Taptic Engineの働きはそれだけではありません。iPhone 6sからiPhone Xまで、iPhoneには「3D Touch」というハードウェアによる圧力検知機構も搭載されていましたが、押し込む操作に対する「カチッ」という反応を返すことでじゅうぶんと判断されたのか、iPhone 11以降は同等の機能をTaptic Engineで代替するようになりました。この機能は「Haptic Touch(触覚タッチ)」と呼ばれ、iPhoneの操作体系における重要な機能となっています。
実際、Taptic Engineが生み出す振動は「コツッ」だけではありません。通知/着信時のバイブレーション、カメラのシャッターボタンをタップしたときの感覚、ソフトウェアキーボードをタッチしたときのクリック感など、振動と触覚にまつわるすべてを担っています。
なお、長らく携帯電話のバイブレーション機能に利用されてきた偏心モーターは、偏りのあるおもりを取り付けた軸を回転させ、その遠心力で振動を生み出していました。初期のiPhoneもそのような回転式モーターで振動を生み出していましたが、Taptic Engineが採用されたiPhone 6s以降は搭載されていません。
