Minisforumのラインナップの中でもミドルレンジ帯に位置づけられる「UM750L Slim」は、ノートPC向けのAMD Ryzen 5 7545Uを搭載したミニPCです。Uシリーズらしい省電力性を保ちながら、Intel N100のようなプロセッサを搭載するミニPCよりも明確に上位の処理性能を持つため、日常用途から軽い編集作業まで幅広く対応できる点が魅力的。今回編集部から実機が送られてきたので、製品について紹介します。
価格は通常81,999円ですが、記事執筆時点では16,400円オフの65,999円で販売されており、性能と装備のバランスを考えると手を伸ばしやすいポジションにあります。低価格帯のミニPCが多い中で、もう少し余裕のある性能を求めたいユーザーに向いた選択肢といえるでしょう。
小型筐体に豊富な端子を備えた扱いやすいデザイン
実際に製品の外観や付属品をチェックしてみましょう。UM750L Slimの筐体は一見アルミのようにも見えますが、実際には樹脂製です。しかし、安っぽさはそこまでなくシンプルにまとめられていると感じました。
サイズは約130×126.5×50.4mmと、モバイル向けプロセッサを搭載するミニPCとしては標準的。ただ、製品名にSlimとついているわりにはスリムな印象は受けません。
同梱物は、VESAマウント用のブラケットやACアダプター、電源ケーブル、HDMIケーブル、予備のゴム足、ネジ類が一式揃っており、机上設置からモニター裏への取り付けまで幅広く対応できます。
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パッケージは非常にシンプル。無垢のダンボールにロゴなどが印刷されているだけのように見えます
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同梱物はPC本体、ACアダプター、電源ケーブル、HDMIケーブル、VESAマウント用金具、予備のゴム足、ネジ類
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本体サイズは約130×126.5×50.4mm。重量は実測で537.5g
インターフェースは、前面には電源ボタンのほかUSB 3.2 Gen2×2と3.5mmコンボジャックを備え、日常的に使う端子に手が届きやすくなっています。
背面にはUSB4ポート、USB2.0ポートが2基、2.5G LAN、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4という構成。このUSB4はDP Alt Modeによる映像出力に対応しているだけでなく、65〜100WのPD入力と15WのPD出力にも対応しており、対応モニターと組み合わせればUSBケーブル1本で給電と映像出力を同時にまかなえます。設置時の配線を最小限にできるため、デスク周りをスッキリさせられます。
画面出力はHDMI・DisplayPort・USB4ポートより最大3台ヘ4K出力が可能です。
左右の側面には広い通気孔が設けられ、小型筐体ながらエアフローを十分に確保する設計となっています。天面はロゴのみを配置。底面には吸気用スリットが大きく開けられています。VESAマウントも利用できるため、モニター裏に隠して設置することでデスクスペースを最大限に活用することができます。コンパクトで扱いやすく、設置自由度の高い設計です。
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前面には電源ボタン、USB Standard-A(USB10Gbps)×2、3.5mmオーディオジャックを備える。オーディオジャック右側の穴はCMOSクリアボタン
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背面にはUSB4(40Gbps、DP Alt Mode対応、PD入力 65~100W、PD出力15W)、HDMI 2.1、有線LAN(2.5Gbps)、DisplayPort 1.4、USB Standard-A(USB 2.0)×2


両サイドは通気孔が大きく開けられ、エアフロー確保を考慮した構造になっている
底面四隅についているゴム足を取るとネジが現れ、それらを外すことで内部にアクセスが可能です。ファンのケーブルが繋がっているので断線しないように気をつけましょう。
内部には2280サイズのM.2 SSDと無線LANカードが見えます。無線LANカードの上にはM.2 SSDスロットの空きスロットが1つ用意されているため、簡単に増設が可能です。なお、本機には16GBのRAMが搭載されていますが、メモリはオンボードになっているため換装や増設はできません。
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内部にはM.2 SSDと無線LANカードが見える。無線LANカードの上には2280サイズのM.2スロットの空きスロットがあり、増設が可能
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搭載されているSSDはKingstonの「OM8TAP41024K1-A00」
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無線LANカードはMediaTekの「MT7902」で、Wi-Fi 6EとBluetooth 5.2をサポートする
UM750L Slimの性能をチェック
UM750L Slimの基本構成をあらためて整理しておくと、CPUには6コア12スレッドのAMD Ryzen 5 7545Uを採用し、GPUは内蔵のRadeon Graphics。メモリは16GBのLPDDR5-6400をオンボードで搭載し、ストレージには1TBのNVMe SSDを搭載しています。
Ryzen 5 7545Uは、Zen 4コアを2基とZen 4cコアを4基組み合わせた6コア12スレッド構成のモバイル向けプロセッサです。ベースクロックは3.2GHzで、最大4.9GHzまでブーストする一方、TDPは28Wと省電力枠でもしっかりとした処理性能を得られる点が特徴になっています。キャッシュはL2が6MB、L3が16MBと十分で、アプリの切り替えや同時作業でも動作がもたつきにくくバランスの良さを感じました。
同じミニPCでよく使われるIntel N100系と比べると、CPUコア数やクロック、キャッシュ容量の差が大きいです。日常用途の軽快さに加えて、資料作成や軽い編集作業といった負荷の高い処理でも余裕のあるパフォーマンスを発揮してくれました。
CPU性能についてはCINEBENCHやPCMarkで確認しましたが、Ryzen 5 7545Uは6コア12スレッド構成の強みを素直に発揮し、日常用途から軽い編集作業まで安定してこなせました。アプリの切り替えやブラウジングの多タブ運用でも動作が乱れにくく、N100系を中心としたエントリークラスのミニPCと比べても余裕があります。
PCMark 10でも、アプリ起動やWebブラウジング、資料作成といった一般的な作業領域で軽快さが維持されており、業務用の小型デスクトップとしても十分に通用する印象でした。
GPU性能を3DMarkで確認したところ、Fire StrikeやTime Spyでは内蔵GPUとして妥当な描画性能を示し、軽いゲームであればフルHD環境でも問題なく動作しました。最新のSteel Nomad Lightでも、iGPUとしてはバランスの取れた結果で、日常的なグラフィックス処理には十分な性能があります。
ただし、重量級のゲームを最高品質や高解像度で楽しむにはやや非力であり、そうした用途を主目的とするには向きません。この点はミドルクラスのiGPUを搭載するミニPCでは避けられない問題ですが、用途の想定が合っていれば弱点とは感じにくい部分です。実際、動画編集や写真加工といった軽いクリエイティブ作業であれば問題なくこなせるため、仕事と趣味を一台でまかなうような使い方には適したバランスだといえます。
レビュー機にはPCIe 4.0 x4接続のNVMe SSDが搭載されており、CrystalDiskInfoではKingston製の1TBモデルであることが確認できました。
CrystalDiskMarkでは、シーケンシャルリードが6,000MB/s台、シーケンシャルライトも5,000MB/s台に達しており、PCIe 4.0世代らしい高速な転送性能を示しました。アプリの起動や大容量ファイルの展開は軽快で、全体のレスポンスに直結する部分がしっかり確保されています。ランダムアクセス性能も安定しており、日常用途でストレージの遅さを感じる場面はほとんどありませんでした。
さらに、UM750L SlimはM.2スロットを2基備えているため、用途に応じてストレージを追加したり、システムとデータを分離して運用したりといった柔軟な構成が組めます。高速ストレージを必要とする写真・動画素材の扱いや、複数のアプリやゲームをインストールして使う場合でも扱いやすいです。
用途が合えばコストパフォーマンスの高い1台
UM750L Slimは、コンパクトな筐体に省電力CPUを搭載しながら、エントリークラスを上回る処理性能を備えたミニPCです。Ryzen 5 7545Uの6コア12スレッド構成は日常用途から軽い編集作業まで十分に対応できます。内蔵GPUの性能も軽いゲームであればフルHD環境でも問題なく楽しめる余裕がありました。
一方で、重量級のゲームを高解像度や最高品質でプレイするには力不足であり、この点はミドルクラスのミニPCとしては仕方のない部分でもあります。ただし、仕事用の小型PCとしての快適性や、ちょっとしたクリエイティブ用途をこなせる汎用性を考えると、普段使いの領域では不足を感じる場面は少ないと思います。
ストレージはPCIe 4.0対応のNVMe SSDを搭載しており転送速度も高速で、M.2スロットを2基搭載しているため、後から容量を拡張したり、用途に応じて構成を変えたりといった柔軟性もあります。USB4やHDMIなどの豊富な端子に加えて、対応モニターであればケーブル1本で給電と映像出力を同時にまかなえる点も魅力でした。
通常価格は81,999円ですが、記事執筆時点では65,999円で販売されており、性能とのバランスを考えると手が出しやすい価格帯でしょう。省スペース性、取り回しの良さ、実用的な処理性能のバランスを重視したいユーザーにとって、UM750L Slimは有効な選択肢になると感じました。













