AI投資の拡大に伴うメモリーチップ不足に、いわゆるパニック購入が重なり、11〜12月にメモリー価格が高騰している。こうした状況の中、調査会社TrendForceは、メモリー価格が2026年1〜3月期に再び大きく上昇し、ノートPCやスマートフォンなどのメーカーにおけるコスト負担が一段と強まるとの見通しを示した。その結果、メーカー各社は製品価格の引き上げや仕様(スペック)の引き下げを迫られ、中価格帯で販売されるノートPCが8GB構成で出荷されるようになる可能性があると指摘している。
PCやモバイル機器メーカーにとって、メモリー高騰への対応策の焦点となるのが、メモリーコストの中でも大きな比率を占めるDRAMである。現時点では、すでに出荷された製品在庫や、価格急騰以前に確保したメモリー在庫が短期的な利益を下支えしており、当面は製品価格が大きく動かない可能性もある。しかし、在庫が一巡するとみられる2026年第2四半期までに、仕様を引き下げるか、価格を引き上げるかといった調整が本格化するとTrendForceは見ている。
対策の方向性は製品セグメントごとに異なる。中〜高価格帯のノートPCは機能・性能が差別化要因であり、消費者もそれらを重視する傾向が強く、スペック引き下げは難しい。そのため、DRAM容量はAI PCの最低基準とされる16GBにとどまり、増量のペースが鈍化する。メモリー価格の上昇や高止まりが長期化すれば、いずれ値上げは避けられなくなる。特に、ハイエンドの超薄型ノートPCなど、メモリがチップに統合されていたり、マザーボードにはんだ付けされている機種は、最も早く、かつ大きな価格圧力を受けるセグメントになり得る。
一方、一般的な消費者向けノートPC市場では、需要は性能よりも価格変動に敏感である。近年は、AI機能への対応を背景に、中価格帯ノートPCでも16GB以上のRAMを搭載する構成が一般化しつつあった。しかし、コスト抑制を目的とした構成見直しが進めば、8GB構成の比率が再び高まる可能性があるとしている。
ローエンドノートPCについては、OSの動作要件やプロセッサの制約から、8GB未満へのメモリー削減は現実的ではないと見られている。ただし、もともと利益率が低いセグメントであるため、メーカーは比較的早い段階で価格引き上げという課題に直面する可能性が高い。
TrendForceは、スマートフォン市場においても同様の動きが生じると予測する。コスト圧力を受けやすいローエンドのスマートフォンでは4GB RAM構成への回帰が進み、中価格帯では12GB構成の比率が低下する見通しである。高価格帯については、16GBへの進化が鈍化し、当面は12GBを維持する動きが強まると予想している。
