“安かろう悪かろう”と見られがちな中国製品のイメージを変えるべく、スマホなどを手がける中国OPPOは、故障が少なく品質が高い製品を開発するための研究拠点を深セン市に近い広東省東莞市に開設しました。

そこでは、スマホのバッテリーやガラス、折りたたみスマホのヒンジなどの素材を開発しているほか、実際の利用シーンを想定した使用テストでスマホが長期間安定して稼働するかを数千台規模で24時間テストするなど、品質向上のさまざまな取り組みがなされています。しかも、多くのテストが自動化され、きわめて効率的に作業が進められていました。

  • OPPOが研究開発拠点として開設した濱海湾キャンパス。広々とした明るい雰囲気は、まるで西海岸のテック企業のよう

    OPPOが研究開発拠点として開設した濱海湾キャンパス。広々とした明るい雰囲気は、まるで西海岸のテック企業のよう

  • キャンパス内では、スマホを24時間使い続ける耐久テストなど、さまざまな品質テストを大規模に実施していた

    キャンパス内では、スマホを24時間使い続ける耐久テストなど、さまざまな品質テストを大規模に実施していた

(取材協力:オウガ・ジャパン)

スマホで用いられているパーツの素材を自社で開発

世界でベスト5に入る大手スマホメーカーになったOPPO。多くの人が日常的に利用するスマホは、買った直後こそ快適に使えるものの、数年後にはバッテリーの劣化や外装の破損で使いづらくなったり、動作が重くなってストレスを感じることが少なくありません。特に、低価格のスマホほどこの傾向が強く、それが「安かろう悪かろう」という印象につながることがあるとOPPO自身も認識しています。

OPPOはこの状況をよしとせず、たとえ低価格モデルでも少なくとも48カ月(4年間)は不満なく使える「次世代の品質」(Next-Level Quality)の製品づくりを目指すべく、「Apex Guard」(エーペックスガード)という品質向上コンセプトを発表。そのコンセプトを具現化する研究開発拠点として2022年末に稼働したのが、真新しい濱海湾キャンパスです。

  • OPPOは「次世代の品質」(Next-Level Quality)の製品づくりを目指すと掲げた

    OPPOは「次世代の品質」(Next-Level Quality)の製品づくりを目指すと掲げた

  • 「Apex Guard」(エーペックスガード)という品質向上コンセプトの拠点となるのが濱海湾キャンパスだ

    「Apex Guard」(エーペックスガード)という品質向上コンセプトの拠点となるのが濱海湾キャンパスだ

  • 広大な敷地にそびえる濱海湾キャンパス

    広大な敷地にそびえる濱海湾キャンパス

濱海湾キャンパスでは、スマホ用の新素材開発、通信などの試験、長期使用を想定したハードウエアとソフトウエアの耐久試験などを実施しています。

新素材開発では、割れにくくスムーズに操作できるガラスパネル、100万回を超える開閉にも耐える折りたたみスマホのヒンジなどを開発していますが、特に驚いたのがバッテリーの新しい素材開発。これまでの素材は、割れた石のような角のある不均一な形状だったのに対し、開発中の球状カーボン複合材は球状の細かな粒子にすることで充放電中の粒子の劣化を抑え、バッテリー寿命が約40%も向上するとしています。

  • 各種素材の研究開発を行うエリアの入り口

    各種素材の研究開発を行うエリアの入り口

  • セクションごとにさまざまな研究開発が行われていた。セクションを示すすべての看板には、緑の帯に「求変之心、突破界限」(変化を求める心、限界を突破する)と書かれている

    セクションごとにさまざまな研究開発が行われていた。セクションを示すすべての看板には、緑の帯に「求変之心、突破界限」(変化を求める心、限界を突破する)と書かれている

  • これがOPPOが開発した次世代バッテリーの新素材

    これがOPPOが開発した次世代バッテリーの新素材

  • 新素材(右)は粒子が球体に近く、現行の素材(左)と比べると違いは明らか

    新素材(右)は粒子が球体に近く、現行の素材(左)と比べると違いは明らか

スマホを24時間無人でテストし続けている

製品テストでは、180以上のテスト項目を設け、日常の使用環境を超える厳しい状況でも問題なく動作し続けるかを徹底的にチェックします。

  • OPPOは究極の品質を目指すため、180を超える細かなテストを実施している

    OPPOは究極の品質を目指すため、180を超える細かなテストを実施している

環境テストでは、高温・低温、落下、防水、ヒンジ開閉、曲げなどを実施。経年利用の加速テストでは、紫外線や湿度のある環境に置いて長期的な使用に伴う劣化を検証します。通信テストもあり、地下鉄内など電波状況が変化しやすい極端な環境を想定して安定した通信が可能かを検証していました。

  • 高温や低温テストは、常温を超えた過酷な温度で実施している

    高温や低温テストは、常温を超えた過酷な温度で実施している

  • 電波を吸収するトゲトゲに囲まれた電波暗室にスマホを入れ、極端な環境下でも通信できるかを検証していた

    電波を吸収するトゲトゲに囲まれた電波暗室にスマホを入れ、極端な環境下でも通信できるかを検証していた

圧巻だったのが、OSやアプリが安定して動作するかを検証するため、多くの実機を動かしてテストするフロアが設けられていたこと。

ある一角では、画面をタッチする機構を備えたロボットが特定の操作を続けて、文字入力やホーム画面へ戻る操作がスムーズにできるかを、24時間休むことなく検証していました。

  • 文字入力など指定した操作をロボットが実施するテスト。すべて自動で行われるので、24時間休みなく稼働していた

    文字入力など指定した操作をロボットが実施するテスト。すべて自動で行われるので、24時間休みなく稼働していた

【動画】テストの様子。アームが正確に動いて指定した操作をし続けており、完全自動化されていた。ブースの上部にはカメラがあり、状況を記録している

さらに、1,000台を超えるスマホをラックに格納し、世界のさまざまなサードパーティ製アプリの動作テストも実施していました。一般ユーザーの利用パターンをベースに作成したシナリオをもとに、自動で操作が行われる仕組みにしているといいます。試すアプリの種類は実に1万を超えるそうで、日本のヤフーのアプリも確認できました。

  • たくさんのスマホが格納されたラック。さまざまなアプリが問題なく動作するか、こちらも24時間無人でテストを実施していた

    たくさんのスマホが格納されたラック。さまざまなアプリが問題なく動作するか、こちらも24時間無人でテストを実施していた

  • おなじみYahoo! JAPANのアプリも見える

    おなじみYahoo! JAPANのアプリも見える

【動画】アプリテストの様子。実際の利用シーンに合わせた操作がプログラミングされており、自動で画面が切り替わっていた

  • 動作テストを実施するスマホがぎっしり詰め込まれたラックが、このフロアだけでも数十基設置されていた

    動作テストを実施するスマホがぎっしり詰め込まれたラックが、このフロアだけでも数十基設置されていた

驚かされたのが、いずれのテストもほとんどが自動化されていたこと。ロボットによる操作テストは、一定時間ごとにスマホを交換するのですが、交換作業もアーム搭載ロボットが担っていました。広い空間に人間は1人か2人しかおらず、不思議な雰囲気でした。

大規模な寮や食堂も完備、研究に時間を最大限割けるように

濱海湾キャンパスでは、高度な専門知識を持つ人材を集めるべく、研究棟に隣接するように5,000人分の寮や、4,000人が一度に食事できる6階建ての食堂などを併設。通勤や自炊にかける時間を省き、研究や開発に集中できるようにしていました。

  • このきれいな建物が社員寮。コンビニなども完備している

    このきれいな建物が社員寮。コンビニなども完備している

このようなOPPOですが、12月に入って新製品攻勢を強めています。11月末には、タフネス性能を高めたエントリースマホ「OPPO A5 5G」(予想実売価格は32,800円)を発表し、12月4日から販売を開始します。12月16日にはフラッグシップスマホの発表会を告知しており、「Find X9」「Find X9 Pro」のお披露目が有力視されています。品質や満足度向上の取り組みが製品にどのように反映されているのか、注目です。

  • フラッグシップスマートフォン「Find X9 Pro」シリーズ。カメラ・バッテリー・性能の全方位で強化を図ったモデルに仕上げられている

    フラッグシップスマートフォン「Find X9 Pro」シリーズ。カメラ・バッテリー・性能の全方位で強化を図ったモデルに仕上げられている