「休むことに勇気がいる」「忙しいときほど寝ている場合じゃない」と思っても、体は休養を求めています。そこで睡眠コンサルタントの友野なお氏の著書『新版 わたしを救う睡眠パーフェクトブック』(大和書房)から、一日を充実して終わらせ、翌朝からまた元気に一日をはじめられるようになった効果的な方法を紹介します。
残業する日は「分食」が基本
働く女性にとっては、「食事×睡眠」の悩みもあります。普段の夕食時間をお聞きしてみると、ほとんどの人が早くて夜9時、遅い場合は夜11時過ぎという人もいます。
「残業すると、どうしても寝る直前に夕食をとることになる」という事情はとてもよくわかりますが、それでは「夕食」ではなく「夜食」になってしまいます。
ところで、なぜ「寝る直前に夕食をとるのはNG」といわれているのでしょうか。じつは、そこには次のような「食事×睡眠」の深い関係があります。
スムーズな眠りに入るとき、私たちの深部体温はなだらかに下がっていき、副交感神経のスイッチが入って全身がリラックスモードになっています。
ところが、食事をすると胃腸などの消化器官が活発に働きはじめ、せっかく下がりはじめた深部体温が上昇してしまうため、質の高い睡眠が得られないという事態を招きます。
ダイエットを意識している人は、夜食をとることで「肥満遺伝子」のスイッチを刺激する可能性があるということにも気をつけたいところ。摂取した糖質を脂肪に変える働きがある「BMAL1」と呼ばれる肥満遺伝子は、夕方6時を境に夜10時~深夜2時にもっとも多くなるといわれています。
つまり、同じ量で同じカロリーのものを食べても、この時間帯は脂肪になりやすいのです。
とはいえ空腹すぎても、交感神経が優位になって眠りは遠ざかってしまいます。
そこで、夕食が夜遅くなる場合のお助けになるのが、夕食を2回に分ける「分食」という方法です。
まず、夕方6時くらいに1回目の夕食として、おにぎりなどお腹にたまるものをとってお腹と心を満たします。
そして帰宅後は、スープやサラダ、副菜といった胃腸に負担をかけないへルシーなものを食べるようにします。
このように夕食を2回に分けて食べることで、「眠る直前の食べ過ぎ」と「空腹」の両方を防ぎ、からだも気持ちも安定した状態でスムーズに深い眠りに入っていくことができます。
夜勤や残業は「光+食事」でコントロール
「夜勤と日勤のシフトがバラバラで、規則正しく眠ることができません」「明け方まで仕事することもたびたび。朝は遅く出勤してもOKですが、なんだかいつも睡眠不足です」――そんな悩みを聞く機会が増えています。世の中が便利になり、その便利な世の中を支えてくれる人たちがいるおかげで、毎日快適に暮らせることに感謝しなければなりませんね。
シフト制の交代勤務で働く人や、深夜まで働く人には、冒頭のような眠りに関する悩みがあるのも事実です。「朝、帰宅して寝ようとしてもなかなか寝付けない」「長く眠っていられない」「途中で何度も起きてしまう」という問題もあります。
そんなふうに睡眠が不規則な場合、睡眠の質を高めるコツは「体内時計を整えること」にあります。ポイントは「光」と「食事」の2つです。
「光」で体内時計を整える
夜勤明けはなるべく光を避けて帰宅しましょう。直射日光が当たる場所やお店に立ち寄るのも避けたほうがベター。帽子やサングラス、日傘といったアイテムを活用しましょう。
朝の光を浴びると活動モードのスイッチがオンになってしまい、ベッドに入ってもなかなか寝付けません。からだに「朝」を感じさせないためにも、帰宅するまで光を浴びない工夫をしてください。
帰宅後に就寝するときは、遮光カーテンやアイマスク、耳栓を活用し、意識的に「夜」になるような真っ暗の環境をつくると、ぐっすり眠りやすくなります。
「食事」で体内時計を整える
夜勤明けは食事する気力もないという人もいますが、からだのリズムを乱さないためには、「朝食」に代わる食事を就寝前にとるように心がけましょう。消化器官に負担がかからないものがいいので、菓子パンなどは避け、ゆで卵やヨーグルト、バナナ、スープなどがおすすめです。
(注:タンパク質がとれるとよいので、スープは「卵スープ」や「ささみスープ」がおすすめ。)
出勤前に自宅に用意しておくと、帰宅後すぐに食べられます。
仕事のメールは「夜10時まで」と決める
スマホやパソコンは、時間と場所を選ばずに仕事ができるとても便利なツール。その反面、睡眠に関しては、心からぐっすり眠るのを妨げてしまうというデメリットもあります。
気をつけたいのは、スマホやパソコンを活用する「時間帯」です。最近では、時間に関係なく仕事のメールが届き、就寝ギリギリまでメールの対応に追われている人も少なくありません。
じつは、眠る直前に仕事絡みのメールを読むと、エスプレッソを2杯飲んだときと同じレベルで脳が覚醒してしまうといわれています。これでは、せっかくおやすみ支度を完了しても台無しです。
働き方については、仮にあなたが改善したいと思っても、思いどおりにならないことがよくあります。だからこそ、できる範囲でコントロールをしながら、意識的に質の高い睡眠をとっていく工夫が必要です。「いい仕事をするには、いい睡眠をとっておくことも含まれている」ということを心にとめておきましょう。
私の場合、「夜10時以降は、仕事のメールは一切見ない」と決めており、スマホの「おやすみモード」を設定して、夜10時から朝まではメールの受信音が鳴らないようにしています。
理由は2つ。ひとつは、夜のメールは人間関係を壊しやすいからです。1日中働き続けた脳は夜になると著しく疲労していて、冷静な判断がしにくくなります。メールの内容によっては感情的・情緒的な文面に走りがちになり、翌朝見返して後悔するはめになるかもしれません。
もうひとつの理由は、デジタル機器の画面から発せられるプルーライトによって、スムーズに眠ることができなくなってしまうからです。
夜10時以降にメールを返すことは、あなただけではなく、受け取った相手にも睡眠のダメージを与えることにつながる、と覚えておいてください。
メールはコミュニケーションツールのなかでもずっと残ってしまうものですから、十分な配慮が必要。ぐっすり眠るためにも、人間関係に亀裂を生じさせないためにも、メールの返信は一晩寝かせて熟成させ、頭がクリアになった翌朝に行うようにしましょう。
(ライター:山口佐知子)
『新版 わたしを救う睡眠パーフェクトブック』(友野なお 著/大和書房 刊)
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