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【甘く見てはいけない】「月曜の朝がつらい」と医師に告げた患者、2年後に起きたこと

AUG. 25, 2025 07:00
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週末を楽しく過ごしても、日曜日の夕暮れ時になると、「また明日から仕事か」と思い、心が重くなる……。「サザエさん症候群」「ブルーマンデー」などと呼ばれる現象です。土日にたっぷり休んだのに、なぜ、「疲れが取れない」のでしょうか?「月曜の朝がつらい」のは、心の甘えではなく、心と体が疲れている「心身消耗」のサイン。原因は、じつは「1週間の生活リズム」にあるのです。

この記事では、疲れない「睡眠・食事・生活サイクル」の3つを軸にした「1週間のリズムの作り方」を解説した『「月曜の朝がつらい」がなくなる本』(森下克也/三笠書房)から一部を抜粋してご紹介します。今回のテーマは『「月曜の朝がつらい」のは、身体からの警告サイン』。

「月曜の朝がつらい」のは、身体からの警告サイン

ある日、こんな患者さんが私のクリニックを訪れました。

32歳の男性ビジネスマン、Aさんです。

外資系の証券会社に勤める彼は、昼夜の区別なく動き続ける証券市場で働いていました。 そのため生活は不規則で睡眠時間もバラバラ、土日の出勤もたびたびでした。

そんな生活をかれこれ8年間も続けています。

Aさんはブランドのスーツに身を固め、鋭い目つきで診察室に入って来ました。主訴は不眠でした。いいえ、決して寝つきが悪かったわけではありません。途中で目が覚めるわけでもありません。Aさんは、ただでさえ不規則な短い睡眠を少しでも効率よく取ろうと、ただ睡眠薬が欲しかったのです。

私はまずその態度にあきれてしまいました。けれども、よくよくお話をお聞きすると、頭痛、肩こり、下痢と便秘の繰り返しといった体調の変化が表れています。しかし、それを指摘しても、Aさんは聞く耳を持ちません。薬をくださいの一点張りです。

私は、今必要なのは、休息と、平日と休日のメリハリのある規則正しい生活であると告げました。しかし、Aさんは「世界の市場は動き続けているんですよ、休んでなんかいられません」と言うばかりです。

Aさんに睡眠薬を処方することは、かえって体調を悪くすることにもなりかねないと判断した私は、要求をお断りしました。怒り出すかと思いましたが、Aさんは「わかりました」と一礼して立ち上がりました。最後に「のんびりお休みされたほうがいいですよ」と声をかけると、急にしんみりとした表情になって、「最近、月曜の朝がつらいんです」とぽつりと言って去っていきました。

それからしばらくは音沙汰がありませんでしたが、ある日ふらりとAさんが現れました。私は、Aさんの変わりように目を見張りました。髪はぼさぼさ、頬は痩せこけ、着ている服はよれよれのTシャツで、まるで別人です。

Aさんは目を真っ赤にして肩をうなだれ、椅子に掛けるなり深いため息をつきました。「どうしたのですか」と問いかけると肩を震わせ、「仕事に行けなくなってしまったんです」と声を落としました。Aさんはうつ病にかかってしまったのです。

Aさんに何が起きたかは明白でした。仕事を優先しすぎるあまりに平日も休日もなく働き続け、睡眠を削り、食事をおろそかにし、楽しむ時間をまったく取らなかったことが心と身体をむしばみ、うつ病にまで進展してしまったのです。

しかし、Aさんのうつ病が突然発症したのかというとそうではありませんでした。

最初に私のクリニックを訪れたとき、すでにその警告サインが頭痛や便通異常として現れていました。

ここで、Aさんが最後に発した「月曜の朝がつらいんです」という言葉について考えてみましょう。Aさんはこのことをずいぶん早くから自覚していました。それこそ、来院する2年も前からです。それでも、あまり重要なこととも思わずに仕事を優先し続けたのです。仕事一辺倒の生活にどっぷりつかりながらも、それなりに仕事に集中でき、成果も出せていたのですから無理もありません。

では、月曜の朝がつらくなかったころのAさんと比べて、何が違っていたのでしょうか。

それは生活のリズムです。睡眠時間は少ない、食事の時間も内容もバラバラ、残業続きの毎日、家に仕事を持ち帰る、休日も出勤。先にお話しした自然のリズムに合わせるなど微塵もない生活だったのです。本来あるはずのリズムに従っていれば、身体に変調をきたすはずなどなかったというのにです。

そう、Aさんに見られた「月曜の朝がつらい」は、日内リズム、週内リズムの破綻したサインだったのです。

リズムの破綻は、そのまま放置しておけばAさんのようにうつ病にまで発展しかねません。ですから、「月曜の朝がつらい」と自覚したら早急に修正しておくべきなのです。

『「月曜の朝がつらい」がなくなる本』(森下克也/三笠書房)

週末を楽しく過ごしても、日曜日の夕暮れ時になると、「また明日から仕事か」と思い、心が重くなる……。「サザエさん症候群」「ブルーマンデー」などと呼ばれる現象です。土日にたっぷり休んだのに、なぜ、「疲れが取れない」のでしょうか?「月曜の朝がつらい」のは、心の甘えではなく、心と体が疲れている「心身消耗」のサイン。原因は、じつは「1週間の生活リズム」にあるのです。そこで本書では、疲れない「睡眠・食事・生活サイクル」の3つを軸にした「1週間のリズムの作り方」をわかりやすく紹介します。たとえば、水曜日は疲れのピーク。「いつもより30分早く寝る」のが正解。「たまった仕事は木曜に片付ける」「週の後半は軽めのランチにする」「日曜は『したいこと+あえて月曜の準備』」……などなど、心と体に疲れをためない具体策が満載。人生を思う存分、楽しめる本!

森下克也(心療内科医、医学博士)

1963年生まれ。久留米大学医学部卒業後、東京女子医科大学で8年間の脳外科医のキャリアを経て、米国へ留学。帰国後は浜松医科大学心療内科にて、全人的医療の提唱者である永田勝太郎先生に師事、漢方と心療内科の研鑽を積む。浜松医科大学病院、浜松赤十字病院、豊橋光生会病院などを経て、2006年精神科漢方の専門施設としてもりしたクリニックを開業、現在に至る。約2万人の精神疾患や不定愁訴の患者を漢方で治療。著書に、『決定版「軽症うつ」を治す』(角川SSC新書)、『うつ消し漢方』(方丈社)、『もしかして、適応障害?』(CEメディアハウス)他多数。

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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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