米Mozillaは、10月14日(現地時間)にWebブラウザFirefoxの新バージョンとなる「Firefox 144」をリリースした。Firefox 144は、いつも通りFirefox 143から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 143では、2025年9月19日にマイナーバージョンアップの143.0.1が、2025年9月30日にマイナーバージョンアップの143.0.3が、2025年10月3日にマイナーバージョンアップの143.0.4がリリースされている。143.0.1では、以下の修正が行われた。

  • DLLインジェクションによって一部の環境でタブがクラッシュする問題の修正

143.0.3では、以下の修正が行われた。

  • 信頼性を向上させるために、新しいドラッグして、ピン留めする際のインタラクションキューのタイミングを調整 一部の拡張機能がアドオンマネージャー経由で更新できない問題の修正
  • FirefoxのViewセクションが期待どおりに折りたたまれたり展開されたないリグレッションを修正
  • 特定の拡張機能がインストールされている場合に、Firefoxの起動時にクラッシュを引き起こす可能性があるWebExtensionsストレージの問題を修正
  • インストール後に、プロンプトからアドオンの「拡張機能設定」を開くと、再起動するまでカスタマイズタブと一部のキーボードショートカットが壊れる可能性がある問題の修正
  • UDP接続をブロックするネットワークに接続していると、特定のWebサイトを読み込む際に発生する遅延が短縮
  • さまざまな安定性とセキュリティの修正。脆弱性の修正は2件で、深刻度は2件とも上から2番目の「High」となっている

142.0.4では、以下の修正が行われた。

  • Firefoxの接続フォールバック動作が改善され、特定のサードパーティソフトウェアがインストールされているシステムで一部のGoogleサイトの読み込みが散発的に遅くなったり失敗したりする問題が軽減

今回は、143.0.4からのアップデートとなる。

Firefox 144のインストール

すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。

  • 図1 Firefox 144へのアップデート

    図1 Firefox 144へのアップデート

アップデート後のFirefox 144は、図2のようになる。

  • 図2 バージョン144にアップデート直後のFirefox

    図2 バージョン144にアップデート直後のFirefox

新規に、Firefox 144をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。

  • 図3 Firefoxのダウンロードページ

    図3 Firefoxのダウンロードページ

[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。

  • 図4 Firefox 144のインストール

    図4 Firefox 144のインストール

画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。

Firefox 144の新機能

では、Firefox 144の新機能を見ていこう。

  • タブグループの表示方法が変更された。アクティブなタブは常に表示されるようになり、タブグループを折りたたんだ状態でも表示させることができる。
  • タブを折りたたんだグループにドラッグ&ドロップしても、自動的に展開されることがなくなる。視覚的な煩わしさを最小限に抑えながら、タブを整理可能に。この機能は、コミュニティからのご要望に応えたものだ。

<動画> タブグループへドラッグ&ドロップ(リリースノートより引用)

  • 世界中のすべてのユーザーに展開されているプロフィール管理機能は、仕事、学校、休暇の計画など、オンライン生活を個別のプロフィールに分割することで、プライバシーを保護し、集中力を維持するのに役立つ。プロフィールに名前を付けたり、アバターやカラーテーマで簡単にカスタマイズしたり、切り替えることが可能。ブックマーク、タブ、閲覧履歴は完全に分離したまま、プロフィールを素早く切り替えることができる(プログレッシブロールアウト)。
  • ビデオを一時停止せずにピクチャーインピクチャーウィンドウを閉じることができるように。[Shift]キーを押しながら閉じるボタンをクリックするか、[Shift]キーを押しながら[Esc]キーを押すと、再生を中断せずにウィンドウを終了する
  • Firefoxパスワードマネージャーに保存されるログイン情報は、従来の3DES-CBCに代わり、最新の暗号化方式(AES-256-CBC)を使用してディスク上で暗号化されるようになった。この変更により、ローカルデータの保護が強化される。Firefox Syncを介して同期されるログイン情報は、エンドツーエンドで暗号化されたままで、すでにAES-256-GCMが使用されている。
  • Googleレンズを活用したビジュアル検索(プログレッシブロールアウト) 画像を右クリックするだけで、次のことが可能になった。
    • 類似の商品、場所、またはオブジェクトを検索
    • 画像内のテキストをコピー、翻訳、または検索
    • 学習、旅行、ショッピングのヒントを得る

右クリックメニューに新しく追加された[「Googleレンズで画像を検索]オプション(最初は[NEW]バッジでハイライト表示される)で確認する。

この新機能はデスクトップ版のみの機能で、全世界で展開中。また、利用するには、デフォルトの検索エンジンをGoogleに設定する必要がある。

  • 図5 Googleレンズを使った検索

    図5 Googleレンズを使った検索

  • AI検索:Perplexity(プログレッシブロールアウト)
    • デスクトップ版Firefoxに、AIを活用した回答エンジンPerplexityがブラウザに搭載されました。Perplexityは、複雑な質問に対して、直接的で会話的な回答を提供し、複数の情報源をたどることなく、素早く要約や正確な参考資料、あるいは創造的なインスピレーションを得るのに役立つ。アドレスバーの統合検索ボタンから、利用可能。
  • 以下の言語が翻訳可能に
    • アゼルバイジャン語
    • ベンガル語
    • アイスランド語

セキュリティアップデート

同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベースで14件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が7件、4段階で上から3番目の「Moderate」が6件、4段階で上から4番目の「Low」が1件となっている。「High」では、

  • MediaTrackGraphImpl::GetInstance() でのメモリ解放後使用
  • WebGLテクスチャによってトリガーされた特権プロセスでの範囲外の読み取り/書き込み- 悪意のあるIPCメッセージによりプロセス間情報が漏洩
  • 一部の書き込み不可のオブジェクトプロパティが変更される危険性
  • Firefox ESR 115.29、Firefox ESR 140.4、Thunderbird ESR 140.4、Firefox 144、Thunderbird 144で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox ESR 140.4、Thunderbird 140.4、Firefox 144、Thunderbird 144で修正されたメモリ安全性の問題
  • Firefox 144、Thunderbird 144で修正されたメモリ安全性の問題

が対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。