マウスコンピューターのゲーミングブランド「G TUNE」から強烈なインパクトを持つゲーミングノートPC「G TUNE H6-I9G80BK-C」が登場した。外付けの水冷BOXによってCore Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5080 Laptop GPUというハイエンド構成をガッチリ冷やして性能を可能な限り引き出すというもの。そのパワーと冷却力をさっそくレビューしていこう。
空冷、水冷のハイブリッド冷却を採用
マウスコンピューターの「G TUNE H6-I9G80BK-C」は16型のゲーミングノートPCだ。その最大の特徴は外付けの水冷ユニットを付属し、水冷と空冷どちらの運用にも対応したハイブリッド冷却システムを採用していること。本体のサイズは357×254×25.9mmで重量は約2.58kg。ACアダプタは420WとノートPCとして最大級の出力と言える。ハイエンド環境では供給できる電力量が性能に与える影響が大きいだけに、非常に頼もしい部分だ。
カスタマイズも可能で、メモリやストレージの容量変更しての注文が可能だ。SSDは8TB×2台というかなりの大容量まで選択できる。ゲームだけではなく、動画編集で大容量ストレージがほしいというニーズにも対応可能だ。マウスやヘッドセットなど周辺機器も同時に注文を行える。
Core Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5080 Laptop GPUの超強力構成
ここでは搭載CPUとGPUに触れておこう。G TUNE H6-I9G80BK-Cのスペックは以下の通りだ。
試用機の構成 | |
モデル | G TUNE H6-I9G80BK-C |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
CPU | Core Ultra 9 275HX(Pコア8+Eコア16) |
メモリ | 32GB DDR5-6400(16GB×2) |
グラフィックス | NVIDIA GeForce RTX 5080 Laptop GPU(GDDR7 16GB) |
SSD | M.2 PCIe Gen5 SSD 1TB |
ACアダプタ | 420W |
無線 | Wi-Fi 7、Bluetooth 5 |
ネットワーク | 2.5G LAN |
サイズ | 357×254×25.9mm |
重量 | 約2.58kg |
CPUにはIntelのノートPC向けでは最新世代の「Core Ultra 9 275HX」を搭載。HXシリーズはパフォーマンス重視型で、性能重視のPコアを8基、効率重視のEコアを16基で合計24コア24スレッドという超メニーコア仕様だ。最大5.4GHzと動作クロックも高く、ゲームにもクリエイティブワークにも強い。デスクトップ向けのCore Ultra 9 285Kと同じダイが使われており、ノートPCとしては最上位クラスの性能を持つのが特徴だ。それだけにPBPは55W、MTPは160Wと消費電力も大きい。
ゲーミングノートの心臓部と言えるGPUは、NVIDIAの最新世代でノート向け上位の「GeForce RTX 5080 Laptop GPU」を搭載。AI性能は1,334TOPS、CUDAコアは7,680基、ビデオメモリはGDDR7 16GBという強力なスペックだ。描画負荷の高いゲームも余裕でプレイできるパワーに加えて、画像生成やLLM(大規模言語モデル)といったビデオメモリ容量を求めるAI処理にも対応できる。
ストレージは高速なPCI Express 5.0 x4接続のNVMe SSDが採用されており、容量は1TBだ。CrystalDiskMarkによるテストでは、シーケンシャルリードが1,0216.10MB/sとさすが5.0 x4接続という強烈な速度が出ている。
水冷BOXの装着手順を紹介
性能テストの前に水冷BOXの装着方法を紹介しておこう。まず、水冷チューブでノートPC本体と水冷BOXを接続。水冷BOX上部のカバーを外して付属する工業用の精製水を側面にあるラインまで入れる。カバーを閉じて水冷BOXにACアダプタを接続して、水冷BOXとノートPC本体は専用のDC to DCケーブルを取り付ける。水冷BOXを経由してノートPCに電力を供給する形だ。続いて、水冷BOXを循環モードにして本体と水を循環させる準備を行う。最後に本体の電源を入れて「Mouse Control Center」のアプリの「水冷BOXセッティング」を開き、「Connected」と表示されていれば完了だ。Bluetoothで水冷BOXとリンクする方法を取っている。
水冷と空冷の両方でベンチマークを実行
ここからは気になるベンチマークテストに移ろう。空冷と水冷の両方で実行している。スコアの違いに注目してほしい。「Mouse Control Center」アプリで動作モードはパフォーマンスに設定、水冷BOXのファン回転数はデフォルトの60%、GPUの動作はRTX 5080だけで動かす「ディスクリートGPU」モードにした。
まずは、CGレンダリングでCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」、定番3Dベンチマークの「3DMark」を実行する。
Cinebench 2024のMulti Core、Single CoreのスコアともCore Ultra 9 275HXとして非常に高いスコアを記録した。Multi Coreが2,000を超えるのはデスクトップのCPUを含めてもトップクラス。ゲームだけではなくクリエイティブワークもこなせる。水冷にすると約6%のスコア向上を確認。冷却力をそれほど必要としないSingle Coreのテストは変わらなかった。
PCMark 10はノートPCとして高いスコアだ。こちらも水冷のほうが総合スコアが伸びている。3DMarkはRTX 5080として順当なスコアを出しており、ここでも水冷のほうが高くなった。冷却力がスコアに影響しているのが分かる結果だ。
実ゲームはどうだろうか。ネイティブ解像度である2,560×1,600ドットと1,920×1,200ドットの2パターンで測定した。タイトルは定番FPSの「オーバーウォッチ2」、人気ハンティングアクションの「モンスターハンターワイルズ」、オープンワールドRPGの「サイバーパンク2077」だ。
オーバーウォッチ2はbotマッチを実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定、モンスターハンターワイルズは公式ベンチマークを実行、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行している。
さすがRTX 5080という性能で、2,560×1,600ドットかつ最高画質でも快適にプレイできるフレームレートを出している。とくにサイバーパンク2077は、マルチフレーム生成に対応していることもあり、強烈な描画負荷のレイトレーシング:オーバードライブ設定でも平均で150fpsを超えた。さらに、水冷だと2%~10%のフレームレート向上が見られており、冷却力の高さが安定した高性能に繋がるのが見て取れる。
水冷BOXによる強烈な冷却力と優れた静音性
冷却力と動作音もチェックしておこう。サイバーパンク2077を10分間動作させたときの動作音を正面、右側面、背面のそれぞれ10cmの位置に騒音計を置いて測定、サーモグラフィーでキーボード全体の温度を水冷と空冷の両方で測定してみた。
空冷時は動作音はかなり大きく気になるレベルだ。キーボードの温度も50度を超える箇所が発生する。その一方で水冷は静かではないが正面からだとファンの音があまり気にならないレベルまで一気に下がる。水冷BOXにもファンが搭載されているが正面で44.1dBとこちらもあまり気にならない動作音だ。キーボードの温度も触ってちょっと温かいかな、という程度になる。静音性、冷却力とも水冷のほうが圧倒的に上だ。
最後にゲームプレイ中の温度をチェックしておこう。サイバーパンク2077を10分間プレイしたときのCPUとGPUの温度推移を「HWiNFO Pro」で測定している。CPUが「CPU Package」、GPUが「GPU Temperature」の値だ。
水冷時はCPUが平均70.1度、GPUが平均60.3度、空冷時はCPUが平均85.7度、GPUが平均81.9度かなりの差がついた。水冷のほうが長時間でも安定して性能を発揮しやすいのが分かる結果だ。
高い性能を安定して長時間使い続けたい人へ
水冷BOXによってCore Ultra 9 275HXとGeForce RTX 5080 Laptop GPUという上位クラスのCPU/GPUの性能を安定して引き出せるのが大きな強み。ゲームはもちろん、AI処理やクリエイティブワークもこなせる汎用性の高さを持つ。さらに水冷BOXは簡単に取り外せるので、普通のハイエンドノートPCとして持ち運べる柔軟性も。ノートPCだからと言って、性能や冷却性、静音性に妥協したくない人にピッタリの1台と言えるだろう。