VAIOから6月3日に発表、販売開始となったスタンダードモデル「VAIO F14/F16」。今回は発表に先駆けて、VAIOより大画面モデルの「VAIO F16」の実機をお借りできたので、レビューをお送りします。

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VAIO F16の仕様、外観をチェック

VAIO F16は製品名の通り、16型ディスプレイを搭載するテンキー付のスタンダードなノートPCです。先代モデルの発売は2023年6月で、2年ぶりのフルモデルチェンジを果たしました。

今回お借りしたVAIO F16はCPUにIntel Core 3 100U(6コア・8スレッド/動作クロック 1.2GHz~4.7GHz)を搭載しています。

このCPUは最新の「Core Ultra」ではなく「Intel Core プロセッサ シリーズ1」とも呼ばれ、製造アーキテクチャは「Raptor Late Refresh」です。これは先代の「Core i3-1300Uシリーズ」に近いCPUで、AI PCとも呼ばれる「Copilot+ PC」の要件を満たしていない点は注意が必要です。

搭載されているメモリは8GB、SSDは256GBの最小構成モデルで、VAIO直販サイトなどCTOでの注文であれば、メモリ容量は最大32GB、SSD容量は最大1TBのカスタマイズも可能です。

  • スタンダードな16インチノートPCのVAIO F16

  • 搭載されるCPUは「Intel Core プロセッサ シリーズ1」

ボディカラーは人気の高い「サテンゴールド」。パームレスト部はアルミのヘアライン加工も美しく、天板もいつものVAIOらしい、VAIOロゴのオーナメントがキラリと輝き高級感があります。カラーバリエーションは今回お借りした以外に「ネイビーブルー」と新色の「サテンシルバー」の3色から選ぶことが可能です。

ディスプレイは16型の液晶で、解像度は1920×1200ピクセル。最近のトレンドにあわせた縦に少し広いスタイルで、アスペクト比は16:10になっています。「スタンダードモデル」が本機のテーマなだけに、ディスプレイの解像度やアスペクト比がトレンドの仕様にしっかりアップデートされていることは好感が持てます。

  • 従来モデルより縦に広くなったディスプレイ

  • 天板などは金属感の高い質感の高い仕上がります

外部接続端子は本体左側面にUSB Type-Aとオーディオ端子、フルサイズのSDカードスロットがあり、セキュリティワイヤーの取り付け口もあります。右側面にはUSB Type-C×2、有線LANポート、HDMI出力ポート、USB Type-A、そしてAIノイズキャンセリングに利用するマイクがあります。

従来モデルから外部接続端子の配置と内容が改められ、USB Type-Aは3つから2つに減った代わりにUSB Type-Cが2つに増えています。USB Type-Cは給電にも対応しているため、ACアダプタはこちらに挿して利用します。

  • 大きな吸気口も目立つ本体左側面

  • 外部接続端子の多くは右側面にあります

キーボードはアイソレーションタイプで、テンキー以外はキーピッチが約19mmのフルサイズ。キーストロークも約1.5mmと十分に深め。さらにキートップは中央に向かってくぼんだ形状になっているため押しやすいと感じました。

キーの印字の見直しで文字が読みやすくなったこと、上位機種に採用されている静音キーボードを採用するといったアップデートもあり、打鍵感はとても優秀です。

  • テンキーも備わったキーボード

  • キーストロークは深め、キートップのくぼみに注目です

ディスプレイ上部に設けられたWebカメラはWindows Helloの顔認証にも対応しています。カメラの左右に2つのホールがある通りデュアルマイク構成で、さらに本体側面のマイクとあわせトリプルマイクとなり、VAIO独自のオンライン会議向けの様々な機能が利用できるようになっています。

  • Windows Helloの顔認証にも対応するWebカメラ

また、細かなことですが、排気はディスプレイヒンジ部分から行われます。本体左側面から吸気し後へ向けて排気する仕組みになっていることで、キーボードやマウスを操作する際に、手に排気の熱があたって不快に感じないよう、性能以外の部分での快適さにも重点をおいた作りになっているのは好印象です。

普段使いには十分な性能、バッテリー持ちも優秀

VAIO F16はスタンダードモデルの位置付けですが、実際に使うにあたり「定番の作業」がしっかりとこなせるかは気になります。

16インチのスタンダードモデルですから、主な用途はオフィスユースで、ブラウジングや文書、表計算といったドキュメントの作成、ちょっとした画像や動画の編集が快適に行えるかを、ベンチマークソフトの「PCMark10」を使い確認しました。

ベンチマーク結果は「4330」。これがどの程度かといえば、5年ほど前のノートPCの約2倍、最近のビジネス向けのデスクトップPCと同等か少し劣るくらいの性能です。つまり今現在使っているPCに性能不足を感じ、買い替え先として導入した場合、普段使いの範囲では確実に快適になるといえるでしょう。

  • PCMark10のスコアは「4330」と現在の標準的なスコア

またブラウザのレンダリング性能を通じ、PCの性能をチェックする「Speedometer 3.0」も実行しましたが、こちらの結果は「20.7」。ラウジングを楽しむだけでなく、仕事でブラウザアプリを利用するといった場面でも性能不足を感じることは少ないでしょう。

  • ブラウジングやWebアプリ操作も快適に行える性能があります

さらに優秀なのはバッテリー稼動時間です。15~16インチのスタンダードなノートPCは「据え置きなのでバッテリー稼動時間は短い」といった印象がありますが、VAIO F16では公称値で動画再生時に約6時間、アイドル時で約11.5時間を謳っています。

バッテリー稼働時間もPCMark10のベンチマーク機能を使って確認しましたが、ブラウジングやドキュメント作成であれば9時間40分を記録しました。

  • バッテリー稼動時間は約10時間と、大画面ノートPCとしては長め

イマドキのスタンダードな使い方をサポートする、VAIOの設定に注目

コロナ禍を経て、PCの使い方は大きく変わりました。例えば働き方の変化として「リモートワーク」が許容されるようになり、オフィス以外で打合せを行う「ビデオ会議」も当たり前に利用されるようになりました。

VAIO F16はスタンダードモデル。スタンダードというのは「ラインナップの中でのスタンダード」であり「現在のスタンダードの使い方に適したモデル」でもあります。

すでに発売済のモデルでも取り組まれていることですが、VAIO F16にもVAIO独自の「伝わるオンライン会議」をテーマに、「VAIOオンライン会話設定」が搭載されています。

VAIOオンライン会話設定では、VAIO F16に搭載された3基のマイクを使って「周囲の音を消し、話者の声だけを相手に届ける機能」や、会議室内の離れた人の声も拾える「会議用マイク」の機能を、専用の設定から簡単に切り替えることが可能です。

また、Webカメラも話している人以外が写り込まないように画角を狭める機能なども有しているため、自席でも会議室でも外出先でも、どんな場所でも現在標準となった働き方、打合せの仕方に最適化した使い方ができます。

  • 専用ショートカットキーから呼び出せるVAIOオンライン会話設定

  • 機能の呼出は設定から詳細にカスタマイズも可能です

  • マイクだけでなく、Webカメラのカスタマイズ設定にも富んでいます

オンライン会議以外にもVAIOの独自設定には様々な機能が盛り込まれています。

特に注目したいのはバッテリーに関わる機能で「バッテリー節約設定」「いたわり充電」の機能があります。

「バッテリー節約機能」は文字通り、消費電力を調整し、バッテリー稼動時間を延ばす機能です。VAIO F16のバッテリー稼動時間は十分に長いのですが、より長い時間バッテリーで動作させなければならないシーンではこの設定をオンにするといいでしょう。

「いたわり充電」は従来モデルから存在する機能ですが、充電の上限値が従来の50%・90%から、80%・90%に変更されました。いたわり充電を組み合わせることで、PCの買い替えサイクルは以前よりも鈍化していると言われており、現在の平均的な使用期間とされる5年は新品の80%程度の性能を維持できるようになっています。

  • バッテリー劣化を防ぎ、長く使えるようにする設定もあります

新型VAIO F16は今ほしい「スタンダード」だ

PCの「定番」を目指して登場したVAIO F16ですが、先代モデルから2年が経過し、PCに求められる定番は少しずつ変化しています。そこで今回、スタンダードモデルとして現在PCに求められる「定番」を、ユーザーの声を聞いてアップデートが施され、着実に2025年時点のPCのユースケースにおける定番を満たせる1台にまとまってると感じました。