Cygames(サイゲームス)は、「Cygames背景美術展 2024-2025」を2025年5月2日から5月13日まで「武蔵野美術大学 鷹の台キャンパス 12号館B1F 展示室」にて開催する。

その名の通り、サイゲームスが手掛けるゲームの背景アートに特化した展覧会。2024年5月開催の京都芸術大学からはじまり、東北芸術工科大学、金沢美術工芸大学、九州産業大学、名古屋芸術大学を経て、今回の武蔵野美術大学でフィナーレを飾る。

展示される背景アートは合計200点以上。なぜ会場が芸術系の大学ばかりなのかというと、クリエイターを目指す学生を主なターゲットとしているためだ。

Cygamesの担当者は「普段絵を描いている学生さん、デザインに興味のある学生さんに来てほしい。キャラクターを立たせ、世界観を創り出す背景絵を見ることで、新しい発見をしてもらえれば」と語る。

とはいえ、一般の人も来場できるので、タイトルのファンが純粋にアートを眺めて楽しんでもいいし、ゲーム開発関係者が仕事のヒントを探しに行くのもいいだろう。実際、クリエイターでないゲームライト層の筆者が行っても楽しめた。

  • 背景美術展

    武蔵野美術大学の鷹の台キャンパスのなかにポツンと置かれた案内

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    会場となっている12号館には「第2食堂」があり、「展示室」はその目の前にある

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    入場は無料。来場者にはオリジナルコースターがプレゼントされる

会場に足を踏み入れると、まず目の前に現れるのが背景美術展のキービジュアルと、それをもとに作成されたジオラマだ。

ジオラマは、イラストでは見えない角度から眺められるだけでなく、霧で見えにくくなっている建物まで表現。細部まで作り込まれていて、完成度の高さに驚かされる。

しかも、影の部分は着色によって再現しているという。正直、言われるまでまったく気が付かなかったうえに、近くで見ても着色によるものだとわからないほどリアルだった。

  • 背景美術展

    キービジュアルとジオラマ

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    イラストでは見えない部分まで立体化した

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    着色によってキービジュアルの影まで再現。教えてもらうまでわからなかった

展示されている背景は、Cygamesが手掛ける6タイトルで使われているもの。『グランブルーファンタジー』『Shadowverse』『プリンセスコネクト!Re:Dive』『ウマ娘 プリティーダービー』『GRANBLUE FANTASY: Relink』、そして、東京会場から、リリース前のタイトル『Shadowverse: Worlds Beyond』が加わった。

それぞれのタイトルの背景イラストがずらりと並んだ光景は圧巻。普段キャラクターやUIで隠れがちになってしまう背景だが、じっくりと眺めることでその美しさを堪能できるだけでなく、ゲームの世界観を演出する重要な役割を担っていると改めて実感する。

特におもしろかったのが、「背景の発注から完成まで」を紹介するボードの展示や、クリエイターの「コメント」の記載だ。将来クリエイターを目指している学生に対して仕事のイメージをしやすくしている点は非常に親切に感じたし、クリエイターがどんなことを考えながらイラストを描いているのかという思考を垣間見られるのは新鮮だった。

  • 背景美術展
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  • 10周年を迎えた『グランブルーファンタジー』

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  • 背景イラストは総数1,000枚を超えた

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  • さまざまなコンセプトの背景があるものの、それぞれが独立して見えることなく、1つの世界観の上に調和することを心がけているという

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  • クリエイターのコメントや、発注の流れの説明も展示

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  • “重厚背のある世界観”を大事にしている『Shadowverse』

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  • 小物一つひとつにも意味を持たせているという

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  • アートディレクターとのやりとりの様子がわかる

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  • 唯一無二の“最高にかわいい世界”を目指している『プリンセスコネクト!Re:Dive』

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  • 背景も色相豊かな優しい光と遊び心あるデザインを意識したものが多い

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  • 設備の見取り図など、細かく設定が作り込まれていることもわかる

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  • 立体的にキャラクターが動き回る『ウマ娘 プリティーダービー』。コンセプトアートなどをもとに3Dモデルを構築していく

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  • レース場では、実在する競馬場をモチーフにしつつも、ウマ娘が走る姿にリアリティーを感じてもらえるように調整を施している

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  • 妥協なく作り込むことと同時に、メモリ容量などにも注意しているそう

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  • 『グランブルーファンタジー』の世界を3Dで再現した『GRANBLUE FANTASY: Relink』

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  • シーンごとにふさわしくなるように、建物や植物、ライティング、情報量をコントロールして描き分けることに苦心したそう

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  • リリースが迫る『Shadowverse: Worlds Beyond』の背景も東京会場では展示される

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  • 『Shadowverse』での“重厚さのある世界観”を継承しながら、数多く登場する異なる文化の世界ごとに差別化を実施した

また、体験型の展示として「背景+キャラクター+UI」「背景+キャラクター」「背景」を切り替えられるタッチディスプレイも用意。ゲーム画面のレイヤーがどのように構成されているのか、視覚的に理解できるだろう。ゲームの背景美術が1枚の絵として完結するのではなく、キャラクターやUIなどが加わって初めて完成することがよく分かる。

さらに、同じ背景イラストでも時間の経過によってどのような変化が見えるか、わかりやすく比較できるタッチディスプレイも用意されていた。

そのほか、クリエイターの仕事環境の一部であるデスク、椅子、PCなどを展示する「クリエイターズデスク」をはじめ、背景アートのクリエイター10人が大切にしている「愛読書」紹介ゾーン、大学生から寄せられた質問に答える「クリエイターへの30の質問」など、みどころ満載だ。

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  • ゲームの背景は、すべての要素が一体となったときに初めて世界観を創り出す

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  • ただ、個人的には、背景なしの「キャラクター+UI」だけの画面もあればよかったと思う。世界観がわかりづらい「背景なしのゲーム画面」と比較できれば、「背景がいかに重要か」が際立ったのではないだろうか

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  • 同じ背景イラストでも、時間帯が変わることによって表情が変わる

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  • 「クリエイターズデスク」では、背景イラストレーターがどんな環境で仕事しているのかイメージできる

東京会場では、武蔵野美術大学の生徒によるデジタルペインティングコンセプトアートも同時に展示されている。大学のキャリアセンターが主催したコンクールで、今回の「Cygames背景美術展 2024-2025」に合わせて行われたものだ。

飾られているのは、油絵学科、建築学科、視覚伝達デザイン学科、映像学科など、研究分野の異なるさまざまな学生たちの手掛けた「架空の世界」。色使いや構図がバラエティ豊かなだけでなく、練り上げられた世界観、設定が伝わってくるようで、描かれた世界の物語を思わずにはいられない。

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  • 武蔵美学生の力強い作品たちも鑑賞できる

武蔵野美術大学で開催されている「Cygames背景美術展 2024-2025」の期間は2025年5月13日まで。今回、写真で紹介した背景アートは展示されているうちのごく一部なので、ほかの展示をじっくり見たいと思った人は、ぜひ会場に足を伸ばしてみてほしい。

© Cygames, Inc.