インドやアフリカなど新興国を中心にスマートフォンを展開しているTECNOは、横折り型モデルの2機種目として「PHANTOM V Fold2 5G」を海外で販売中です。初代モデルとなる「PHANTOM V Fold 5G」は価格の安さで世界をあっと言わせましたが、今度のモデルはデザインにも力を入れており、価格以外の付加価値で話題のモデルになっています。
PHANTOM V Fold2 5Gは開けば7.85インチ、閉じれば6.42インチのディスプレイが使える折りたたみスマートフォンです。本体質量は249gで、前モデルの299gから大幅な軽量化が図られました。最近の折りたたみスマートフォンは250gを切るモデルが当たり前となっており、PHANTOM V Fold2 5Gもギリギリその範囲に入る軽量化を果たしました。「価格は安いけど重い」初代から、ようやく日常的に使えるモデルになったのです。
そして背面はパープルカラーに革風のセンスある仕上げ。カメラ部分には「LOEWE.」のロゴがありますが、これはドイツの高級家電メーカー。同社のテレビやオーディオ製品はデザインも美しく、そのテイストをTECNOは自社のフラッグシップモデルに落とし込みました。ちなみにLOEWE.との協業は過去モデルでも行っており、新興国向けスマートフォンメーカーであってもデザイン面では先進国にも出せる製品を開発しているというわけです。
なおカメラは5,000万画素が3つ(広角・超広角・2倍望遠)。カメラ性能もフラッグシップクラスとなり、TECNOの「顔」となるモデルでもあるのです。
折りたたみディスプレイの大きさは前モデルと同じですが、途中の位置で固定することが可能になりました。前モデルは「開くか」「閉じるか」しかできず、使い勝手にやや難点があったのです。折りたたみスマートフォンはたしかにスマートフォンとタブレットの1台2役をこなしますが、L字型に画面を固定することで、より使い勝手が広がります。
L字型にヒンジを途中位置で固定すれば、机の上に置いて動画を見たり、あるいは写真を撮ったり、フロントカメラを使ったビデオ会議をするなど、これらは折りたたみスマートフォンならではの使い方の1つと言えます。特にカメラ関連では三脚不要で撮影ができる点はとても便利です。
2つのアプリの同時表示も折りたたみスマートフォンの使い勝手の良さの1つです。2つのアプリの幅は自由に変えられるので、動画や地図などより大きく見たいときは、アプリの境界線上をタップして左右にドラッグするだけでアプリの幅を変えることができます。
また、メインカメラを使って写真を撮るときは、背面のカメラの横に表側のディスプレイが並びます。そのディスプレイの表示をONにすれば、高画質なメインカメラを見ながらの自撮りや、あるいは、被写体となる人が自分の姿を見ながら構図を決めてもらうこともできます。これも折りたたみスマートフォンならではの特徴的な機能です。
PHANTOM V Fold2 5Gはまた、「TECNO AI」と呼ぶAI機能を充実させています。GoogleのGeminiをベースにした「Ella AIアシスタント」、PDFなどの要約を行う「AIサマリー」、対面や電話での同時通訳を行う「AI翻訳」、テキスト構成や書き直しを行う「AIライティング機能」などかなり機能は増えています。またスタイラスを使った手書きもできるため、ラフスケッチから清書ができる「AI アートボード」も利用可能。テキストから適切な壁紙を作る「AI 壁紙」など、AI機能は多岐にわたります。
折りたたみスマートフォンも海外ではほぼ全てのメーカーが出している、普通の製品になりました。とはいえ価格の高さもあって普及率はまだ数パーセント程度というのが実情です。TECNOは初代モデルで価格競争をしかけましたが、それでも新興国の消費者にはまだまだ高価でした。2世代目となるこのPHANTOM V FOLD2 5Gはデザイン性と先進性をアピールする製品であり、TECNOのブランドイメージを大きく引き上げる製品になるのです。今から数年後、新興国の若者があこがれるスマートフォンがiPhoneではなくTECNOの折りたたみになるかもしれません。