Macでもっともポピュラーな薄型軽量モデル「MacBook Air」が、最新のM4チップを搭載して一新。AIまわりや機械学習処理の性能が向上したM4の採用でApple Intelligenceの活用がよりスマートになった点が注目ですが、薄型軽量ボディや使いやすいキーボードとトラックパッド、高音質スピーカーなど、従来から評価されてきたMacBook Airの“作りのよさ”も健在なのが見逃せません。価格も10万円台半ばからに抑えられ、学生から社会人、ファミリー層まで、幅広いユーザーに支持される定番モデルとしての地位をさらに確固たるものにしたと感じました。

  • 好評のスリムボディを継承しつつ、M4チップを搭載してリニューアルした新しいMacBook Air。価格は13インチモデルが164,800円から、15インチモデルが198,000円からで、いずれも3月12日に販売が始まる

Apple Intelligence対応を見据えたM4チップの採用が目玉

M4チップ搭載でモデルチェンジしたMacBook Airは、これまでと同じく13.6型液晶を採用した13インチモデルと、15.3型液晶を採用した15インチモデルの2ラインナップ構成で展開します。

  • デザインはM3モデルやM2モデルと変わらない。ディスプレイの表示は明るく鮮やかで、視野角も広くて美しい

  • スリムな本体も健在。液晶パネルを大きく開いても安定して使える

外観はともに従来モデルとほぼ同じですが、新色として「スカイブルー」が追加されたのがトピックです。今回はこのスカイブルーモデルを試用しましたが、周囲の照明の状態に応じて透き通るような青みが強まったり、シルバーのように見えたりと、飽きさせない仕上がりになっています。

  • 写真は新色のスカイブルーのカラー。一見するとシルバーのように見えるが、周囲の光の状況によってはもっと澄んだブルーに見える

もっとも大きな変更点は、やはりM4チップの搭載です。M3と比べて処理性能が向上しただけでなく、AIや機械学習処理の性能が大幅にアップ。これにより、Apple Intelligenceの体験がさらに向上することが期待できます。Apple Intelligenceは基本的にオンデバイスで処理されるため、チップの性能向上はそのままユーザー体験の向上につながるからです。

Apple Intelligenceはメールの要約や作成、オーディオ録音の要約、写真の検索や不要なものの削除、オリジナルの画像やジェン文字の作成など、多彩な機能を提供してくれます。M4チップを搭載したMacBook Airならば、それらの処理にもたつくことなく自然に作業をこなしてくれるので、優秀なアシスタントとして日々活躍してくれるでしょう。

機能面では、M3モデルで存在した外部ディスプレイ接続時の制約が取り払われ、MacBook Airのパネルを閉じずに2台の外部ディスプレイに接続できるようになったのが評価できます。MacBook Air本体のディスプレイを表示した状態でさらに2台のディスプレイに表示できるので、作業効率が高まります。パネルを開いたままにすることで放熱の効率も高まり、安定した駆動にもつながります。

  • 2台の外部ディスプレイを接続しつつ、MacBook Air本体のディスプレイも映せるようになった。使い慣れたキーボードやマウスを接続すれば、並みのデスクトップPCを超える環境で作業できる

ファンレスやキーボードなど、定評のある快適装備を継承

最新のM4チップを搭載しながら、MacBook Airならではの快適性がしっかり維持されている点は見逃せません。M4モデルでもM3モデルと同様のファンレス設計を継承しており、どんな状況でも甲高いファンの騒音に悩まされることはありません。ただし、動画編集などの重たい処理を連続して実行したり、真夏の屋外など暑い状況で使った場合は放熱が追いつかず、パフォーマンスが低下する可能性があることは覚えておきましょう。

  • アルミ製のボディやキーボードの開口部から熱を放出する構造なので、底面には見苦しい吸排気口はない。MacBook Airのロゴすらなく、とてもシンプルだ

ファンレス設計以外にも、M3モデルで定評のある設計や装備がそのまま引き継がれた点が評価できます。質感の高い薄型軽量ボディ、使いやすいキーボードやトラックパッド、発色に優れ精細な表示の液晶パネル、厚みのあるサウンドを響かせるスピーカー、18時間もの長時間バッテリー駆動など、これらを備えたノートPCはWindowsを含めてもそう多くありません。これがまさにMacBook Airの魅力です。

特に、キーボードとトラックパッドの仕上がりは相変わらずお見事だと感じます。キーボードは日本語配列でも不自然さが一切ないうえ、しっかりとした底が感じられる絶妙なタイプ感でパキパキ入力できます。トラックパッドは、iPhoneと同様に指に吸い付くような操作性でストレスなく操れます。ノートパソコンのキーボードやトラックパッドは、スペックからはその良し悪しが分かりづらいため、真っ先にコストダウンされがち。ですが、MacBook Airはしっかりコストをかけて仕上げていることが操作する指先から感じられます。

  • 操作しやすいキーボードとトラックパッドは健在。日本語配列でも一部のキーが極端に細長くなったり隣接するキーとくっついたりすることがなく、ミスタイプしづらい設計としているのは評価できる

  • キーボードは十分なストロークと腰のあるタイプ感があり、打ちやすい

もちろん、従来から気になっていた欠点もそのまま受け継がれているのは残念。その1つが拡張性で、拡張端子は2つのUSB-C/Thunderbolt 4(USB Type-C端子)とヘッドホン端子しかなく、四角いUSBケーブルやHDMIケーブルはそのままでは接続できません。ケーブルごとに変換ケーブルを用意するのはわずらわしいので、さまざまな端子を一気に拡張できるUSB Type-Cハブを用意するのがよいでしょう。

  • ストレスのない活用には、USB Type-Cハブが必須。写真は、SDカードスロットやmicroSDカードスロットも備えるUGREENの「Revodok Pro 10-in-1 USB-C ハブ」(実売価格は6,500円前後)

さらに、モバイル通信に対応しないのも、最新のモバイルノートPCとしては物足りないところ。iPadならば、もっともベーシックな無印iPadでも5G対応のセルラーモデルを用意することを考えると、そろそろMacBookシリーズもモバイル通信できるようにしてほしいと感じます。

スタンダードを超えたコスパ高の1台、特に学生は二重の学割に注目

定評のあるM3モデルにApple Intelligenceへの対応を充実させたM4 MacBook Air。すでにM3モデルを使っている人はわざわざ買い替える必要はないと感じますが、M1搭載MacBook Airからの買い替えならば明確な進化を体感できるでしょう。熟成の域に達した印象で、外出先に持ち運んで使うモバイルでの運用を考慮していない人を含め、幅広い層に最適な定番的なモデルになったと感じます。

価格はメモリー16GB、ストレージ256GBの13インチモデルが16万円台からと、WindowsのモバイルノートPCと比べてもコスパの高さが光ります。特に、学生は通年で学割価格で購入できるうえ、4月9日までは学割キャンペーンで22,000円のApple Gift Cardがもらえ、ダブルでおトクに購入できます。コスパも十分、M4でタイパも期待できる新MacBook Air、春からの新生活で注目を集める1台になりそうです。