デジタル政策フォーラムとダークパターン対策協会は2月14日、「ダークパターン問題とその対策 - デジタル空間における消費者の信頼(トラスト)獲得のために -」というテーマで、共催シンポジウムをオンライン開催した。
ダークパターン対策協会は、誠実なWebサイトを審査、認定するための制度「NDD(Non-Deceptive Design)認定制度」を運用する事業体として、2024年10月2日に設立された団体。NDD認定制度は2025年7月の運用開始を予定しており、現在は本認定を取得するために準拠すべき「ダークパターン対策ガイドラインver1.0」を公開している。
今回のシンポジウムは、ダークパターンの実態とその影響について、具体的な対策や今後の方向性について議論するために開催された。なお本シンポジウムの内容は、後日アーカイブ配信が行われる予定だ。
理事のカライスコス氏と関係省庁から参加の2氏による基調講演
まず、ダークパターン対策協会 理事で龍谷大学 法学部 教授のカライスコス アントニオス氏が、「ダークパターン被害の現状とNDD認定制度について」と題し、ダークパターンの定義や具体例を紹介。ダークパターン対策協会がNDD認定制度を策定することで、消費者が安心してインターネットを使えるようにすることを目指していることを説明した。
続いて、消費者庁 新未来創造戦略本部次長 黒木理恵氏と総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 利用環境課長 大内康次氏による特別基調講演が行われた。
消費者庁の黒木氏は「消費者法制度のパラダイムシフトとデジタル時代の新たな信頼の構築について」と題し、消費者庁が行っている消費者法制度のパラダイムシフトの議論の中から、ダークパターンに関するトピックを紹介した。
「リアルの場では、百貨店への出店やテレビCMなど、色々なハードルをクリアしてきていることが個々の消費者の信頼に繋がっている面があります。これに対し、デジタル取引の特性として、そもそも時間や空間、資材等の物理的な障壁がほとんどありません。それに加えて、いわゆるダークパターンと言われるものが消費者の意思を歪めることがあります。そういう中で、消費者が頼れる、自分の判断をするときに助けになるといった新たな信頼をどうやって作っていくのかは喫緊の課題であり、重要な問題だと考えています」(黒木氏)
総務省の大内氏は「スマートフォン プライバシー セキュリティ イニシアティブとダークパターン対策」と題した講演を行った。総務省は、利用者情報に関するワーキンググループにおいて、「スマートフォン プライバシー セキュリティ イニシアティブ(SPSI)」の策定・見直しを行っている。直近の改訂では、データ保護の観点から分類している欧州データ保護会議(EDPB)によるガイドライン等も参照の上、「ダークパターン回避の対応」を具体例とともに明記している。
「ダークパターンを含めてSPSIを最新の状況にアップデートして関係者の皆さんにお示しをすることで、少しでも全体の対策の底上げにつながるといったことを期待しております。また、民間からダークパターンに関する取り組みや、その同意取得のあり方に関する様々な検討、議論が行われていることは我々としても大歓迎ですので、連携しながら対応を進めていきたいと考えております」(大内氏)