カバンなどの持ち物に付けておくだけで、持ち物の位置をスマホで確認したり、どこかに置き忘れた際にスマホに通知を送信する「忘れ物防止タグ」(スマートトラッカー)。iPhoneを含むアップル製品の「探す」ネットワークに対応し、位置情報を確実に把握できる実用性が評価されたアップルの「AirTag」が圧倒的な人気を誇っています。しかし、AirTagはモノへの固定のしづらさや独特の形状など、いくつかの不満点も指摘されています。

この分野では伏兵ともいえるソースネクストが、アップルとグーグルの「探す」ネットワークに対応した忘れ物防止タグを発表。SDカードサイズのタグ型で、「小さい、薄い」「フラットな形状で貼り付けやすい」「充電式」「防水構造」といったAirTagにはない点が魅力的。自宅やお出かけ時に使う小型の電子機器などに貼り付けて、ありかの確認や忘れ物対策をするのに最適だと感じました。

  • SDカードサイズのタグ型忘れ物防止タグ「Pebblebee ユニバーサル」が登場。見た目は地味だが、AirTagにはない魅力を備えていた。ちなみに、価格はどちらも4,980円となる

SDカード大の軽くフラットな本体、両面テープで固定できる

2021年4月に登場したAirTagは、iPhoneを手にした人がAirTagの近くを通れば位置情報が取得できることから、それまでの忘れ物防止タグと比べて位置情報把握の実用性を一気に引き上げ、発売以来ヒットを続けています。しかし、さすがのAirTagも欠点が存在します。

最大の欠点は、AirTag本体にストラップホールがなく、さまざまなモノに固定するために別売のアクセサリーが必要なこと。また、カーブを描く本体は見た目こそ美しいものの、分厚くフラットではないので収納しづらく、使い勝手はいまひとつ。iPhone本体と違って防水性能がないことも弱点の1つといえます。アラームの音が小さめで、探し物をする際に発見しづらいという意見もあります。

  • おなじみAirTag。真っ白な円形のデザインは美しいが、ストラップ穴がないので何かに固定するのも必ずアクセサリーが必要となる

そのようななか、ソースネクストが発売した忘れ物防止タグが「Pebblebee ユニバーサル」です。すでに、キーホルダー型やカード型の製品を発売していましたが、シリーズの第3弾として投入したのが今回登場したタグ型モデル。大きさは26×40mmでカード型(54×85mm)の1/4ほどと小さく、厚みも4.5mmと薄いのが特徴。フラットな形状で、付属の両面テープでさまざまなモノに貼り付けて固定できます。

  • 今回登場したPebblebee ユニバーサルのタグ型モデル。オーソドックスな四角形で、実用に徹したスタイルだ。ストラップなどを取り付ける穴はない

  • サイズはAirTagよりもわずかに大きい程度

  • SDカードよりもひとまわり大きい程度で、写真で想像するよりもコンパクトに仕上がっている

  • 付属の両面テープを貼り付けてさまざまなものに固定する

  • AirTagと比べて厚みが大幅に抑えられているのと、フラットな形状に仕上げているのがポイント

このサイズと薄さがきわめて絶妙で、リモコンやモバイルバッテリー、カメラ、アクションカメラなど、自宅の内外で持ち運んで使うことが多く、比較的小さいのでどこに置いたり収納したか分からなくなるデジタル家電と組み合わせると便利に使えると感じました。重さは6.5gしかないので、機器を使うのにじゃまになることもありません。

  • ありかが分からなくなるリモコンにはベストマッチ

  • 充電時や使用後など、どこに置いたか分からなくなりやすいモバイルバッテリーにも向く

  • シューカバーにくっつけてカメラに取り付ければ、さまざまなカメラで使い回しできる

  • アクションカメラやジンバルカメラなど、小さいが高価なカメラに固定しておくと安心

AirTagにない特徴は、電源がボタン電池ではなく充電式バッテリーということ。付属の専用ケーブルを使えばモバイルバッテリーなどで手軽に充電でき、AirTagにつきものの「CR2032電池の買い置きがなかった…」と困ることはありません。フル充電で約8カ月使えるので、充電の手間もかかりません。本体は防水構造で、多少の水しぶきがかかっても問題ない点も魅力です。

  • 本体に充電端子を備えている。上方の穴はスピーカーだ

  • 磁力で端子にくっつく専用のUSB Type-Cケーブルでバッテリーを充電する。ケーブルは専用品なので紛失しないよう注意

  • シリコン製のケースも付属しており、手持ちのストラップを使って大きなものに固定することも可能

本体にはスピーカーに加えてLEDも内蔵しており、「探す」アプリの「サウンドを再生」をタップすると、アラームが鳴るとともにLEDが点滅します。AirTagと比べてアラームの音量が若干大きく、音を頼りに探し物を見つけるのは苦労せずに済みそうです。

ただし、AirTagとは異なりUWBには対応しないため、距離や方向を表示して正確に探す機能は利用できません。部屋の中で小物を探す、という用途ではUWB対応が望ましいのですが、この点はガマンする必要があります。

UWB非対応は気になるが、AirTagにはない魅力を備える

このようにUWB非対応という弱点はあるものの、絶妙なサイズと形状により、これまで取り付けが難しかった機器でも利用しやすいのが、タグ型Pebblebeeの大きな魅力です。見た目は飾り気がなく地味ですが、アップルの「探す」ネットワーク対応で実用性や使い勝手は高く、価格もAirTagと同じ4,980円で競り合います。屋内での探し物用途だと、やはりUWB非対応が気になりますが、取り付けの利便性とのトレードオフと考えれば納得できます。自宅や職場で持ち運んで使う小型電子機器を素早く見つけたい人にとって、非常に有用な製品といえるでしょう。