Dynabookは1月23日、Lunar Lakeの開発コード名で知られるIntel Core Ultraプロセッサ(シリーズ2)を搭載した14型Copilot+ PC「dynabook XP9」(個人向け)、「dynabook XP94」(法人向け)を発表した。4月中旬に販売開始する。カラーはダークテックブルー。価格はオープン。店頭予想価格は290,000円台前半。

  • dynabook XP9を掲げるDynabook 国内PC事業本部 国内マーケティング本部の杉野文則本部長

dynabook XP9は、バッテリーをユーザーが交換できる「セルフ交換バッテリー」を採用した14型ノートPC。

47 TOPSのAI処理プロセッサ(NPU)をSoCに内蔵するIntel Core Ultraプロセッサ(シリーズ2)・Intel Core Ultra 7 258Vを採用したCopilot+ PCで、Windowsに組み込まれるAI機能や、内蔵する独自のAI機能などを使用できる。また高い性能と長いバッテリー駆動時間を備えたIntel Evoエディションにも準拠する。

  • dynabook XP9を手に持ったところ。重さは「後報」とのことで目標値は1㎏未満。実際持った感触でも1kgは切っているように感じられた

同社では、ユーザーが自分でバッテリーを交換できる「セルフ交換バッテリー」を搭載したX83シリーズ、X74シリーズを展開してきており、今回のXP94およびXP9が第3弾モデルとなる。

バッテリーに不調があった際に「ダウンタイムの最小化」と「パフォーマンスの最大化」を図る目的で採用し、今回のCopilot+ PCでは“ローカルAI処理の継続”もセルフ交換バッテリーを搭載した狙いの1つだ。なおXP94およびXP9は、同社のdynabookシリーズの中で最上位に位置付けられる。

  • dynabook XP9の主な特徴

性能面ではCPUを一定の高パフォーマンスで動かすdynabook エンパワーテクノロジーを搭載。キーボードはバックライト付きの1.5mmストロークキーボードで、Copilotキーも装備する。Webカメラは物理的にレンズを遮れるシャッター付き。

筐体は2024年11月に発表された、同じくバッテリー交換機構を備えた14型ノートPC「dynabook X74/LY」と共通でインタフェースも同等。内部基板は新規のものだが、冷却機構はX74/LYと近いといい、空冷ファンも(デュアルではなく)1基を搭載するという。本体はMILスペックに準拠したテストも実施予定。主な仕様は下記の通り。

dynabook XP9の主な仕様

  • OS:Windows 11 Home
  • CPU:Intel Core Ultra 7 258V
  • メモリ:32GB
  • ストレージ:512GB PCIe SSD
  • グラフィックス:Intel Arc グラフィックス(CPU内蔵)
  • 光学ドライブ:―
  • ディスプレイ:14.0型(1,920×1,200ドット)
  • 通信:ギガビット有線LAN、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
  • インタフェース:Thunderbolt 4×2、USB 3.2(Gen1)Type-A×2、HDMI、microSDカードスロットなど
  • サイズ:W312.4×D222.5×H18.7~18.9mm
  • 重さ:後報
  • バッテリー駆動時間:後報
  • CPUを一定の高パフォーマンスで動かすエンパワーテクノロジーを搭載

  • 底面の吸気口とヒンジ付近の排熱口の間にラバーフットを設け、排気した温かい空気を吸気しにくい設計になっている

  • 特徴の1つが「セルフ交換バッテリー機構」の採用。ユーザーが自分で別売の専用バッテリーを装着できるもので、バッテリー故障などによるダウンタイム削減を図る

dynabook XP9とX94には独自開発したAIアプリを初期搭載。「dynabook AI アシスタント」「AIパワーオプティマイズ」「AIプライバシーアシスト」「AIハンドコントロール」の4つで、いずれもローカル処理のアプリとなる。

  • Dynabook 商品統括部 商品統括部長の須田淳一氏

  • 独自開発した4つのAI機能を初期搭載する

dynabook AI アシスタントは、簡単な作業でAIがPC作業をアシストするもの。ローカルで動作するためプライバシーや機密情報などの漏洩リスクが低減することが特徴だ。プロンプトを使わず、専用ボタンなどを使い自動翻訳・要約が可能。またAIが作成したバーチャルキャラクターと会話してアイデアを練ったり、PC操作のヘルプ検索も支援する。

AIパワーオプティマイズは、オンラインミーティング時のバッテリー駆動時間を改善するもの。オンラインミーティングでバッテリーを大量消費することに対しユーザーから多くの意見があったといい、AIパワーオプティマイズでは複数の要素からオンラインミーティングをAIが検知。最適なバッテリーセーブ機能を自動適用することで、オンラインミーティングのみで8時間の連続使用を目指す。

AIプライバシーアシストは、AIがPC画面ののぞき見を検知する機能。背後からののぞき見を検知すると、アラートをPC画面に表示。表示されたアラートをクリックすることで、自動でプライバシースクリーンが起動し、PC画面の内容を読めないようにする。

AIハンドコントロールは、ハンドサインで対応のPCアプリを操作できる機能。例えば動画視聴時に、一時停止や早送り、次のコンテンツ再生などを、ハンドサインで操作できる。現時点では4つのハンドサインに対応する予定。AIの内蔵によりハンドサインの認識率が高まったことで搭載できたといい、料理動画の視聴時などでニーズがあるとした。

なお同社はIntel Core Ultra(シリーズ1)搭載のAI PCも展開しているが、今回発表された独自AI機能はXP9とX94のみでの搭載となる。

  • dynabook XP9のインタフェース

  • 本体右側面

  • 本体左側面

  • キーボード面。カーソルキー左にCopilotキーを搭載

  • 天板。カラーはダークテックブルー

Dynabook 商品統括部 商品統括部長の須田淳一氏によると「Dynabookでは“PCはパーソナルなもの”」という認識があるといい、AIの進化によりPCの汎用化的な面と、利用者の知識や経験、嗜好などパーソナルな面を融合させ、「再びパーソナルな存在に戻していけるのでは」とコメント。「今後はローカルでAIを動かしつつ、必要に応じてクラウドともシームレスにやり取りできる体験を目標とし、AIの取り組みを進化させていきたい」と展望を語った。